モチベーションを上げる方法とは?明日から実践できる10のコツ

前向きな気持ちで仕事を続けるにはモチベーションの意味を知ること、そしてモチベーションを効果的に上げていくことが大切です。今回の記事では、産業カウンセラーの大美賀直子さんに、モチベーションを上げる具体的な方法として、明日からすぐに実践できるモチベーションアップの10の方法も併せて教えていただきます。

モチベーションとは?上げる方法は?

仕事を続けていく上で欠かせないのが、「モチベーション」の維持です。モチベーションとは、ものごとを行う上での動機のことであり、やる気や意欲につながる思いのことです。モチベーションを高く保てば、仕事に対して前向きな気持ちで挑むことができますが、モチベーションが下がってしまうと仕事のことを考えることも苦痛になり、目の前の仕事から逃げ出したくなってしまいます。

モチベーションの意味

人間の心は意識的にモチベーションを上げて活性化させていかないと、気力を失ってしまいます。エネルギーが湧いてくるような刺激にふれ、心が潤うような活動をすることで、前進していくためのモチベーションが維持されるのです。モチベーションを効率的に高めるには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」という二つの方法を活用することが重要です。

モチベーションを上げる方法は大きく二つある

外発的動機付け

外発的動機付けとは、自分の外にあるものが誘因となり、それを得るために行動することです。例えば、より高い報酬を得るために仕事に励み、転職活動に力を入れる。周りからの賞賛を得るために、誰にもできない仕事に挑戦し続ける。報酬や地位、名誉や賞賛など、自分の外にある魅力的なものを得たいという気持ちによって行動することが外発的動機付けです。

【外発的動機付けの例】

  • この仕事をやり遂げれば昇給が望める
  • 今日中に書類を作成しないと上司から怒られる
  • このプロジェクトを成功させれば同僚から一目置かれる

内発的動機付け

内発的動機付けとは、自分の内側から生じる思いを満たすために行動することです。例えば、その仕事をすると楽しくて、時を忘れて取り組むことができる。好奇心が次々にかき立てられるから、研究や調査に没頭する。楽しさや好奇心、満足感や達成感など、自分の内側にある思いに突き動かされて行動することが、内発的動機付けです。

【内発的動機付けの例】

  • 仕事にやりがいを感じる
  • 日々、成長している実感を得られる
  • お客さんに喜ばれたい
  • 上司や同僚の役に立ちたい

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仕事でモチベーションが下がる原因

仕事をする上では、外発的動機付け、内発的動機付けの両方を満たしていくことが大事です。モチベーションを維持できない要因は、外発的動機付けと内発的動機付けのどちらかが満たされていないことが考えられますので、次の4つに心当たりがないか、振り返ってみましょう。

目標が不明確、または目標設定が高すぎる

何を得るために働くのか、外発的動機付けとなる目的や目標が具体的に定まっていないとモチベーションも定まりません。ただし目的、目標が高すぎると達成不可能に感じてしまうため、やはりモチベーションは上がりにくくなります。

評価が不透明、頑張っても中々評価されない

いくら頑張って働いても、報酬が上がらない。たくさんの貢献をしているのに、地位が上がらない。このように頑張っていることが正当に評価されず、「頑張っても頑張らなくても評価は大して変わらない」と感じてしまうと、報酬や地位を得るために努力しようという外発的動機付けにならず、モチベーションは下がってしまいます。

興味がないことをやっている

仕事に面白味を感じられず、興味がかき立てられないと、内発的動機付けが得られません。例えば、関心を持てない仕事を担当している。業務内容が決まりきっており、仕事をマンネリに感じている。このような場合には内発的動機付けが生じにくく、やる気が湧かなくなります。

業務に対してやりがい・納得感がない

仕事の内容に共感できず、意義の感じられない仕事であり、「これをやっていて何になるのだろう」と感じる。こうした場合、業務に対して納得感を得られず、働きがいという内発的動機付けを得られないために、モチベーションの維持が難しくなります。

