モチベーションを操る! やる気が出ないビジネスパーソンのための10の極意

「難しい仕事を前にするとやる気が出ない」「月曜日はいつも憂鬱になる」……ネガティブな気持ちに引きずられると、仕事の生産性が上がらなくなるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。モチベーションのコントロールは、世のビジネスパーソン共通の課題といえます。

モチベーションを操る! やる気が出ないビジネスパーソンのための10の極意

「難しい仕事を前にするとやる気が出ない」「月曜日はいつも憂鬱になる」……ネガティブな気持ちに引きずられると、仕事の生産性が上がらなくなるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。モチベーションのコントロールは、世のビジネスパーソン共通の課題といえます。

もし「なかなかやる気が出ない自分」を卒業できたら、仕事の効率はみるみる上がるはず。そこで今回は「やる気の出し方」をテーマに、やる気が出ない原因とやる気をグングン引き出す方法を学びましょう。

お話を伺ったのは、「やる気があふれて、止まらない。―究極のモチベーションをあやつる36の習慣」 の著者であり、メンタルトレーニングなどの講演も多数行っている早川勝さん。今回はやる気を引き出す10の極意を教えていただきました。今日から実践して、モチベーションをコントロールできる自分にシフトチェンジしてみませんか?

<関連記事>モチベーションを上げる方法とは?明日から実践できる10の方法

やる気が出ないのは、過去や未来にとらわれているから


人はそもそも、どうしてやる気を失ってしまうのでしょうか? まずは早川さんにこのシンプルな質問をぶつけてみたところ、こんな答えが返ってきました。

「一言でいえば、自分自身を俯瞰できていないことが原因でしょう。人がやる気を失うのは、共通して自分の感情に振り回されている時。上司に怒られて嫌な気持ちになったとか、雨が降っているから会社に行きたくないとか、つまりベクトルが内向きになっている自己中心的な状態です」。

この「自己中心的な状態」は、きっと皆さんも身に覚えがあるのではないでしょうか? さらに早川さんは続けます。

「やる気はどこからか湧いてくるものではなく、もともと自分のなかにあるものです。それが引き出せないのは、『今この瞬間』を生きていないということ。過去にとらわれていたり、未来の心配をしていたりといった時は決してやる気は出てきません」。

今この瞬間に意識を集中させること。まずはそのことをベースに置いておく必要があるんですね。

"サボり"もOK!? モチベーションをコントロールする10の極意


競争の厳しい生命保険業界において、30年近くにわたりトッププレイヤーとして活躍する早川さん。現在は数百名の部下を持ち、新プロジェクトのエグゼクティブトレーナーを務めているそう。そんな早川さんが日々の習慣にしている、モチベーションをコントロールする10の極意を教えていただきました。

1.本気でサボる


「最近の若手ビジネスパーソンはマジメな人が多く、サボることを避ける傾向があると思いますが、やる気を出すにはむしろ上手にサボるべきです。そもそも、やる気をずっと出し続けるのは無理なこと。オンとオフの区別をハッキリつけて休む時は休む、働く時は働くことを意識しましょう」。

「何カ月もダラダラと仕事をするのではなく、例えば海外旅行にでも行ってみる。そうやって十分リフレッシュして、その後はスイッチをオンにして集中して働くと、本領が発揮できますよ」。

2.「がんばります」を封印する


「私が率いる組織では『がんばります』は禁句にしています。なぜなら『がんばります』はその裏に『できないかもしれないけど、できるだけ努力はします』というニュアンスが含まれているようにも受け取れるから」。

「『がんばります』ではなく、『いつまでに〇〇をやります』と具体的に明言するようにしてください」。

3.無理のないダイエットをする


「好きなものを好きなだけ食べて自分を甘やかす方法は、一時的なやる気アップで終わってしまいがち。長期的にやる気を引き出すためには、具体的な目標を持ってダイエットに取り組むほうが効果的です。なぜなら健康を維持する、すなわち自分を大事にすることで、結果として自分のマインドにプラスの効果をもたらすからです」。

「とはいえ、長続きしないハードな運動をする必要はまったくありません。例えば私は『階段を登る』ことを習慣にしていますが、最初こそ少々ツラいものの、慣れてくれば気分も爽快ですよ」。

4.人を笑わせる


「これまでのビジネスライフを振り返り、私が高いやる気を維持できたのは、どんな時でも周囲の人を笑わせてきたからに他なりません。笑わせるという行為は、人を喜ばせるおもてなしのようなイメージです」。

「笑うことで元気になった相手から、そのお返しとしてさらなる『やる気』をいただけるのです。これはモチベーションアップに絶対的な効果を発揮しますよ」。

5.目の前のゴミを拾う


「やる気とは行動する人にだけ湧き上がってくるものです。目の前の課題を放置しておけばますます事態が悪化し、さらにやる気を下げる原因になってしまいます」。

「まずは目の前に落ちているゴミを拾ってみましょう。このわずかな行動でも、動き出すことでやる気がめぐってきます。他の誰でもなく自分がやる。この気持ちが何より大事です」。

6.やる気パーソンを徹底的に模倣する


「やる気を失っている人は、自分の考え方にとらわれている傾向があります。自分のやり方が一番だと信じて、他者の意見を受け入れない。仮に行き詰まったらイライラが募り、挙句の果てにやる気を失ってしまいます」。

「素直な気持ちで他者から学ぶ姿勢こそ、やる気を高めるセオリーです。周囲を見渡してやる気があふれている人、結果を出して成功している人がいたら、彼らを徹底的にまねてみましょう。生活習慣や手帳の使い方、髪型、服装、言葉遣いなど。模倣することで彼らに近づくことができます」。

