部下から尊敬される上司になる! コーチング5つの基本スキル

最近よく本や新聞などで目にする「コーチング」。その意味やノウハウを知っていますか? その基本はすごくシンプル。でもちゃんと実践すれば、まだ部下を持つことに慣れていない人でも「○○さんの部下で良かった!」と言われるような上司になれるはずです。

部下から尊敬される上司になる! コーチング5つの基本スキル

最近よく本や新聞などで目にする「コーチング」。その意味やノウハウを知っていますか? その基本はすごくシンプル。でもちゃんと実践すれば、まだ部下を持つことに慣れていない人でも「○○さんの部下で良かった!」と言われるような上司になれるはずです。

そこで今回は、世界的認定コーチ資格を持つ株式会社コーチ・エィ取締役の平野圭子さんに、コーチングの基本スキルを5つ教えてもらいました!

コーチングって何?


そもそも、コーチングってなんでしょうか? 一般的に「上司が部下を指導すること」と思われていますが、もっと詳しくいえば、次のように定義できます。

「コーチング=自分が質問を投げかけることによって相手に気付きを促し、あらかじめ設定された目標を達成するよう、相手に行動を促すこと」

コーチングは自分が部下を持ったときだけでなく、対人関係でも使えます。例えば、「あの人の能力をもっと発揮させたい」「今ある環境の中で、自分の目標を実現したい」など、幅広いシーンで役立つものなのです。

5つの基本スキル


ではコーチングをばっちり行えるようになるためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか? 平野さんに5つの基本スキルを教えてもらいました。

1.相手に合わせる・共感するスキル
コーチングは、相手に行動を促し続けることが目的。まずは自分に信頼感を抱いてもらうことが大事です。いろいろな方法で、相手に安心感を与える必要があります。

特に部下が心を開くためには、相手のペースに合わせる力や共感力がポイントになります。言葉の交わし方を会得したり、相手が落ち込んでいたら励ましたりできるかどうかのスキルです。

■ケーススタディ
1.部下が使った言葉を自分も使って、相手の言葉を繰り返す
「課長、この資料、とても複雑で分かりにくいと思うのですが…」
「そうか、その資料、複雑で分かりにくいのか。よし、ちょっと見てみよう」

2.迷いの中にいる部下の心情を読み取ってうまく励ます
「どうした、元気がないな」
「このコンペ、きっと通すのは難しいと思うんです」
「難しいと思っているのはどこの部分だ? 最初からあきらめないで、もう少しそのことについて聞かせてほしい」

2.聞くスキル
人は、自分の話を聞いてくれるだけでとても安心するものです。相手に常に安心感を与える必要のあるコーチングには「聞くスキル」が欠かせません。

話を聞くなんて誰でもできると思われがちですが、例えば、相手が話しているのにもかかわらず、アドバイスや質問などを考えていて、相手の話を聞いていない人が意外と多いのです。逆にしっかりと話を最後まで聞くと、相手のアイデアや経験を引き出すこともでき、問題解決につながることもあります。

■ケーススタディ
1.言葉だけでなく、相手の声のトーンや態度から、心も読みとって聞く
「順調にやってるか?」
「はい、順調です…」
「どうした? 何か気になることがあるのか?」

2.会議などで発言を引き出す
「もう少し詳しく聞かせてくれないか?」「あなたが先ほど話していたことは、このテーマに関連していますか?」など

3.質問するスキル
「質問」はコーチングの要です。一般的な「質問」とは異なり、コーチングでは、相手に気付きを促し、行動を起こさせるために質問します。

例えば、相手に失敗の原因を考えさせて、どう次に生かすかを考えさせたり、相手の視点を変えさせたりする方法があります。単にYesかNoかを選ばせるより、相手にどう思うかを尋ねるのは、相手に自ら問題解決へと向かわせる良い方法です。

■ケーススタディ
1.自分の視点から相手に視点を変えさせて、問題点を見つけさせる
「このメールの書き方はよくないな…。君がお客さまの立場だったらどう感じる?」

2.YES/Noクエスチョンではなく、相手に考えさせたり、気付きを与えたりする
「この問題、もう対策をとったのか?」ではなく、
「この問題、どんな対策が考えられる?」と質問する。

4.提案・リクエストをするスキル
今度は、前へ進んでいる相手を、さらに後押しするスキルです。例えば、相手がもっと良くなるために「こうしたらいいんじゃないか?」と提案するものです。

しかし、注意点があります。提案するときに相手に自分の要望を押し付けないこと。これを避けるためには、コーチングする側の都合ではなく、常に相手の成長や目標達成のために行うことがポイントです。決して押し付けず、あくまで提案やリクエストというスタンスで、断られたり拒絶されたりすることを前提に行うことが大事です。

■ケーススタディ
1.部下への提案が通らなくても、押し付けないで打開案を示す
「こっちの方法のほうがいいと思うぞ」
「でも課長、こちらだと慣れていないので時間がかかってしまいます。従来の方法でいいでしょうか?」
「そうか、そうだな…。では、今回は従来の方法で進めながら、徐々に新しい方法に切り替えていこう。新しい方法のほうが、結果的に早くなるのは実証されているからな」

2.定期ミーティングなどで新たなリクエストをして、部下の能力を引き出し、業務のマンネリ化を防ぐ
「今後は、戦略を強化していきたいと考えている。次回から、皆に新規顧客獲得のための新しい方法を提案してほしい」

5.成長を促す承認スキル
「承認」スキルは、コーチングならではのスキルといえます。普段、どうしても恥ずかしくて相手を褒めるのが苦手という人もいるかもしれません。しかし、相手の変化や成長をはっきりと言葉で伝える承認のスキルは、褒めることとは少し違います。

承認は、「相手の変化や成長、成果などを事実として伝える」だけです。このことで、相手は「自分は認められている」「自分の仕事は評価されている」という認識を持つことができ、次なる行動への原動力になります。

■ケーススタディ
1.名前をしっかりと呼んで、ちょっとした変化やがんばっているところを指摘する
「齋藤くん、資格の勉強始めたんだって?」

2.自分では気付いていない部下の成長を指摘する
「この間の会議での発言、良かったよ。随分、主旨が明確で分かりやすくなった」

「コーチングスキル」というと、難しいイメージがありますが、一つ一つはとてもシンプルで簡単なスキルです。ぜひ、今のうちからスキルを身に付けておき、チームのリーダーになったときに実践してみるなど、現場で生かしてみてください。


※この記事は2014/11/26にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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