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明日から実践! 仕事でモチベーションを上げる方法10選

仕事でモチベーションを上げるためには、外発的動機付けと内発的動機付けの双方を高められる具体的なアクションを起こす必要があります。おすすめしたい10の行動をお伝えします。

①分かりやすい中長期目標を設定する

仕事でモチベーションを高めるためには、「中長期目標」を設定する必要があります。中長期目標とは「ゴール」にあたるもの。例えば「〇年後には管理職になる」「○〇の資格を獲得して独立する」というように、遠い目標に思えても、仕事の延長線上にある大きくて分かりやすいゴールを設定しましょう。その目標を実現することが外発的動機付けとなり、モチベーションにつながります。

②目標を細かく設定し、小さな成功を何度も得る

中長期目標に向かうためには、スモールステップで進んでいくことが大事です。「仕事を効率化させるために、来月までにはこのソフトの使い方を修得する」というように、小さな目標を細かく設定して努力していくと、小さな達成感を何度も感じることができるため、目標達成という外発的動機付け、達成感という内発的動機付けを得られ、モチベーションを効率的に高めることができます。

③仕事が楽しくなる発想に意識的に転換してみる

日々の仕事も、発想を転換することでモチベーションを上げることができます。例えば「仕事はロールプレイングゲームだ」と想像すると、ドラマチックに楽しむことができます。この仕事(ゲーム)はどこをゴールに進み、現在はどのステージにいるのか。今週の自分のミッションは何か。チームメンバーとの連携はできているか。敵を想定してアイテム(技術)を増やせているか。このように日々の業務をゲーム感覚でとらえると、ワクワクと楽しくなって内発的動機付けが得られ、モチベーションが高まります。

④自分の強みを理解して、モチベーションの向上に活かす

自分の「強み」を活用することで、仕事の道は切り開かれます。日々の業務を振り返り、強みを仕事に生かせているか、自己分析をしてみましょう。手際よく進められた業務、褒められたこと、のめり込めた業務のなかにこそ、自分の「強み」があります。強みを生かして仕事をすると楽しくなるため、内発的動機付けが得られてモチベーションが高まります。

⑤スキル開発のウェビナー参加や興味のある領域の本を読んでみる

現状の自分に満足していてもいずれは飽きてしまい、モチベーションは低下してしまいます。スキルアップのために学び、たくさん本を読んで知識を増やしていけば、「より高い目標を目指したい」という外発的動機付けが高まり、モチベーションがアップします。スキル開発のためのウェビナーを聴講したり興味のある領域の本を読んだりして、自己研鑽をしていきましょう。

⑥モチベーションが下がっている理由をノートに書き出してみる

どうしてもやる気が出ないときには、理由をノートに書き出しましょう。書き出すことで、たくさんのストレスを抱えていたことに気づくかもしれません。抱えているストレスを言葉にすると、鬱屈(うっくつ)とした気分が解放されてスッキリします。同時に「手にしたい目標」という外発的動機付けになるものを再認識でき、モチベーションを再び高めることができます。

⑦モチベーションが高い人と一緒に仕事をする

高い目標に向かって前進するモチベーションの高い人と一緒に仕事をし、たくさん刺激を受けましょう。その人が日々の仕事に取り入れている工夫、休日の活用の仕方など、参考にできるアイデアをどんどんメモして活用していきましょう。仕事の面白みを発見して内発的動機付けができ、目標設定が明確になって外発的動機付けが得られるので、モチベーションがアップしやすくなります。

⑧同僚や先輩・社外の友人に話を聞いてもらう

周りの人に話を聞いてもらうと、自分の状況を客観視でき、抱えていた問題を整理できるようになります。また、今まで頑張ってきた成果を賞賛されると、外発的動機付けが高められて再びモチベーションをアップすることができます。

⑨できていることを数えてみる

「この仕事が苦手。全然スキルが上がらない」と感じていても、できていることは必ずあります。周囲に頼らずできるようになったことなど、どんな小さなことでも「できている」と思ったらそれを数えてみましょう。すでにできていることがたくさんあることが分かると、達成感を味わうことができます。そして、さらなる達成感を味わいたいという内発的動機付けも高まり、モチベーションが上がります。

