アメとムチの使い分けが鍵! 三日坊主さんへ贈る、まずは30日続ける習慣化レッスン

「今年こそ早起きするぞ!」「英語を身に付けるぞ!」、そんなふうに気合いたっぷりで目標を定めたものの、1週間もしないうちに挫折してしまった……なんて方、多いのではないでしょうか?

アメとムチの使い分けが鍵! 三日坊主さんへ贈る、まずは30日続ける習慣化レッスン

「今年こそ早起きするぞ!」「英語を身に付けるぞ!」、そんなふうに気合いたっぷりで目標を定めたものの、1週間もしないうちに挫折してしまった……なんて方、多いのではないでしょうか?

これまでに何度となく挫折を繰り返したせいで、すっかり自信をなくしてしまった方もいるかもしれません。

でも、まだあきらめないでください! きっとそんな方は、習慣化させるためのコツを知らないだけ。今回は「30日で人生を変える『続ける』習慣」の著者であり、習慣化コンサルタントの古川武士さんに、物事を継続させる習慣化の極意を伺いました。

古川さんが提唱する方法は、決して気合いだけで乗り切るというような方法ではありません。「いかにラクに楽しく続けるか」にスポットを当てています。人間の心理を上手に利用したメソッドが盛りだくさんで、これまで何かしら挫折を経験したことがある人にこそ読んでほしい内容です。

習慣化が難しいのは「本能」に逆らっているから


そもそも私たちは、なぜやる気があっても習慣化に失敗してしまうのでしょうか? その答えはズバリ「本能にある」と古川さん。

「私たちの脳と体は、無意識のうちに“いつもしている行動”を安全だと思い込んでいます。そして人間は本能で安全を求めているもの。だから何かしらのキッカケをつくらない限り、人はいつも同じ行動を繰り返すのが当たり前になっているんです。

たとえば朝起きて出かけるまでの一連の行動って、考えなくても勝手に体が動きますよね。これは数え切れないほど繰り返したことにより、『この行動がもっとも安全な行動だ』と脳にプログラミングされているからです」(古川武士さん:以下同じ)

上記の法則を踏まえると、新しい物事を始めようとするとき、人は本能に逆らっている状態になるということが言えます。古川さんいわく、このときの抵抗感を乗り越えることが習慣化の鍵となるそう。

「頭では『新習慣を身に付けたい』と思っていても、脳と体は“いつも通りのこと”をしたがります。挫折してしまう最大の原因は、本能に負けてしまうからなんです。ではどうしたら習慣化に成功するのか。それは脳が当たり前だと認識するまでの期間、繰り返し続けることです」

そうなると、「一体どのくらいの期間続ければいいの?」という疑問が湧きますよね。これは、習慣化したい内容によって異なるのだそう。具体的には以下の3パターンです。

1.行動習慣(日記・勉強・節約など)

「おおよそ1カ月の継続が必要。これらは比較的、習慣化に成功しやすいと言えます」

2.身体習慣(ダイエット・禁煙・早起きなど)

「おおよそ3カ月の継続が必要。生命にダイレクトな影響を与える身体習慣は、生存本能が働き抵抗感が強まるため、やや習慣化は難しくなります」

3.思考習慣(ポジティブ思考・発想力など)

「おおよそ6カ月の継続が必要。思考はもっとも習慣化に困難が伴います。というのも思考がコロコロ変わってしまうと、いわゆる躁鬱(そううつ)のような状態になり生活に支障をきたしてしまうため、そう簡単に変わらないようにできているのです」

本能の抵抗が強くなる行動ほど習慣化が難しくなるというワケですね。ただ、習慣化のコツはステップや期間が若干異なるものの、どの行動でも大きくは変わらないそうです。

習慣化を成功に導く3つのステップ


ここからは、3つのステップに分けて行動をコントロールしていく、古川さん流の習慣化のコツをご紹介します。ここで紹介するステップは、「行動習慣」を継続することを想定した期間で設定しています。

ステップ1.反発期(1~7日)


「最初の1週間はもっとも挫折する人が多い時期。なぜなら、始めたばかりの頃はもっとも本能の抵抗感が強いからです。この時期のコツはとにかく小さく続けながら、記録を取っていくことです。

たとえば日記を書くことを習慣化したいなら、ノートを開いて閉じるだけでいい。ランニングしたいならウェアを着るだけでいい。私はベビーステップと呼んでいますが、最初の1週間は『面倒くさい』という感情が湧かないぐらいハードルが低い行動にしてください。ただ、行動はゼロにしないこと。人は0.1でも動けば、『やる理由』を考え始める生き物なんです。