7.鏡の前で笑顔をつくり、自己実現できた姿を想像する


「私は毎朝1時間以上かけて鏡の前で身だしなみを整えていますが、これは自分の姿に見とれているわけではなく、鏡を通して自分自身に『アファーメーション』しているのです。アファーメーションとは肯定的な自己宣言、わかりやすく言えば願望が現実化したように洗脳すること」。

「私の場合は鏡の前で笑顔をつくり、『私は超ツイてる』『私は幸せ者だ』などと自分自身に語りかけます。運や幸福感は自分の能力とは直接関係ないため、自分の能力に自信のない人でも自然とポジティブ思考へ切り替えられるんです。ぜひ習慣として取り入れてみてください」。

8.口ぐせをポジティブに変える


「言葉の使い方ひとつで、人のやる気は大きく左右されます。私が仕事で成果を出せたのも『ポジティブな言葉のおかげ』であることは間違いありません」。

「私が過去に支社長を務めていた時のことです。支店の評価項目10個全てにおいて1位を達成することを目指し、『10冠王を獲る』というスローガンを掲げました。そして四六時中『10冠王』と唱え続けたところ、弱小だった支社が10項目で全国1位を達成したのです。やはり言霊のパワーは偉大だと確信した出来事でした」。

「逆に『無理だ』『できるわけがない』といったネガティブな発言は瞬く間に自らのやる気を下げ、望まない結末へ導いてしまうので十分に気をつけましょう」。

9.現状維持への執着を捨てる


「それなりにうまくいくようになると、人は『現状維持』を望むようになります。しかし、周りが変化していく中で、自分だけ変わらない毎日が続くことはまずあり得ません。挑戦をせず楽な道を追い求めれば、成長もやりがいも感じられず、いつの間にかやる気も失われるもの」。

「現状維持への執着を捨て、常にネクストステージを目指す。新たな勉強をする、斬新なやり方を取り入れてみるなど、同じ場所に居座らないことが大事です」。

10.見返りを期待せず人に与える


「小説家・思想家のトルストイが残した名言にこんな一文があります。『人生にはただ一つだけ疑いのない幸福がある。それは、人のために生きることである』。自分がやる気で満たされたいのなら、先に相手をやる気で満たしてあげる」。

「見返りを期待せず心からのサポートをすることで、必ず大きな見返りとなって返ってきます。与えた相手から直接返ってこなくても、巡り巡って誰かから恩恵を受けることもあるでしょう。『いつか返ってくる』と信じて与え続けられる人こそ、本物のやる気を維持することができるのです」。

チーム全体のやる気を引き上げるには、自ら率先して行動せよ!


これまで幾度となくリーダーとして指揮を執り、チームで大きな成果を挙げてきた早川さん。チーム全体のやる気を引き上げるための効果的なふるまいや考え方についてもお聞きしました。

「前提として、誰かをコントロールすることなんてできないものです。もしあなたがリーダーとして指揮を執る場合は、率先して模範になることを意識してみてください。人間関係とは鏡のようなもの。自分が見本を見せることがもっともやる気を引き出すのに効果的だと思います」。

さらに早川さんはチーム内の人間関係を向上させ、モチベーションを上げる効果的なふるまいについて、自身の体験を交えて話してくれました。

「ベタですが、メンバーを褒めるのはオススメです。よいしょするわけではなく、その人に関心を持つということ。自分を知って認めてくれるのは誰しもうれしいじゃないですか」。

「部下たちにも、自分の大切な人の好きなところを100個書くトレーニングをやってもらっています。私自身は先日、3人の娘の好きなところをそれぞれ100個ずつ伝えました。お互いの関係性の向上に非常に高い効果を発揮しますよ」。

大切な人とはいえ、好きなところを100個見つけるのは難しいことに思えますが、早川さんいわく見た目で10個、性格で10個、仕事で10個など、カテゴリーに分けて考えるのがコツだそうです。毎日1回メンバーを褒めるなど、簡単なことから始めても良いかもしれませんね!

感情をコントロールできるビジネスパーソンになろう


最後に、早川さんから20代の若手ビジネスパーソンへ向けて、メッセージをいただきました。

「私は長年、生命保険業界に身を置き営業職に従事するなかで、働き方のみならず『人生』を学ぶことができました。お客様の人生に寄り添ってご提案をする生命保険を扱うことで、これからどう生きるべきかを深く考えたからです」。

「皆さんも仕事を通じて、生き方を学べる機会が多くあるでしょう。ご自身のなかにあるやる気を湧き上がらせて、仕事に取り組んでくださいね」。

日々仕事をしていれば、つらいことも大変なことも必ず経験します。時にはすっかりモチベーションをなくしてしまうこともあるでしょう。でもそんな時こそ「感情をコントロールできる自分」になるチャンス。

やる気は誰もが持っているものです。このことを忘れず、階段を上るように日々の行動を少しずつ変えていきませんか。そうすれば、やる気があふれて止まらない未来の自分にきっと出会えるはずです。

(取材・文:小林香織/編集:東京通信社)

識者プロフィール


早川 勝(はやかわ・まさる)
世界有数のフィナンシャルグループを母体とする外資系生命保険会社に入社以来、トップクラスの成果を上げ続け、数々のタイトルを獲得。営業所長、支社長として、どん底の組織を再生させるなど、最大かつ最高の生産性を誇るコンサルティングセールス集団を創り上げ、No.1マネジャーの称号を得る。その後も大手生保各社からのオファーを受け、統括部長や営業本部長として歴史的改革や新規プロジェクトの指揮を執る。現在もマネジメントの最前線で活躍中。
その一方で、豊富なキャリアの中で培った能力開発に関する執筆や講演活動などを行い、主な著書に、『やる気があふれて、止まらない』(きずな出版)他10作がある。
公式サイト:http://tsuitel.in/books/

※この記事は2018/03/28にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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