寺カフェのお坊さんに学ぶ、聞き上手になる6つの極意

信頼されるビジネスパーソンになるためには、“聞き上手”になることが大切。でも、いったいどうしたら聞き上手になれるのでしょうか?

寺カフェのお坊さんに学ぶ、聞き上手になる6つの極意

信頼されるビジネスパーソンになるためには、“聞き上手”になることが大切。でも、いったいどうしたら聞き上手になれるのでしょうか?

“聞く”ことに関するスペシャリストが集まっている場所が、代官山にあります。お坊さんがいるカフェとして今話題の「寺カフェ代官山」です。

「仏教をもっと身近に」との思いで2013年にオープンした寺カフェ代官山。店内にはお坊さんが常駐しており、声をかければ仕事、恋愛、人間関係などどのような悩みにも耳を傾けてくれるという、ユニークなカフェです。

今回は、そんな“現代の駆け込み寺”である寺カフェで、現代人の悩みに耳を傾け続けるお坊さんのひとり、御住職である浅野弘毅さんに、聞き上手の極意を教えてもらいました!

聞き上手の6つの極意

 

◎“得る”のではなく“与える”ことを意識する


「仏教でいう“布施心”、つまりひとになにかを与える心がないと、やはり聞き上手になれないですよ。

今の世の中では、とにかく自己主張をして、自分に対する承認を得るなど、他人からなにかを獲得することで幸せになろうとする人が少なくありませんね。

でも、自分の利益になるものを得ようという気持ちで話を聞くと、自分も相手も幸せになれません。“得る”のではなく“与える”ことを意識して相手の話を聞くと、相手も心を開きますし、自分も優しい気持ちになれて、幸福を感じることができるんです」(浅野弘毅さん:以下同じ)

◎相手に話をする時間を与える


「では、具体的になにを相手に与えることができるのか。一番大切なのは、“時間”を与えるということです。

悪い例ですが、結婚詐欺で有名なさえない男が、『なぜお前のような男が女性に好かれるのか』と聞かれたところ、『簡単なことだ。俺は暇だから、彼女たちの話を聞いてあげる時間があるんだ』と言ったそうです。

相手の話をじっくり聞いてあげることは、なかなか難しいことなんです。時間がなかったり、自分の主張や意見があったりするからです。しかし忙しいなかで時間をつくったり、自慢話をしたくなる気持ちをぐっとこらえたりして、相手に話をする時間を与えることができると、聞き上手になることができます」

◎聞かれたけれど分からないときは「分からない」と言う


「どんな質問にも即答して、良い答えを出すひとが素晴らしいと思われがちですが、ものごとの答えを出すのはそんなに簡単ではありません。

たとえお坊さんのように修行を積んでも、何でも答えを知っているスーパーマンにはなれない。浄土真宗の開祖である親鸞聖人、『そんな人にはなれません』と言っています。だから、なにか質問されたとき、分からないことは分からないでいいんです。絶対に正しい答えを出せるわけではないのですから」

◎悩みについて一緒に考える


「相手からなにか悩みを相談されたら、答えを出すのではなく“一緒に考える”ということが大切です。

もちろん、すぐ答えを出せる悩みもあります。『大金が落ちていたら交番に届けた方がいいですか?』とかね。でも、人間の悩みというのはそんなに簡単に答えを出せるものではありません。

たとえば夫婦仲がよくないと相談されても、原因の一部は旦那さんにも奥さんにもあるだろうし、一概に『これが原因だ』と特定することはできません。なので、その解決策も簡単には出せない。そのため、そうした悩みを相談されたとき、安易な答えを伝えるのではなく、“一緒に考えましょう”という態度を示すことが大切です」

◎相手と同じ気持ちになる


「相手の悩みについて一緒に考えるうえで大切なのは、相手と同じ気持ちになることです。

親鸞聖人はあるとき、弟子にこう相談されたそうです。『南無阿弥陀仏といくら唱えても、ちっとも幸せになれない。これはどういうことなのか』と。すると親鸞聖人は『お前もか、実は私もそうなんだ』と答えたそうです。

仏教では、“対治”と“同治”という言葉があります。悩んでいるひとに『悩んでいちゃダメだ』と言って励ますのが“対治”であり、親鸞聖人のように『私もその悩みが分かるよ』と相手と同じ気持ちになってあげるのが“同治”です。

この“同治”の心を持つことで、相手が『悩んでいるのは自分だけではない』と思うことができ、心の重荷を降ろしてあげることができるのです」

◎秘密は守る


「お坊さんは、『守秘義務』なんて教わったことはありません。けれど、お坊さんは聞かされたひとの悩みはひとことも他人に漏らさない。

『この人なら話しても大丈夫だ』という信頼があってこそ、誰にも言えないような話も打ち明けることができるのです。相手の秘密を守るということは、聞き上手になろうとすれば必要なことでしょう」

まとめ


いかがでしたでしょうか? 聞き上手になることができれば、多くのひとから信頼されるようになり、仕事でもプライベートでも、良好な人間関係を築くことができるでしょう。ぜひ、今回紹介した聞き上手になるための極意を実践してみてくださいね!


※この記事は2015/09/18にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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