「仕事が退屈なら人生楽しいわけがない」と仕事旅行社代表が語る理由

今の仕事に迷いや不安を覚えることはありませんか?「自分はこの仕事に適しているのか」「仕事に漠然とした不満がある」そんな悩みに“気づき”を与えてくれるようなチャンスがあるなら、ぜひチャレンジしてみたいもの。

「仕事が退屈なら人生楽しいわけがない」と仕事旅行社代表が語る理由

今の仕事に迷いや不安を覚えることはありませんか?「自分はこの仕事に適しているのか」「仕事に漠然とした不満がある」そんな悩みに“気づき”を与えてくれるようなチャンスがあるなら、ぜひチャレンジしてみたいもの。

「いつもと違う仕事を体験することは、旅行と同じような新たな気づきを与えてくれる」そう語るのは、株式会社仕事旅行社代表の田中翼さん。現在120以上の仕事体験プランを揃え多くの人と仕事をつなげる仕事旅行社は、田中翼さんの実体験のもと、仕事に対する広い世界観を提供するためスタートしたサービスです。そこで今回は、さまざまな仕事への好奇心をかなえてきた田中翼さんから、仕事の魅力を発見する方法を伺いました。

外の世界は発見、刺激、気づきに満ち溢れていた


――旅行をするようにさまざまな仕事が体験できる仕事旅行社で代表を務める田中翼さんですが“仕事旅行”というサービスを企画した経緯を教えてください。

「大学卒業後、金融関係の会社に勤めたのですが4~5年くらい経って『ずっとこの仕事を続けていくのか』とモヤモヤ悩みはじめたんです。そこから、異業種交流会でさまざまな業種の人とつながって、いろいろな職場を訪問するということを繰り返すようになったんです。そうした訪問体験のなかで、企業というのはそれぞれ全く文化が違うと感じました。そして文化が全く違うところへ飛び出していくことは、発見、刺激、気づきに満ち溢れていると、その体験自体に価値を見いだしたんです。『もしこの体験を当時の同僚とかに提供できたら何か面白い化学反応が起きるんじゃないか』と考えたのが企画までの流れです」

――勤めていた会社では、どのようなことに悩んだのでしょうか?

「就活のことを深く考えずに軽い気持ちで仕事に就いてしまったのが原因なのですが、『実際自分がやりたい仕事ではないのでは?』という気持ちを抱いて悶々としていました。そのころちょうどリーマンショックが起こり、金融業界全体の業績が落ちてきた。そうした不安定な状況の中で仕事のやりがいに疑問を抱くようになったんです」

――企業訪問をしていくなかで理想にかなうような会社はありましたか?

「“Sow Experience”という体験限定のカタログを作る会社がそうでした。代表の西村琢さんと知り合いになってオフィスに遊びに行ったら、皆さんラフな格好でイキイキと仕事をされていて、それが僕にとってはカルチャーショックで…。その自由な職場の雰囲気を目の当たりにして僕もこういう仕事場で働きたいと考えるようになりました」

――自身の企業訪問経験が起業するに至ったきっかけとのことですが、仕事体験というサービスに“旅行”というコンセプトをセットにして販売したのはなぜですか?

「自分は会社訪問を経験して、一体どんな感覚を覚えたのだろうと考えたときに、そこには普段知らない景色があって、また発見があった。それは僕にとって海外旅行に行ったようなカルチャーショックだったと気がついたんです。それで“旅行”という言葉が自然とつながったんです」

申し込みが一切なかった最初の3カ月


――仕事旅行社の運営が軌道に乗るようになったのはいつごろですか?

「オープン当初は3つの仕事旅行プランしかありませんでした。それから徐々に増えていったという感じです。それでも最初の3カ月は申し込みは全くありませんでした。2011年9月くらいに新聞取材が入り、そこで知名度が上がり利用者が増えていったという感じですね」

――事業のターニングポイントを迎えるまで、不安はなかったですか?

「リスクがあまりなかったので、不安はほとんどありませんでした。そもそも仕事旅行社の設立に関してはほとんどお金がかかってないんですよ。旅の作成自体は0円ですし、ホームページは友人に作成していただいたので0円、ロゴと登記費用くらいしかお金は発生しなかったんです。サービスが回ってなくてもバイトをすれば食うだけのお金は稼げるので金銭的な不安もありませんでしたね」

金銭的発想の新しいサービス、メリットの捉え方は人次第!?


――現在、旅行プランはどのくらいあるのですか?

「今は百二十数個の旅行プランがあります。当初は自分たちで営業に回り、仕事先を見つけていったのですが、今では向こうから依頼が届くようになりました」

――旅行先にあたる会社にサービスを理解していただくのはなかなか難儀な作業のように感じます。

「そうですね。やはり、発想が新しいサービスなのでメリットを説明するのが大変でした」

――ちなみに仕事旅行先のメリットはどのようなことがありますか?

