メールの書き方ひとつで良くも悪くもあなたの人柄が相手に伝わり、評価されてしまうビジネスメール。「ビジネスメール実態調査2015」によると、仕事で周囲とコミュニケーションをとる主な手段は、電話(92.67%)、会う(82.27%)を抑え、「メール」(98.33%)が第1位となっています。
※「ビジネスメール実態調査2015」出典:一般社団法人日本ビジネスメール協会
スムーズなメールのやり取りこそが、仕事上の良好なコミュニケーションの第一歩となり、仕事の成果につながっていくといえるのです。
そこで今回はビジネスマナー講師の金森たかこさんに、多くの若手ビジネスパーソンが気になるビジネスメールの基本的なコツを教えていただきます。
ビジネスメールを送る際のマナー
先ほど紹介した「ビジネスメール実態調査2015」によると、メールを受け取って不快に感じたことのワースト6は以下の順になっています(重複回答可)。
1.文章が曖昧(31.38%)
2.文章が失礼(30.18%)
3.必要な情報が足りない(26.13%)
4.メールが読みづらい(24.62%)
5.文章が攻撃的(21.32%)
6.無駄な情報が多い(18.17%)
※「ビジネスメール実態調査2015」出典:一般社団法人日本ビジネスメール協会
メールでのやりとりが電話や会うことと大きく異なるのは、微妙な感情が伝わりにくく、場合によっては一方通行になってしまうという点です。電話は声の調子や話し方で言葉以外の気持ちが伝わり、会って話せば相手の表情から真意を読み取ることができます。また、相手に合わせて、即座に反応することも可能です。
一方、メールは簡潔さが求められる文字だけのコミュニケーションですので、言葉の選び方によっては誤解を生んでしまう可能性があります。また、送ったメールを相手が読んでいるか、正しく理解しているかは返事が来るまで分かりません。
したがって、メールを送る際には、メールの特性を理解した上で、相手に対する配慮、気配りが大切であるといえるでしょう。
具体的には、「分かりやすい」「適切な言葉遣い」「過不足のない情報」という3つのポイントをおさえるだけで、次に挙げるような5つのメリットがあると考えられます。
(1)相手の心をつかむことができる
(2)仕事がデキる人と思われる
(3)礼儀正しい人と思われる
(4)信頼できる人と思われる
(5)なぜか協力したくなる
ビジネスメールのコツ
基本編
ビジネスメールのコツとしてまずおさえておきたいのは、次の7つです。
(1)件名は、一見して内容が分かるものにする
件名だけで内容がある程度予想できれば、忙しい相手も「今すぐ読む」「後で読む」と判断することができます。
例)
×「来週の会議のご相談」 ⇒ ◯「3/3(木)企画会議 日時変更のご相談」
×「納品の件」 ⇒ ◯「○○の納品日のご連絡」
(2)はじめに相手の名前を書く(会社名+部署名+名前+様)
いきなり用件に入るのではなく、はじめに相手の名前を書くことによって敬意を示すことにつながります。
(3)簡単なあいさつを入れる
あいさつは基本です。「拝啓」など手紙のような儀礼的なあいさつは必要ありませんが「いつもお世話になっております」など、簡単なあいさつは入れるとよいでしょう。
(4)あいさつの後に名乗る
自分を名乗ることによって相手に安心感や親しみ、丁寧な印象を与えます。
(5)内容は分かりやすく簡潔にまとめる
「何を」「いつまでに」など5W3Hを踏まえて書くと内容に抜けがなくなります。箇条書きを活用し、要点を分かりやすく伝える工夫をしましょう。
さらに「結論」、つまり、一番伝えたいこと、相手が知りたいことを先に書くと、用件が迅速に正確に伝わります。また、1行は30文字以内に、話の内容が変わる際は空白行を入れると、読みやすくなります。
例)
株式会社○○○
人事部 田中ひとみ様
いつも大変お世話になっております。
ウイズ株式会社の金森たかこでございます。
この度は、新入社員研修のご依頼をいただきまして
誠にありがとうございます。
早速ですが、お打ち合わせの日程、概要について
ご連絡申し上げます。
■日時 3月7日(月)10:00~11:30
3月10日(木)13:30~15:00
3月11日(金)13:30~15:00
*ご都合の良い日時をご指定くださいませ。
■場所 弊社A会議室
■内容 1、研修当日スケジュール
2、研修内容について
尚、日時につきましては、お忙しいところ恐縮ですが、
3月1日(火)17時までにご返事いただけましたら幸いです。
皆さまの今後に活きる、より良い研修になりますよう
精一杯努めさせていただきます。
引き続きよろしくお願いいたします。
(6)本文の終わりに結びとなる言葉を入れる
最後に、もう一度あいさつをしましょう。「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」など、結びのあいさつを入れることで文章が締まり、丁寧な印象を与えます。
(7)書きあがったら必ず読み返し、誤字脱字がないか、言葉は適切かをチェックする
最後にチェックをするというひと手間が、相手への敬意として表れます。こうした小さな積み重ねがあなた自身の成長を助け、その後の仕事へとつながっていくこともあります。
ビジネスメールのコツ─応用編─
ここまでは、最低限おさえておきたいコツを紹介しました。加えて、次の5つをするとさらに丁寧な対応に見えるでしょう。
(1)すぐに返事ができないときも、内容が自分に伝わった旨の返信をする
これは、「メールが届いていないのでは」と相手を不安にさせないための配慮です。
(2)夜に送信するときは「夜分遅くに失礼します」の一言を添える
メールは受信者が都合のよいときに見ればいいのだから、時間を気にすることはないと思われがちです。しかしながら、夜遅くにメールが届くと気になる方もいます。相手の状況や気持ちに配慮した一言を添えることで、マイナスイメージは薄らぐでしょう。
(3)メールと電話を併用する
急ぎの用件や重要な用件の場合、相手にメールを送った後に届いたかどうかの確認の電話を入れると、より丁寧です。メールを送ったからといって、必ずしも相手が読んでいるとは限らないためです。
(4)クッション言葉で心遣いを表現する
何かを依頼するとき、依頼を断るときなどは、いきなり用件に入るのではなく「お忙しいところ恐縮ですが……」「大変申し訳ございませんが……」などクッション言葉を用いると、相手を思いやる気持ちを添えることができます。
(5)定型のあいさつ文に気持ちをこめる
「いつもお世話になっております」「よろしくお願いいたします」など、はじめと終わりに入れる簡単なあいさつ文。基本は同じですが
「いつも大変お世話になっております」
「今後ともよろしくお願いいたします」
「引き続きよろしくお願いいたします」
など、思いを言葉にして添えると、それだけで印象は大きく変わります。
特に最後の結びの文章は、「いつもありがとうございます」「お会いできる日を愉しみにしております」など、前向きな言葉を組み合わせることで、より相手に気持ちが伝わるでしょう。
まとめ
メールでのコミュニケーションでは、相手の立場に立って考え行動することが大切です。メールを受け取った相手がどう感じるかを意識し、お互いが気持ちよくやり取りできるよう配慮することが仕事の成果につながり、あなた自身の成長の一助となることでしょう。
※この記事は2016/02/29にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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