【おちまさとの初対面力】初めて会う人に好印象をもってもらう3つの心得

社会人になると、初対面の人に会う機会はいやが応でも増えてきます。大人であれば、初対面を難なく切り抜けることは必須のスキルといえるでしょう。

【おちまさとの初対面力】初めて会う人に好印象をもってもらう3つの心得

社会人になると、初対面の人に会う機会はいやが応でも増えてきます。大人であれば、初対面を難なく切り抜けることは必須のスキルといえるでしょう。

しかし、初対面だとどうしてもアガッてしまい、相手とうまくコミュニケーションを図れなかったり、信頼感や安心感を持ってもらえないというのはよく起こること。

そこで、日々、初対面の連続だという、人気プロデューサーであり、『初対面の教科書』(NHK出版)、『相手に9割しゃべらせる質問術』(PHP新書)の著者である、おちまさとさんに初対面力の磨き方について教えてもらいました!

【メソッド1】自分に過度な期待をせず、初対面が苦手な自分を受け入れる。

 

今までに失敗した初対面の体験を書き出して、ダメな自分を冷静に見つめてみる。


「初対面が苦手」と感じている人の多くは、何かしらの失敗体験があるから苦手だと結論づけているはず。そこで、少ししんどい作業かもしれませんが、今まで自分がやってしまった、初対面の失敗を書き出してみましょう。失敗には必ず原因があります。そして失敗とはそこから導き出された結果でしかないのです。原因を取り除くか、失敗に至る道筋をいい方向に変えてあげれば、そんな失敗の大半は回避できます。

ダメな自分を受け入れて、自分に過度な期待をしない。


また、もう一つ初対面が苦手と感じている人に共通するのが、自分の「初対面の理想」を高く持ち過ぎているという傾向です。例えば「きちんとあいさつをして、気の利いた受け答えをして、別れ際もスマートに……」と、普段の自分以上に良く見せたいという「プライド」が自分を追いつめてしまっていることがあるのです。

しかし、そうした振る舞いは最高に難易度が高いもの。初対面が苦手と自覚している人は、緊張して、ちょっと萎縮して、軽く挙動不審になって、うっすら額に汗をかいている――そんな自分と理想とのギャップの大きさに苦手意識が深まり、初対面で普段の自分の姿を上手に表現することがますますできなくなってしまう、という「負のスパイラル」に陥ってしまっていることが多いのです。しかし、初対面が苦手な自分、ダメな自分を自覚してあげることで、身の丈に合わない成功を追い求めることはなくなり、必要以上にアガッてしまうということはなくなっていくのです。

【メソッド2】相手に9割しゃべらせて、会話の主導権を握る。

 

自分が頑張って「話さないといけない」「場を盛り上げなくてはならない」は間違い。


「初対面が苦手……」という人に限って、会話の主役は自分だと思い込んでいたり、そうでなくとも「自分が話さないといけない=頑張らないといけない」という先入観を抱いてしまい、勝手に自分でハードルを上げている人が多いように思います。しかし、それは大きな誤解です。相手と長い関係を築いていきたいと思うなら、むしろ最初に120%の力を見せてしまってはなりません。例えば、初対面のときだけ、どんちゃん騒ぎの接待で盛り上げたとして、それをずっと維持することはできないですよね。

しかしそういった心持ちで相手に向かいパフォーマンスをすると、2回目以降もその盛り上げを相手は期待をするもの。初対面のとき以上のパフォーマンスができないと相手からまた「会いたい」と思ってもらえる可能性は低いでしょう。ですから初対面で自分の中での最高の「おもてなし」を演出するのは、むしろ逆効果なんです。

初対面では会話の主役を相手に持たせるとラクになる。


忘れがちなのが、自分が初対面の人に会う場合、相手にとってもそれは同じ条件だということです。自分だけではなく、相手も緊張しているかもしれません。実際、僕自身も初対面が大の苦手。そんな僕が毎日新しい人に会う仕事をして会得したのが、相手に話してもらうスキルなのです。相手が聞いてほしいと思うであろう事柄について質問をして、相手が話す言葉に「なるほど」「そうですか」「マジですか?」と必要最低限の言葉を挟みましょう。そして、ときどき相手に自分の話をきちんと聞いていると理解させるために「要するに……」と会話内容をまとめたりしてあげることで、相手は気持ち良く話すことができて、おしゃべりになってくれるんです。

僕も仕事で著名人や企業の社長、はたまたハリウッドスターなどと対談やインタビューをさせてもらう機会があるんですが、「今日の対談面白かった」とか「おちさんの話、面白いな」って言ってくれるときに限って僕は1割程度しか話していないことがほとんどなんですよ。人間って面白いもので、自分が気持ちよく話したいことを話せたときに相手との会話を面白いと感じるものなんです。だから、相手にたくさん話をさせるほうが、省エネだし自分のことを面白いと思ってもらえるし、一石二鳥なんです(笑)。

【メソッド3】「事前準備」の位置づけを理解する。

 

できるだけネガティブシミュレーションをしておく。


例えば、転職活動の面接や重要な商談など、とても大事な局面での「初対面」というのは、相手に9割話させるというテクニックが通用しにくいシーンでもあります。そういうときは、先ほどの自分の失敗例や最悪な場合を想定したネガティブなシミュレーションが役立ちます。待ち合わせに遅刻する。場所を間違える。名刺交換の際に相手の名刺を落としてしかも踏んづけてしまう……というような、やろうと思ってもなかなかできそうもない失敗まで、起こりうる限りの悪い出来事の可能性をとにかくシミュレーションするのです。そしてそれに対する解決方法を考えるのです。そんな簡単な事前準備で当日の不安の大半は解消されるでしょう。また当日うっかりしてしまいそうな失敗には、どう行動したら失敗しにくいかをシミュレートしましょう。こうして不安の正体を明らかにして、できる限りの対策を施しておけば、多少なりとも不安は軽減されます。

事前準備はもちろん大切なのですが、会話は実際に始まってみないとどっちに転がるか分からないもの。結婚式のスピーチみたいに、全てガチガチに決めるのではなく、初対面の事前準備は、「伝えたいこと」の要点だけを絞っておくことだけにとどめておくべきなのです。そうすれば、仮に想定と違う方向に会話が進んでも軌道修正できますし、思わぬ方向に転がった会話でも、慌てず相手が聞きたい方向に展開できれば、初対面の会話としては成功なのです。初対面の主役はあくまで「相手」。正直な言葉で、ありのままの自分で、敬意を持って会話に臨めば、きっと好印象を持ってもらえるはずですよ。

PROFILE

 


おちまさと/1965年東京生まれ。プロデューサー。数々の人気番組やウェブサイトの企画、ファッション、企業ブランディングまでジャンルを超えて活躍。著書も多数出版し、企業・学校などで講演活動も行う。厚生労働省イクメンプロジェクトメンバー、経済産業省「クール・ジャパン戦略推進事業・企業マッチンググランプリ」総合プロデュースも務める。2014年1月に「【図解】相手に9割しゃべらせる雑談術」(PHP研究所)が発売予定。
オフィシャルブログ
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※この記事は2014/07/18にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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