「旅行先にあるメリットはPR効果ですね。仕事旅行を通して職場のファンは増えますし、取材がくることも多くあるので。あと、採用につながるケースもあります。即お金につながることに重きをおく価値観の会社もあれば、面白がってくれる会社と意見は2つに分かれますね」

――旅行プランには「Webショップのバイヤーになる旅」など実践的な仕事から「特殊メイクアーティストになる旅」などユニークなものまで幅広くありますが、お客さまは何を求めて参加されているように感じますか。

「仕事旅行に求めるものは、だいたい3パターンの層に分かれているように感じます。ひとつは、自分探しのために来られるお客さま。そしてエンタメやアクティビティーとして来られるお客さま。もうひとつはスキルアップとして来られるお客さま。だいたいこの3タイプに分かれると思います」

――仕事旅行での体験はお客さまにどんなメリットがあると考えていますか?

「《旅行に行ったときにどんなメリットを感じますか?》という質問とニアリーイコールなのですが、『自分の世界が広がる』ということがメリットだと思います。なかには今の仕事が好きではなかったけど、仕事旅行を通して今の仕事が良い仕事だと思えるようになりましたという声があって、それはとても面白いなと思いました。それって本当に旅行と近いですよね。海外に行ってあらためて日本の良さに気づくような。また逆に仕事旅行に行った職場にほれ込んでしまいそこで働き始めた方もいらっしゃいますし、もちろん楽しかったで終わる方もいらっしゃいます。さまざまなメリットがあると思います」

――仕事旅行先からはどのような声がありましたか?

「自分の仕事に誇りが持てるようになり社内のモチベーションアップにつながりました、という声がありました。自分が普段当たり前にしている仕事にわざわざお金を払ってまでやりたいと言ってくれる人がいるということが、仕事人としての喜びにつながるのだと思います」

日本中で仕事の景色を変える広い世界観を提供する


――仕事旅行社は今後どのような展開を考えていますか。

「全国各地で職業体験できるようにしたいと考えています。今はどうしても首都圏に偏っているので、今後は地方の面白い仕事を開拓していくということが経営の軸としてあります。もうひとつは法人向けのサービスを強化していくということです」

――法人からの依頼も多くあるんですね。

「最近増えてきました。研修として使っていただいたり、みんなで飲み会にいったり運動会をする代わりに、仕事旅行で学びに特化しようという会社が増えてきたようです」

――仕事は全国中にあるので、Iターン層、Uターン層にもさまざまな気づきを渡すことができそうですね。それは田中さんが会社を立ち上げた思いと重なる部分が大きくあるのではないですか?

「結果的に思いと大きく重なってきたと思います。当初はモヤモヤしていた自分が、さまざまな会社を訪問して受けた刺激をシェアしたいという小さな思いから始めたんですけど、エンターテインメントとして旅行に来られる方もいるように、さまざまなユーザーの目的があるので結果論として広い世界観を提供できると感じます」

仕事が退屈なら人生楽しいわけがない


――仕事旅行社として田中さんは何を目標にしていますか?

「日本の仕事満足度を上げることです。人は起きてる時間の約40パーセントが働いている時間らしいのですが、それに対して日本の仕事満足度は世界的に見てとても低いんです。人生の40パーセントを占めている仕事が退屈なものだったら、人生が楽しいわけないじゃないですか? だから、求人や人材とは違う、仕事に関するひとつの気づきを提供するサービスとして、仕事旅行が仕事の考え方を変えていけたらと考えています」

――仕事旅行社は、仕事における迷いに対して視野を広げ、自分の価値観に刺激を与えるサービスなのですね。

「そうですね。もし、仕事がつまらないと感じていても相対的に見たらそうでもなかったということはありますからね。もっとキツイと思うような仕事もあれば、もっと楽しいと思える仕事もあるかもしれない。井の中の蛙という状態からピョンと抜けるきっかけを提供するような、そんなサービスであり続けたいです」

――最後に質問です。これからの季節で旬の仕事はなんですか?

「あえて言うなら職人系の仕事がオススメですね。ホコリやクズがでる職場にはエアコン設備がないところが多いんですね。なので、暖かくなってきてそういう職人系の仕事は過ごしやすくなっているんじゃないかと感じます。ただリアリティーを見たいと言うなら、寒い時期に行くのもいいかもしれませんね(笑)」


<関連リンク>
仕事旅行社

識者プロフィール


田中翼(たなか・つばさ)/1979年神奈川県生まれ。2006年、国際基督教大学卒業。2011年に金融会社を退職後、さまざまな業界への会社訪問を繰り返す。その際に見いだした新しい発見や気づきにあふれた“会社訪問の魅力”を世の中にシェアしたいと、2009年に仕事旅行(大人向け職業体験サービス「仕事旅行」)の企画に着手。 その後、2011年に、もう一人の創業者である内田靖之と出会い、仕事旅行社を設立。現在は、共に代表として運営中。

※この記事は2015/04/20にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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