書店には、さまざまなテーマや著者の“ビジネス書”が並んでいます。どれを選べばいいのか、本当に自分に必要な1冊はどれか、悩んでしまう人も多いのではないでしょうか?
『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない(マイナビ新書)』の著者である漆原直行氏は、「ビジネス書といってもいろいろあるので一概には言えない」と前置きをしたうえで、読むべきビジネス書の見分け方について、次のように語ります。
こんなビジネス書には要注意!
● やたらと刊行ペースが早い著者の本
「毎月1冊でも多いと思いますが、中には月に2~3冊、年間20冊近く出すような人もいます。内容の重複や焼き直しが増え、手癖でそれらしくまとめているだけで、内容が薄くなってしまいがちです」
● レイアウトに余白が多かったり、文字が大きかったりする本
「こういった本は、往々にして内容が薄い(本の厚さの割に得るものが少ない)ことも少なくありません。ただ、読みやすさという点ではプラスに働くこともあるので、本を読み慣れていない読者が手を出すには悪くないかもしれませんが……。いずれにせよ“ビジネス書にありがちな本のつくり”を見極める視点を持っておくと、冷静に本を選ぶことができるはずです」
● タイトルの中に、「絶対」とか「完全」とか「年収10倍」などの文言がある本
「断定的なフレーズ、根拠がよく分からない数字など、煽ることありきの文言をタイトルに盛り込んでいる本は、かなりの確率で地雷です」
● 著者の自慢話、武勇伝ばかりの本
「著者の自慢話、武勇伝としか読めないような記述がやたらと目に付く本は、最後まで真剣に読む価値があまりないかもしれません」
失敗しないビジネス書の選び方とは?
ではどのようにして、良いビジネス書と出会えばよいのでしょうか? 失敗しないビジネス書の選び方のコツについても挙げてもらいました。
●「もくじ」と「ナナメ読み」は忘れずに
「極力、実際に本を手にして「もくじ」に目を通すようにする。内容についてもパラパラとでもいいので「ナナメ読み」をしてみましょう」
●オススメ本を選ぶ
「信頼できる書評ブログとか相性のいい選者を見つけて、彼らが評価していた本を選んでみる。もしくは、尊敬している人、信頼している人(偉大な経営者でもいいし、職場の先輩や同僚でもいい)が薦めていた本を選ぶのも一案です」
●定番本から始める
「ヒットしている本に安直に手を出さず、まずは長く読み継がれてきた本(定番本)から手を付けてみる。トレンドの変化で陳腐化した本、仕掛けられたヒットで一発屋的に終わってしまう本も少なくないなか、長らく刊行されてきた本は、やはりそれだけの内容を備えているものです」
あなたは“ビジネス書中毒”になっていませんか?
また漆原氏は、意識の高い若手ビジネスパーソンが陥りやすい“ビジネス書中毒”について以下のように警鐘を鳴らします。
「ビジネス書を読むこと自体が目的化してしまう人がいます。コンビニで栄養ドリンクを買う感覚に近く、過剰な糖分とカフェインで一時的にテンションが上がるだけ。実は問題は何も解決していないのに『なんか、効いた気がする』と思い違いをしてしまいます」
ついつい本を読むと、それだけで頭が良くなった気になってしまうといのは、身に覚えのある人が少なくないはず。きちんとした良書に出会い、実のある読書ライフを送りたいものですね!
(識者プロフィール)
漆原直行(うるしばら・なおゆき)/1972年生まれの編集者・ライター。ビジネスからサブカルまで幅広い知識を持ち、雑誌やウェブ媒体の制作に従事。2012年に刊行した『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない(マイナビ新書)』が話題に。その後、中川淳一郎氏や山本一郎氏と共に、阿佐ヶ谷ロフトAで「ビジネス書ぶった斬りナイト」を不定期開催。
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※この記事は2013/11/22にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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