優柔不断とは?決断ができない理由と改善する方法を紹介

「優柔不断な性格を直したい」と思ったことはありませんか? 特にビジネスシーンにおいては、優柔不断なことによるデメリットが多いようです。この記事では心理学の専門家監修のもと、優柔不断の原因、メリットとデメリット、改善方法について解説します。

優柔不断でどちらにするか決めきれない人のイメージ

「優柔不断ですね」と他人から言われると、褒められた気はしないかもしれません。優柔不断は悪いことではありませんが、ビジネスシーンではデメリットの方が目立つため、改善したいと考える人も多いでしょう。

この記事では、公認心理師の川島達史さんにお話を伺い、優柔不断の意味と、決断できない原因、ビジネスシーンでのメリットとデメリット、改善方法までを分かりやすく紹介します。

優柔不断とは?

優柔不断で頼りない上司のイメージ

優柔不断とは、何かを決めるのに時間がかかりすぎてしまう性格や状態のことを指します。優柔不断は悪いことばかりではありませんが、ビジネスの現場ではスピード感が重視されるため、決断が遅いことによって、仕事の遅延やチャンスの損失など、さまざまな不都合が生じる場合があります。

優柔不断になってしまう主な原因は?

不安から優柔不断になってしまう人のイメージ

優柔不断になってしまう主な原因は、「熟慮」「先延ばし」「不安」「他者参照」の4つの要素に分けられます。同じ優柔不断な性格であっても、4つのうちのどの要素に強く影響されているかは、個人によって異なります。それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。

熟慮しすぎてしまう

物事を慎重に検討し、すべてのリスクや利益を把握しようとするため、決断に時間がかかってしまうケースです。ただ、ビジネスにおいては重要な決断ほど、慎重に考えることも求められるため、決断は遅れてしまうものの、結果として成果につながる場合も多いようです。

先延ばししがち

決断を「できるだけ先に延ばそう」とすることによって、優柔不断になってしまうケースです。しかし、決断を後回しにすることでスケジュールに遅れが生じ、締め切りに間に合わなかったり、取引先との交渉で相手の要望にすぐ応えられず、顧客を逃したりしてしまうことも少なくありません。

不安が強い

不安や心配が強いため、リスクを大きく見積もってしまい、スピーディな決断が難しくなるケースもあります。たとえ決断しても「本当にこれで良かったのかな?」と自分の選択に自信を持てず、後悔してしまう傾向があります。チームで仕事をしている場合は、周囲の不安感を強めてしまうかもしれません。

他人の選択が気になってしまう

周りの人の意見や世間の基準を重視してしまい、優柔不断になっているケースもあります。「ほかの人はどうするのかな?」と上司や同僚の選択や行動を気にしすぎて、自分の判断に自信を持つことができていない状態です。

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優柔不断な性格によるデメリットは?

優柔不断であるために商機を逃してしまう人のイメージ

優柔不断な性格で生じるビジネスシーンでのデメリットには、どのようなものがあるでしょうか。具体的な例を紹介します。

タイミングを逃してしまう

優柔不断な性格によって、行動をとるべきタイミングを逃してしまうこともあります。例えば、仕事でトラブルが発生した際には、すぐに適切な対処をする必要があります。しかし、上司に報告すべきか迷っているうちに報連相のタイミングを逃したり、考え込んでいるうちに事態が悪化してしまったりすることがあるかもしれません。

また、良いアイデアを思いついてもすぐに提案することができず、新しい仕事に挑戦する機会や、評価のチャンスを掴むことが難しくなる場合もあります。

リーダーシップに欠ける場合も

リーダーになると、重要な決断を行うシーンが増えます。そのような場面で決断ができないと、頼りない印象を与えてしまいかねません

例えば、新しいプロジェクトの企画を決めなければいけない場合、全員の案を取り入れようとして、なかなか決断ができないことがあるかもしれません。部下の意見を尊重する姿勢は大切ですが、リーダーがいつまでも迷っていると、部下は不安を抱いてしまいます。然るべきタイミングで、きっぱりと決断できる方が、部下からの信頼を得ることができるでしょう。

仕事が溜まりやすい

優柔不断な状態だと決断がどんどん先延ばしになり、常にタスクに追われている状態となってしまいます。些細な決断に必要以上に時間をかけることで、スケジュールに遅れが生じる場合もあるでしょう。優柔不断な人は仕事をこなすのに平均よりも時間がかかってしまうため、仕事を溜めこみやすくなる傾向があります。

主体性を持てなくなることも

優柔不断な人は、企画立案や会議などで「発言しようか、どうしようか」と迷っているうちに発言できなかったり、反応が遅れてしまったりすることがあります。これが重なると、次第に受け身になって、「結局ほかの人が決める」と考える癖が付き、自己効力感を持てなくなってしまいます

自己効力感とは心理学用語のひとつで、「達成することができる」と、自分の可能性を認識している状態を意味します。自己効力感がないと、どんどん主体的に決断することができなくなり、自信の喪失や、評価の低下につながりかねません。

優柔不断な性格にもメリットはある?

