LINE谷口マサト流、ヒット記事を生み出す6つの秘訣

「カップラーメンをどこまで豪華に撮影できるか試してみた!」や「大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた!」など、

LINE谷口マサト流、ヒット記事を生み出す6つの秘訣

「カップラーメンをどこまで豪華に撮影できるか試してみた!」「大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた!」など、

話題の記事広告を次々に制作し注目を集める、LINE 広告事業部の谷口マサトさん。

彼はなぜ、ヒット記事を連発することができるのでしょうか? 今回は谷口さんが面白い記事を生み出す秘訣を、ご本人へのインタビューから迫ります!

谷口さんお気に入りの面白記事3選


まずは谷口さんを知らない方のために、谷口さんが手掛けた記事のなかで、自身がお気に入りだというものをいくつかご紹介します。

大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた!

「この記事はみんなが良いと言ってくれますし、思い出深い企画ですね。実はこれ、実際に大阪に行ってからロケハンしてその日のうちに撮影したんです。こういうアドリブ感も面白い記事につながっているのかなと思います」(谷口さん:以下同じ)

1500年前の古墳女子とデートしてみた!

「もともと、地域のPRをやりたいという思いがあったんです。観光地の広告って、ネットだとまだまだなかったりするんですが、実は相性が良いんですよね。記事だと10カ所ほどのスポットを約5千文字で紹介したのですけど、これってテレビCMだと、そこまで長い紹介はできないですよね。タイアップ記事でも、ちゃんとコンテンツになっていないと長文は読まれません」

『人は何万円でドキドキできるのか?』を実験した結果が深い

「これは最近の企画です。ストーリー性がしっかりあって、最後は良い話になって落ちているところが気に入っています。『記事を読んで泣いた』というユーザーの反応があって、とてもうれしかったですね。笑いには飽きてきたので(笑)」

谷口流、面白記事を作る6つの秘訣


今回紹介した記事を読むと分かる通り、谷口さんが手掛けた記事の特徴は「とにかく面白い!」ということ。いったいこれらの面白記事は、どのように生み出されるのでしょうか? ここからは、その知られざる秘訣を公開します。

秘訣その1:「無意識」を利用してイメージを組み合わせる


「私は昔も今も空手をやっていて、武者修行でアメリカ留学までしているんです。今思うと、空手が広告作りのヒントになっているのかなと感じますね。武道やスポーツって、突き詰めていくとみんな『無意識』、つまりはどれだけ無心で取り組めるかを努力をしているわけなんですよ。

Webの記事制作も近いものだと思っています。考えようとして考えたものって、あまりユーザーにウケないんです。なので、常に意識の対象を自分から外す努力をしています。本当に企画出しに切羽詰まると、寝づらい状態にして寝たりしますね。ソファーで寝たりして、意識が薄ぼんやりしている状態でイメージを組み合わせていくんです。たまにホントに寝ちゃって困るときもあるんですけどね。朝起きたらなんにも企画を覚えてない、みたいな(笑)」

秘訣その2:違和感のある組み合わせでツッコミを呼びこむ


「記事に使う最初の表紙は絶対に違和感のある絵にしています。この『変な絵』っていうのは、実際インパクトのあるものを組み合わせただけなんですよね。何かと何かを組み合わせて、そこに違和感があるかどうかってことだけです。

そうすることでユーザーは『ツッコミ』をしやすくなり、ユーザー同士のコミュニケーションのネタにされ、SNSでシェアされやすくなります」

秘訣その3:スベれる場所でスベッておく


「そもそも企画って、スベるのがほとんどだと思うのですが、『どこでスベるべきか』を考えたほうが良いと思います。スベることを恐れる人は、自分で壁をつくってしまっているんですよね。でもネットの記事って、大抵スベっても自分と近い人以外は誰も気付かないんですよ。

あるお笑い芸人は、ライブでいろいろネタを試して、ウケたものだけをテレビで披露するなど、使い分けていると聞いたことがあります。それってつまり、『スベり場所』を選んでいるわけですよね。私も、ブログなどで個人活動をやっていることもあり、そっちでは散々スベれるんです。なので、私自身もブログなどでネタを試して、良かったものを仕事に使うなどしています。事前にブログなどでスベッておくというのは、プロセスとして良いことだと思いますよ」

