流されがちな人必見! 相手を誘導できる交渉術の秘訣って!?

対応が難しい人との交渉が必要とされる場合、ついつい相手のペースにのまれて自分の意見を妥協してしまうことがありますよね。

流されがちな人必見! 相手を誘導できる交渉術の秘訣って!?

対応が難しい人との交渉が必要とされる場合、ついつい相手のペースにのまれて自分の意見を妥協してしまうことがありますよね。

もし相手がどんな人であろうと、動揺せず、こちらが相手を誘導できるような交渉ができるようになれば、ビジネスシーンで必ず役に立つはずです。
「交渉で相手が仕掛ける心理戦を回避するには、まず相手と『連帯関係』を築くことが大事」と語るのは、弁護士としてこれまでさまざまなタイプを相手に交渉を経験してきた石井琢磨さん。そこで今回は、石井琢磨さんから厄介な交渉相手に流されないようするための交渉術の秘訣を伺いました。

交渉を制するために必要な“連帯関係”


石井琢磨さんは、著書『プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法』の中で、交渉中に相手のペースに乗せられず、意図する方向に導くためには、「心理戦の切り抜け方を心得ておく必要がある」と書いています。

心理戦の切り抜け方とは、具体的にどういうことをしたらいいのでしょうか。

心理戦とは相手の心理をうまく誘導してこちらが望む結果に導くこと。この心理戦を制する上で重要なファーストステップが、“連帯関係”を築くことです

人は感情によって動くものですので、いきなり理論で詰めていっても相手はなかなか動きません。厄介な交渉相手とは、この連帯関係が築きづらいため、交渉が難航してしまうケースがあるのだと考えられます」(石井さん:以下同じ)

相手の欲求を満たして連帯関係を結ぶのが基本!


連帯関係とは具体的にどんな関係のことなのでしょうか?

私が言う連帯関係とは、『自分が目指すゴールに向けて、一緒に頑張る仲間になること』です。そのような関係が交渉相手と築ければ、利害が一致するので、論理的な対処が有効に働きます

たしかに、相手を自分と戦う“敵”ではなく、“仲間”にすることができれば、交渉をリードできますね。

このように、相手と連帯関係を築く上で、効果的なアプローチとは何なのでしょうか?

「それは相手の欲求を満たすことです。そのため、関係性づくりにおいてまず重要なのは、相手の『欲求』を知ることになります

交渉の前に相手の情報収集をしておくことが大切です。社会的立場やキャリア、関心、性格など、集められる情報はなるべく収集しておきましょう。欲求が満たされれば大概の人は満足してしまうものなので、連帯関係は築きやすくなります」

相手のパターン別、連帯関係の築き方


続いて、厄介な交渉相手のパターン別に、連帯関係を形成するためのアプローチ方法をお聞きしました。

いつもイライラ。だれに対しても高圧的な相手→「仕事振り」か「長い関係」の欲求を刺激する


「だれに対しても高圧的な態度をとる人や常にイライラしている人は、職人気質の方が多いです。職人気質な人の欲求のポイントは『仕事』にある傾向があります。

そのため、仕事の出来や仕事へのこだわりという切り口で話を進めていくのが得策といえるでしょう。『こだわりながら仕事を一緒にしていきましょう』というアプローチですね。

また、職人気質な人の中には人間関係を大事にするタイプの方もいます。その場合は『良い関係/長い関係を築いていきましょう』という切り口になります」

部下の話に聞く耳を持たない相手→上下関係のような「慣習」の欲求を刺激する


「部下に対して高圧的な態度をとる一方で、その人が自分の上司に対しては態度を切り替えこびているようでしたら、欲求のポイントは上下関係などの『慣習』にあるのだと思われます。

その場合、アプローチとしては、交渉内容を上司自身が出した提案のように思わせることが有効です。『上司が前に言っていた発言をこういう方向に進めています』といったような話の進め方が良いでしょう」

理詰めでこちらの無知を攻撃する相手→相手を支配したい「攻撃欲」のため交渉を控える


「理詰めでこちらを誘導してくる相手は、極端に言えば、学者気質でつい専門用語を使ってしまいたくなる欲求を持つ人と、こちらの無知さを攻撃したい欲求を持つ人という、2つのタイプに分類できるのだと思います。

前者の『知識欲』の要素が強ければ、こちらが知識をつければ、認めてくれるでしょう。つまり、勉強することで対処できるということですね。

後者の要素が強い人の欲求は、『支配欲』など、攻撃性が伴ったものだと思われます。そういう相手は、問題解決に目を向けない、または問題解決なんてどうでもいいと考えている人が多いのです。

その関係のまま問題解決に誘導するのは難しいので、もし問題解決が見込めないと判断した場合には、その相手との交渉は断つべきでしょう。対処法としては、他の人を交渉相手にできないか、1対1ではなく関係者を巻き込めないかなどを考えるべきだといえます」

 

まとめ


いかがでしたでしょうか? 交渉において念頭に置くことは、理屈や正論ではなく、相手の感情に寄り添い、利害が一致した関係を形成することだということが分かりました。

取材の最後に、交渉が苦手だと悩む若いビジネスパーソンに向けて、石井琢磨さんからアドバイスをいただきました。

「交渉が苦手な人は、自分の感情に影響されやすい人なのではないかと思うんです。怒られたらへこむし、侮辱されたら怒るのは人間として当然のこと。しかし、自分の感情を切り離して目的の達成に集中する経験を繰り返していくことで、どんな相手や状況であろうと対応できるようになっていきますよ」

誰にでも得意/不得意な相手はいるもの。ただ苦手意識を持つのではなく、あなたも次の交渉から、連帯関係を意識して交渉にあたってみてください!


※この記事は2015/07/21にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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