⑩適度にリフレッシュする

疲労が蓄積すると心が摩耗し、モチベーションが低下してしまいます。適度にリフレッシュを取り入れ、心を元気にしていきましょう。仕事も自己研鑽も大切ですが、「頑張らない自分」の時間をしっかり持つことも、心の柔軟性を取り戻すためにはとても大切です。オンとオフのバランスをとりながら、無理のないペースでモチベーションを保っていきましょう。

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【ちなみに】モチベーションに関する理論

ここではモチベーションにまつわる代表的な心理学の理論を3つ紹介します。

マズローの欲求5段階説

アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したこの理論では、人間の欲求は5つの階層で成り立っているとしています。低次元の基本的な欲求が満たされると、その上の欲求を欲するとする理論です。

【マズローの欲求5段階】
第一階層:生理的欲求(食事や睡眠といった本能的な欲求)
第二階層:安全欲求(安全や安定を求める欲求)
第三階層:社会的欲求(社会に受け入れられたいという欲求)
第四階層:尊厳欲求(人からの承認を求める欲求)
第五階層:自己実現欲求(人として成長をし続けたい欲求)

モチベーションが上がらない場合は、生理的欲求や安全欲求といった低層段階の欲求が満たされていないのかもしれません。自身の置かれている状況や心境を振り返って、どこかに問題がないかどうかを確認してみるといいでしょう。

マクレランドの欲求理論

アメリカの心理学者デイビッド・マクレランドによって発表されたこの理論では、働き手には次の4つの欲求があるとしています。

・達成欲求(何かを成し遂げたいという欲求)
・権力欲求(他者に対して影響力をもちたいという欲求)
・親和欲求(友好な人間関係を築きたいという欲求)
・回避欲求(失敗や困難を避けようとする欲求)

人によって各欲求の強さは異なるため、「自分はどの欲求が強いのか」を知っておくとモチベーション管理に役立ちます。

ハーズバーグの二要因理論

アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した理論です。仕事の満足度は「動機づけ要因」と「衛生要因」の二つの要因に左右されるとする考え方で、企業における社員のモチベーション管理やマネジメントなどでよく活用されます。

動機づけ要因とは、何かを達成したり、人から評価されたりすることによって得られ、それにより仕事において満足感を得られます。一方、衛生要因は「給与」や「福利厚生」など、不足していると不満につながる要素を指します 。

この二つの要因は互いに独立しており、補完関係になっています。どちらかを満たせばいいというわけではなく、衛生要因における問題をクリアにしたうえで動機付け要因を満たすことが大切となります。

モチベーションを上げて自分らしく働こう

仕事をしていてもやる気が湧かなくなったと感じるときには、上記でお伝えしたように外発的動機付けと内発的動機付けをバランスよく活用し、仕事でモチベーションを上げる方法10選のなかからできそうなことを実践していくことをお勧めします。効率よくモチベーションを高めながら、楽しくイキイキとした気持ちで仕事を続けていくことができると思います。

【プロフィール】
大美賀 直子(おおみか なおこ)
メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士(以上、国家資格)、産業カウンセラーの資格を持つ。「こころと人生と人間関係のベストバランス」をテーマに、カウンセリング、講演、執筆活動を行う。働く人のメンタルケアに関する造詣も深く、テレビ、新聞、雑誌、インターネットを中心に情報を発信。企業研修でも好評を得ている。『なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか?』『サイボーグを目指さないことにした働く私の「自分時間」』(アスカビジネス)、『どうして会社に行くのが嫌なのか?』(アスキー新書)などの仕事に関する著書も出版。
大美賀直子|メンタルケア・コンサルタントーこころと人生と人間関係のベストバランスを提案 - 大美賀直子(メンタルケア・コンサルタント)の公式HP (mentalcare555.com)

※本記事は有識者への取材に加え、編集部で再編集・記事更新を行っております。

更新日=2023年3月23日

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