優柔不断であるためリスクを避ける人のイメージ

優柔不断な性格はデメリットばかりという印象になっているかと思いますが、一概にそうとは言い切れません。ここではビジネスシーンにおける優柔不断な性格のメリットについて見ていきましょう。

リスクを回避できる

優柔不断な人は物事を慎重に吟味するため、リスクを回避しやすくなります。例えば、金額の大きい取り引きなど、リスクを伴う決断を行う場合、懸念点にいち早く気付き、損失を防ぐことができる可能性が高いです。また、優柔不断な人は感情で衝動的に行動することが少ないので、公の場や重要な場面での失言によって信頼を失うリスクも低いでしょう。

人間関係が長続きする

人間関係で多少のトラブルがあっても、すぐに白黒つけようとはせず、曖昧なままで関係を長く続けられます。どんな職場でも人間関係はつきものです。気が合わない上司や同僚がいても、波風を立てず関係を続けられるのは、ビジネスパーソンにとってメリットと言えるでしょう。

優柔不断な性格を改善する方法は?

選択肢を絞っていく様子

優柔不断な性格は生まれつきのものと思ってしまいがちですが、実は日ごろの心がけによって改善できます。ここでは実践しやすいおすすめの方法を紹介します。

選択肢を絞る

選択肢が多いと、かえって決断が難しくなるという説があります。これは、同じ店で24種類のジャムを並べた時より、6種類のジャムを並べた時の方がよく売れた、という研究結果から「ジャムの法則」とも呼ばれています。

例えば、次の企画の候補が複数あって、どうしても迷ってしまうような場合には、いきなりひとつを選ぼうとはせず、まずおおまかな方向性を定め、目の前の選択肢を絞ってみましょう。決断がしやすくなるかもしれません。

メリット・デメリットを比較する

選択肢がいくつかある場合、それぞれのメリット・デメリットを表などに整理して比較してみましょう。メリットとデメリットが可視化されることで、リスクをふまえて合理的に決断しやすくなるはずです。この方法は熟慮してしまう場合のほかに、「異動を申請したいけれどうまくいくだろうか」「A案で本当に大丈夫だろうか」など、漠然とした不安があって決断できない場合にもおすすめです。

決断に期限を設ける

「明日までに決めるぞ」「1分以内に決めよう」など、自分で期限を決めることによって、決断しやすくする方法もあります。期限が来たら、まだ迷っていたとしても、「えいや!」と勢いをつけて、とりあえず決断します。優柔不断になる原因の一つに不安がありますが、「この選択をすると、悪い結果になるかもしれない」という不安の中へ、思い切って突入するようなイメージです。不安に感じていたことも、いざその中に入ってみると、意外とたいしたことがなかったという場合も多いです。

もし迷うことが癖になっているなら、「今日着る服は?」「食事のメニューはどうする?」といった日常の選択から期限を設定し、決断することに慣れていくと良いでしょう。

迷いすぎた時は思い切って行動を

もし、優柔不断な性格を改善したいと考えているのであれば、自分は優柔不断になる原因のうち、どれが大きく影響しているのか知ることから始めてみましょう。また、選択肢に明らかな差がある時には、そもそも迷うことがないかもしれません。それぞれを選んだ場合のメリットとデメリットを比較しても、なお決断できない場合は、どちらを選んでも大差はないと言い聞かせ、プレッシャーを減らすのもひとつの手段です。人生は行動してみないとわからないことも多いので、「決断に時間にかかりすぎている」と感じたら、ご紹介した方法を参考に、思い切って決断してみましょう。

監修:ダイレクトコミュニケーション 代表取締役 川島達史
目白大学大学院心理学研究科を修了し、現在ではコミュニケーション講座の講師として、心理学や人間関係に関するワークを行う。専門は成人のソーシャルスキルが孤独感・対人不安に与える影響。普段は「コミュニケーション講座」の主催や、YouTubeチャンネル「ダイコミュ大学」による情報発信を行っている。

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