そしてラジオ体操のスタンプカードのように、達成できたらシンプルに記録していきましょう。記録して行動を客観的に見ることも、モチベーションの材料になります」

ステップ2.不安定期(8~21日)


「最初の1週間を乗り越えたら、8日目から少しハードルを上げましょう。このときに行動を妨げるのは、急な残業や体調不良、悪天候など、何かしらの影響で行動にムラが出たりサボってしまったりすること。

この時期は、仕組みづくりに注力すると効果的です。基本は毎日同じ時間、場所、方法で行動するようにパターン化して生活リズムに組み込みますが、そこに突発的に予定外のことが起こったときのための『例外ルール』を設けておきます。たとえば、急な残業などで継続が難しい日は30分の勉強を10分にする、休日に振り返る、などですね」

ステップ3.倦怠期(22~30日)


「何事も同じことを続けていれば、そのうち飽きがやってきます。ここで一番重要なのが、行動に変化を付けること。ランニングならいつもと違うルートを走ってみる、英語の勉強ならテキストの代わりにオンライン英会話を取り入れてみるなど。そうすれば、新鮮な気持ちで再スタートを切ることができます。

加えて、結果ではなく行動にスポットを当て、行動できたことで達成感を味わうようにしましょう。結果にとらわれてしまうと、結果が出ないことでモチベーションが下がってしまうだけでなく、目標を達成したとたんに燃え尽きて、まったく行動しなくなる人もいます」

アメとムチを使い分ける! 継続のツボ6つ


基本的には3つのステップを踏まえて、その時期に合った行動を取り入れることが習慣化の秘訣と言えます。ここからは、さらに日常的に行動を促す「継続のツボ」を6つご紹介しましょう。

1.ご褒美を与える【アメ】

「習慣化したい行動をクリアできたら自分が大好きなものを食べるなど、ご褒美を用意しておく方法です。なるべく習慣と結びつきがあるご褒美にすると、効果倍増ですよ」

2.褒めてもらう【アメ】

「誰彼かまわずではなく、友達、家族、同僚など、あなたが習慣化を達成することで恩恵を受ける人に褒めてもらうのがベストです。褒めてくれるようにお願いするか、行動したことを自らアピールしてみてください」

3.小さな儀式を行う【アメ】

「たとえば日記を書く前に5分間瞑想をして心を落ち着けてから書こうとか、片付けの前にお気に入りのエプロンを身に着けようなど、パッとできる小さな儀式を取り入れると、やる気が湧きやすくなります」

4.損得勘定を利用する【ムチ】

「お金を投資して、『習慣化させないともったいない!』と思う状態にするのも1つの手。わかりやすいのはジムに入会する、英会話スクールに通う、などですね」

5.習慣友達をつくる【ムチ】

「習慣化するにあたり、誰か信頼できる人と一緒にやる、もしくはサポーターになってもらうのもオススメです。ただし、相手のやる気が低いと引っ張られてモチベーションが下がってしまうので気をつけましょう」

6.周囲に宣言する【ムチ】

「どうしても自分に甘い人は、周囲に習慣化したいことを『やります!』と宣言して、あとに引けない状況をつくるとかなり効果的です。特定の誰かでも大勢の人でも大丈夫です」

楽しんだもの勝ち! 「やらねば」を「やりたい」にチェンジ


私たちの心はいつも、「楽しいこと」「ワクワクすること」に向かって引っ張られています。習慣化においてもこの法則を利用し、とにかく楽しいと感じられるようやり方を工夫することが大事だと古川さんは力説されていました。そして、習慣化に成功すると、「逆にその行動をしないとリズムが狂う」ようになるのだとか。そこまでいけたらしめたもの。「やらねば」が「やりたい」に変わるワケですね。

ベビーステップから始める習慣化は身に付くまでにやや時間を要するため、初めはもどかしい気持ちを抱くかもしれません。ですが、雄大な大河も1滴の雫からというように、たった一歩の行動が1年後、5年後、10年後にとてつもない差をつけていくはず。習慣を制するものは人生を制す。今日から、三日坊主を卒業する、小さなステップを踏み出してみませんか?

(取材・文:小林香織/編集:東京通信社)

識者プロフィール


古川武士(ふるかわ・たけし)
習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役
米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー
関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。約3万人のビジネスパーソンの育成と1000人以上の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。 オリジナルの習慣化理論・技術を基に、個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。 主な著書に『30日で人生を変える「続ける」習慣』『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』『7つの心のブレーキを外せばうまくいく「すぐやる習慣」』『マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣』『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』などがある。

※この記事は2018/05/10にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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