2014年4月1日、消費税は5%から8%へと上がります。17年ぶりの消費税増税は、20代の若手ビジネスパーソンの生活にどのような影響をもたらすのでしょうか?
『小さな会社と個人事業者のための「8%消費税」に備える本』(日本実業出版社)を出版した税理士の平石共子氏に聞いてみました。
(1)住居用の家賃は非課税なので上がらないが、事務所費は上がる
「実は、住居用の家賃は非課税なので、家賃が上がるということはありません。しかし事務所を借りている事業者は話が別。基本的に、事務所費は家賃+消費税なので、賃料は上がります。契約書でも触れているはずなので、しっかりとチェックしましょう。
ただし、大家さんと直接交渉は可能です。今のうちから大家さんに『今回の契約期間中は何とかこのままで』と相談してみるのもいいかもしれません」(平石氏)
(2)電気・水道・ガスは実質値上げ。エコ家電は買うのがベター
「電気・水道・ガスの公共料金については、過去の消費税増税のときと同じく、増税分がそのまま料金に上乗せされる形になるでしょう。 エコ家電を『買い急げ』とは言わないまでも、2014年3月31日までに購入を検討してみてはいかがでしょうか。家電にかかる消費税も、光熱費にかかる消費税も、ダブルで節約できるので、生活防衛になるでしょう」(同)
(3)一戸建てやマンションなどの購入は、消費税や住宅ローン控除に惑わされるな
「不動産については、増税前に買うべきか、4月からの住宅ローン控除拡充を待つべきかという話をよく聞きます。多くの一般消費者にとっては、どちらを選択してもそんなに大差は出てきません。
頭金を多くすることや、ローンを繰り上げ返済するといったことの方が、よっぽど支払総額を抑えるのには効果的です。
重要なのは『良いと思える物件かどうか』なので、焦って購入する必要はありません」(同)
(4)軽自動車は買い控えるべき?
「自動車業界の働きかけもあって、消費税増税に際して『自動車取得税』が2015年10月に廃止されます。それに対し2015年4月以降に購入する新車に限り『軽自動車税』が増税となります。消費者としては、この負担は受け止めるしかありませんが、燃費もよく使い勝手のいい軽自動車を買い控えるべきとは言いがたいところです。
一般的に、商品の値段は売れなければ下がるといわれているので、少し待ってみるのも一つの手かもしれません」(同)
(5)タクシー料金や電車代も変わる
「消費者としてつらいのが、このような公共交通機関の料金です。これらは、企業が値段を上げると言えば、消費者は拒否できません。消費者が選べる商品については、売れなければ値段が下がるという原理が働きますが、こういった公共料金は消費者にとって避けられない負担となります。ひと駅分歩くなどの小さな工夫を重ねていくのはいかがでしょうか。健康にもよいですので」(同)
消費税増税直前に気を付けるべきこと
基本的には物の値段が上がるので、よく使う物や絶対に必要な物を3月末までに買っておくというのは生活防衛になるようです。しかし、税理士の平石氏は注意を促します。
「生活防衛だからと言って、不要な物まで買わないように気を付けたいですよね。さらに、基本的にないとは思いますが“便乗値上げ”があるかもしれませんので、物の価格というものに今から注視し、それが適正価格なのか自己判断できるようにしておくのがいいかもしれません」(同)
若手ビジネスパーソンを含む一般消費者にとって、少々手痛い増税。何がどう生活に影響を及ぼすのか把握して、しっかりと生活防衛をしていきたいところですね。
(識者プロフィール)
平石 共子(ひらいし きょうこ) 現在、税理士法人第一経理代表社員として働く税理士。一部上場企業から小規模企業まで幅広く税務・会計・経営支援を手掛ける。“わかりやすく”をモットーにさまざまな媒体で税金や経営をテーマに執筆する。近著に、『小さな会社と個人事業者のための「8%消費税」に備える本』(日本実業出版社)がある。
※この記事は2014/01/23にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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