「女性が長く活躍し続けられる企業は、まだまだ少ないんです」
先日、政府が「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%程度」にするという目標を掲げたように、今女性を管理職へ登用する動きがさかんです。
しかしキャリアカウンセラーである藤井佐和子さんは、冒頭のように指摘。現状は、まだ女性が活躍する環境を整えている段階だそうです。
考えてみてください。環境が整うころ、あなたは転職が難しい年齢になって、「こんなはずでは…」と思っているかも。逆に今から、隠れた“女性が活躍できる会社”を見つければ、5年後10年後にはずっと輝かしいキャリアを歩んでいるはずです。
そこで、ダイバーシティの研修や法人研修、就職支援など幅広く活躍する藤井佐和子さんに、女性が活躍できる企業の条件を教えてもらいました。将来、管理職を目指すあなたも、そうでないあなたも、自分が働きやすい環境を考えるヒントにしてみてください!
基本のポイントはたった4つ!
「女性が活躍できる企業の条件は、まずその会社に“ずっと働きたい”という意志を持った女性のロールモデルがいるか。次に、企業の風土や管理職などが女性のキャリアについて意識を持っているか。三つ目は、育児休暇などの制度が整っているか。四つ目は、女性だからといって配慮し過ぎていないかです。この4つがバランスよくそろえば、女性が活躍できる企業になると思います」(藤井さん:以下同じ)
1.女性のロールモデルがいるか
まず、“ずっと働き続けたい”という意志を持った女性が、社内にいるかどうかが大事だと藤井さんは言います。
「一般的に“どうなりたいか”が描ききれない女性が多いと感じます。自分が目指したいロールモデルが会社内や身近なところにいないためです。会社内に覚悟を持って活躍し続ける女性が多ければお手本ができるので、後から入社してくる女性も活躍しやすくなると思います。今は、ちょうどその過渡期なのです」
2.企業風土と管理職に、女性のキャリアについて意識があるか
“活躍する女性を本気で育てる”という意識が、会社の風土や管理職の意識にあるかが二つ目のポイント。
「管理職の方は、『女性は優秀だけど、活躍し続けるのはむずかしいのでは?』と思ってしまうようです。女性は優秀だと分かってはいるものの、どうしても定年まで働くイメージが湧かない。責任のある仕事を任せたら逃げてしまうのではないか、旦那さんが転勤になったり、子どもができたりしたら辞めてしまうのではないか、と思って仕事を頼みづらいところがある。女性管理職を育てる意識が現場では薄く、『本気で育てるぞ!』と思っている男性上司はまだまだ少ないように思います」
3.女性が働くための制度が整っているか
子育て支援などの制度に目がいきがちですが、独身の方や子どもがいない方向けの制度もチェックすべきと藤井さんは指摘します。
「子どもがいる方に向けた制度にかけては、各社が数字も出していますし、かなり進んでいると思います。ただ、女性全体にとっての制度面という意味では、まだ充実していないのが現状。独身の方や子どもがいない方にメリットのある制度が少ないと思います」
また、働く女性を評価する制度もポイントとのこと。
「日本は限られた時間で働く女性社員が評価されづらい傾向があります。背景には、時間軸で評価をしがちな上司が多いことがあります。例えば、『頑張って残業しているから評価する』などです。そうすると、ライフイベントを抱える人や、時間をかけずに効率的に成果を出す人に対し、なかなか良い評価を下せない。仕事を早く終わらせて帰る女性よりも、遅くまで頑張って働き、すべてを会社に捧げるような男性社員のほうを評価する風土がいまだに残っていますしね」
4.女性に配慮し過ぎていないか
女性のキャリアを尊重する意識や制度はたしかに大切。しかし藤井さんは女性が気を使われ過ぎるのもよくないと指摘します。責任ある仕事は全部男性に、という会社には要注意。
「産休や育休の制度が充実しているなどの条件面を見ている方が多いですが、ポイントは女性だからといって配慮し過ぎず、男性と同じような感覚で仕事を任せてもらえるかどうかです。中小ベンチャー企業や、30代の若い方が多い企業では男女関係なく仕事を振られます。求人票を見る段階や面接時などにもそういったことは垣間見ることができますので、注意してチェックしてみましょう」
女性が活躍するにはまだまだ遅れているという日本。環境が整うことを待っていると、時間は経っていくばかりです。自らの働き続ける強い意志と、自分たち女性が働きやすい会社を見極める視点を持つことが、まずは第一歩になりそうですね。
識者プロフィール
藤井佐和子(ふじい・さわこ)/株式会社キャリエーラ代表取締役。ダイバーシティコンサルタント。カメラメーカー、人材総合サービスのコンサルタントを経て2002年株式会社キャリエーラ設立。女性のキャリアカウンセリングサービスを実施、述べ13,000人以上のカウンセリング実績を持つ。また、ダイバーシティをテーマとした企業研修や講演では、女性社員向け、女性部下を持つ管理職向けに年間200以上登壇。近著に『「あなたには、ずっといてほしい」と会社で言われるために、いますぐはじめる45のこと』ディスカバー21、他、著書多数。
※この記事は2014/09/25にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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