秘訣その4:脳内映像メモをつくる


「私は、『インパクトがある企画』とは、いかに『記憶に残るか』が大切だと考えています。例えば映画でも、衝撃を受けたシーンは記憶に残りますよね。記事も同じように、どうすれば『記憶』してもらえるのかという観点から、アイデアを発想することが大切です。

ありえない組み合わせほど、脳は『新しい情報』だと認識してくれるので、ユーザーが記事を目にした際に記憶しやすくなります。そこで私は常々、頭の中に映像としてメモをつくるようにしています。頭の中に文字とは別の新しい情報をイメージすることで、自分がアイデアの種を記憶しておく際にも、実際にユーザーが広告を目にした際にも抜群に記憶に残りやすくなるのです。

例えばパスワードで「4ru24」といったものを覚えるときには、「4ru=よる=夜」「24=にじ=虹」と頭の中で変換し、「夜の虹」というありえない映像を語呂合わせでイメージすると、インパクトが強くなり、記憶しやすくなります。

このように、日頃から記憶に残るものを映像としてインプットしておく習慣を身に付ければ、結果としてアイデアを出す力も付いてくるのではないかと思います。もちろん私も文字でメモを書いたりもするのですが、後から読み返しても解読できないくらいのメモです(笑)」

秘訣その5:リアリティーとフィクションを組み合わせる


「お蔵入りになりましたが、以前『ヤラセハウス』という、『テラスハウス』のパロディみたいな記事を企画しました。『参加者の中で誰がやらせなのか当てる』みたいな企画です。リアリティーがテーマの『テラスハウス』に、フィクションとして『やらせ』を入れたこの例のように、リアリティーとフィクションを組み合わせるのが好きですね。

例えばPCだと、昔からのネットユーザーが多いので、リアリティー重視の記事しかウケないんですよ。だけどスマホだと若い人が多いので、フィクションだからといってあまり気にしないんです。まだまだ世間的には『フィクションは痛い』と思われてはいるのですが、痛いものが面白がられ、それを他人にも見てほしいから拡散する。若手ネットユーザーは、面白ければ広告と分かっていても受けて入れてくれるんです。今後スマホはさらに浸透するので、若手ユーザーに歓迎されるリアリティーとフィクションを組み合わせた記事を作れば、有利に働くんです」

秘訣その6:最短で伝えることができる表現方法を用いる


「Webの記事では紙媒体と違い、いかに言葉ではなく、画像をベースに考えているかが大事なポイントとなります。逆に文章は必要最低限か、会話文でよいのです。私がよく実践しているのは、『フォト紙芝居』という方法ですね。お気に入りの記事で紹介したものもそうですが、写真の組み合わせで紙芝居のような記事を作ったものです。

前述の通り、画像をうまく活用することでユーザーの記憶に残り、ツッコまれやすくなります。制作者もみんなテレビや映画を見て育っているので、どうしても映像を作りたがるんですけど、ネットの場合は紙芝居で済んでしまう場合の方が多いんです。動画は状況を説明する際、役者が延々と説明するシーンがありますが、ネットの場合は表現の方法を選ぶことができるので、テキストで表現することもできるんです。

このように、伝えたい内容に基づき、最も短い時間で伝えられる表現方法(テキスト、写真、動画、GIFアニメなど)を選び、記事の中で紙芝居のように組み合わせて、多くの情報をできるだけ短い時間の中で圧縮して伝えるようにしています」

いかがでしたでしょうか。谷口さんがヒット記事を連発できる背景には、文字をベースにした論理で考えずに、無意識をうまく活用していることがありそうです。映像で発想し、写真で表現するのも、ユーザーが無意識に「面白い!」と思える記事を作るためといえるでしょう。皆さんも、「面白い企画をつくりたい」と思いつつ、理屈で考えすぎていることはありませんか? そんな方はぜひ、無意識を活用してみてください。


識者プロフィール
谷口マサト(たにぐち・まさと)/
1972年、滋賀県生まれ。LINE広告事業部チーフプロデューサー。横浜国立大学の建築学科を卒業後、建築業界には進まず、空手修行のため渡米。帰国した後いくつかの制作会社・コンサル会社を経て、ライブドアへ。現在はLINEにて、企業とのタイアップ広告企画を主に担当する。また一方で、個人サイトの「chakuwiki/借力」は累計4億PV以上。Webサイトから『バカ日本地図』などの書籍を出版、今年には『広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門』を刊行するなど、幅広い活動を展開している。

※この記事は2014/12/26にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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