後悔はもう卒業! 失敗を成長につなげる“反省法”4つのコツ

社会人としての経験値を高めてくれる、仕事の失敗。しかし失敗したときにただ自分の犯したミスに対して落ち込んでばかりいては、「失敗から学ぶ」という成長の機会を逃してしまいますよね。

後悔はもう卒業! 失敗を成長につなげる“反省法”4つのコツ

社会人としての経験値を高めてくれる、仕事の失敗。しかし失敗したときにただ自分の犯したミスに対して落ち込んでばかりいては、「失敗から学ぶ」という成長の機会を逃してしまいますよね。

そこで今回は、“後悔”と“反省”の違いや、自分を成長させるための反省の仕方について、心理カウンセラーの小高千枝さんに伺います。

反省と後悔の違いとは


反省は自分の経験値を高めるチャンスとはいえ、「後悔と反省はどう違うのだろう?」と疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。

そこでまずは、後悔と反省の違いについて聞きました。

◎過去に固執し続ける「後悔」


「後悔とは文字通り、既にしてしまったことについて後から悔やむことです。失敗を思い出し、『どうすればよかったのか?』『何が悪かったのか?』と犯したミスを見つめてはいるものの、過去に対する執着心が強いため、悩んだままそこに停滞し、前進しなくなってしまいます」(小高さん:以下同じ)

また、人は思い詰めることで自分自身を追い詰めてしまうと、未来を見ることを自ら拒んでしまう傾向にあるのだそうです。つまり、未来を見ることを拒むことが、失敗の体験を成長へとつなげられない原因となるようです。

◎悔やみを未来に発展させる「反省」


「反省とは、自分の普段の行動・あり方・物事の捉え方を振り返って、それでよいかを考えることです。失敗を思い出し悩むところまでは後悔と同じですが、失敗からの学びを次に発展させようとする意識が存在するため、自分の悪い癖などのマイナス面を見つめ、改善し、プラスへ導くことができます」

過去を振り返る状態で停滞するのではなく、そこから次に発展させようという意欲を持つことで、行動や思考の癖に変化がもたらされ、未来を切り開くことができるようになるのだそうです。つまり、反省をすることで、過去の失敗体験を生かし、自分なりの充実した幸福感を得ながら成長へとつなげられるのです。

失敗を成長につなげる4つの反省法


それでは、どのような反省の仕方をすれば、失敗体験を自分の成長へとつなげられるようになるのでしょうか。

◎まず早急かつ誠実な謝罪を行う


「ミスやトラブルを起こして相手に迷惑をかけてしまったときには、相手との信頼関係を取り戻すために、まずきちんと謝罪を行うことが大切です。タイミングを逃すと火に油を注ぐことにもなり、許してもらえることも許してもらえなくなるので、謝罪は早急に行うこと。そして、相手に対してなぜミスやトラブルが起きたかという原因を誠実に説明しましょう」

◎客観的な視点を持って失敗体験と向き合う


「失敗を体験すると自己嫌悪に陥り、消極的になってしまう傾向があります。しかし臆病になりすぎてしまうと負のスパイラルに巻き込まれてしまいますので、反省するべき失敗体験を受け止め、原因を探り、自分なりにどうするべきだったのかを具体化し、理解する必要があります。

そのためにも、原因を明確にする際は紙などに書き出したり、信頼できる人に話をしたりと、自分を客観視する癖をつけることがポイントです」

◎失敗を生かすための行動指針を持つ


「膨大な数のビジネスパーソンのキャリアを分析したアメリカの心理学者・キャリアカウンセラー、ジョン・D・クランボルツによれば、人は偶然起こったことをきっかけに新たなことを始めたり、偶然の出会いによって念願の仕事に就けたりと、個人のキャリアの8割は予想外の偶発的なことによって決定されるという『計画的偶発性理論』を提唱しています。

そしてその理論では、以下の行動特性を持っている人に起きた偶然はキャリアに良い作用をもたらしやすいとされています。

「好奇心」:常に物事から何かを学び取ろうと好奇心を持つこと。

「持続性」:失敗したとしても、くじけず努力し続けること。

「柔軟性」:物事に対するこだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること。

「楽観性」:新たなチャンスは必ずやってくる、それを生かすことができるとポジティブに考えること。

「冒険心」:結果が見通せなくとも、リスクを取って行動を起こすこと。

この5つを行動指針として持つことで、物事に対して積極的になることができ、起きたことを確実なステップアップへとつなげることが可能になります」

◎反省の生かし方を公言する


「失敗を成長へつなげるには、自分のなかで行った反省を次の行動へとつなげる必要があります。そのために効果的なのが、目標を大勢の前で公言する『パブリックコミットメント』。人前で公言することは、『公言した内容がうそにならないようにしよう』という自分との約束にもなるため、行動へ移しやすい状況をつくり出すことができるのです。

また、公言する目標を設定する際には、以下の3点を意識するようにしましょう。

◎目標は当事者である自分が立てる


他人が決めた目標を遂行することは“やらされている感”が芽生え、支配やコントロールをされている感覚に陥り、モチベーション減少につながります。自分で目標を立てることにより主体性が高まり、達成欲求が強くなります。

◎取り組みやすいよう目標の内容を具体化する


抽象的でイメージが湧きにくい内容では、向かうべき方向が明確に定まりません。より具体的に、分かりやすい数字や期限などを提示することで、いつまでに何をすることが効果的で生産性があるものかが見えてきます。

◎成長のために達成できると思われるレベルより少し高めの目標を立てる


手が届かない目標を立ててしまうと、途中で息切れをしてしまい達成意欲が減少、不安感情や焦燥感が強くなります。また、低すぎる目標も自尊感情が高まりません。手が届きそうで届かない目標をひとつずつクリアし、気がついたら大きな目標を達成していたという状態になることが大切です」

反省会で自分を見つめ直そう


失敗を悔いの残る体験として終わらせてしまうか、明日への糧として役立てるかは自分次第。また、失敗と向き合うことは自分を客観的に見つめ直す機会にもなります。一年を振り返るこの時期だからこそ、皆さんもぜひ自分のための反省会を開いてみてはいかがでしょうか。


識者プロフィール
小高千枝(おだか・ちえ) 心理カウンセラー・メンタルトレーナー。大手派遣会社のキャリアカウンセラーに就きながら心理カウンセラーとしての活動を始めた後、女性専門のカウンセリングルームを開業。男女関係やモラルハラスメント、鬱などのカウンセリングをメインに女性スポーツ選手のメンタルケアや企業カウンセリングなどに携わる。現在は、多数のカウンセリング臨床経験をもとに、精神科医・名越康文監修の男女共に通える『メンタルケアサロン~ピュアラル』にて代表カウンセラーとして従事する。

※この記事は2015/12/04にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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