経済効果は年間2兆円超え!? 怒涛の猫ブームが生んだ「ネコノミクス」とは

いまやCMやSNSで猫を見ない日はないほど、空前の猫ブーム。猫関連の商品やサービスがもたらした経済効果は「ネコノミクス」と呼ばれ、年間2兆円以上に上るとの試算も。

経済効果は年間2兆円超え!? 怒涛の猫ブームが生んだ「ネコノミクス」とは

いまやCMやSNSで猫を見ない日はないほど、空前の猫ブーム。猫関連の商品やサービスがもたらした経済効果は「ネコノミクス」と呼ばれ、年間2兆円以上に上るとの試算も。

今回はネコノミクスが生まれた背景や、最近注目の猫関連サービスをご紹介していきます。

ネコノミクスの定義とは


ネコノミクスとは、その名のとおり「猫が生み出す経済効果」を指します。その火付け役として挙げられるのは、和歌山電鉄・貴志駅の名物猫「たま駅長」。たまの存在はグッズや写真集の販売のほか、観光としても町おこしに大きく貢献し、年間約11億円もの経済効果をもたらしました。

「猫ブーム」によって猫がぐっと身近な存在に


ネコノミクスの背景には、空前の「猫ブーム」があります。スマホカメラや動画の普及により、これまで飼い主にしか見せなかった猫の無防備な様子がSNSに数多くアップされ、猫を飼っていない人も気軽に猫の愛くるしい姿を見ることができるようになりました。猫ブームの象徴ともいえる「猫カフェ」も、徐々に店舗が増え、いまや海外にまで広がっています。また、少子化や住宅環境の変化によって、ペットとしての飼いやすさが挙げられることも。

人気猫メディア「猫ジャーナル」を運営する常山氏にも、お話を伺いました。

「最近では『ノラ猫が増えすぎないように』と保護や去勢などの活動が行われ、ノラ猫も“保護すべき存在”となってきています。そういった、社会がノラ猫を許容できなくなり、人と共生するというかたちになってきたことがブームの要因のひとつなのではないかと思います」

人間と猫によるWin-Winの関係こそネコノミクス


猫は人間に受け入れられることで住処を確保し、人間はより身近になった猫に関連した新たなビジネスを思いつく。その相互関係の結果「ネコノミクス」が生まれたといえるのかもしれません。

次に挙げる猫関連サービスでは、単に猫を利用するのではなく、サービスを通じて「保護猫と飼い主とのマッチングを行う」という意図が含まれているものが少なくありません。

いま注目のネコ関連サービス

 

癒やしの合コン「ねこんかつ」


婚活パーティーには、ただおしゃべりをするだけなく「ランニングコン」や「水族館コン」など共通の趣味をもった人が集まる企画が増えています。そのなかでも猫好きをターゲットとした「ねこんかつ」は、主に猫カフェで開催され「癒やされる婚活」として大人気。

「猫好き」というだけでも大きな共通点となり会話がはずみやすく、猫と触れ合うことで相手の飾らない表情を発見できるという利点もあるとか。昨今の婚活ブームも手伝い、「ねこんかつ」を開催する猫カフェも増えているようです。

猫と暮らせる「猫付きマンション」&「猫付きシェアハウス」


NPO法人東京キャットガーディアンが主催する「しっぽ不動産」では、入居時に猫が付いてくる「猫付きマンション」や「猫付きシェアハウス」を紹介しています。

通常の物件と比べ賃料に大きな差はなく、5万円台から契約可能。猫とマッチングした場合は正式に飼い猫として引き取ることもできます。

東京キャットガーディアンの目的は、これによって「猫と暮らしたい」入居者、「マンション経営で猫の助けになりたい」大家さん、そして「猫の保護場所をつくりたい」団体をつなぐこと。子猫に比べ里親の見つかりにくい成猫をレスキューできる場所として、全国への拡大を目指しています。

関西最大の猫イベント「ネコ市ネコ座」


猫好きの有志によって関西を拠点に開催されている猫イベント「ネコ市ネコ座」。このイベントでは猫グッズの販売をはじめ、猫に関連したワークショップや映像上映などさまざまな催しを開催。会場の収益は、イベントの運営元でもある保護猫カフェ・ネコリパブリックの運営資金の一部に充てられます。

株式会社フェリシモの「フェリシモ猫部」も主催者としてイベントを支援。「ネコ市ネコ座」は、いまや関西最大の猫イベントとして注目を集めています。

ネコリパブリックの目的は、2022年2月22日までに日本の猫の殺処分数をゼロにすること。そのための啓発や猫の保護活動に「ネコ市ネコ座」は大きく貢献しているようです。

まとめ


ネコノミクスによって猫への注目が集まる一方、安易なペットブームに警鐘を鳴らす意見も少なくありません。新たなビジネスチャンスを生み経済的効果をもたらしただけではなく、「動物との暮らし方」や「ペット販売の是非」について、人々があらためて考え直す機会が増えたことも、ネコノミクスの影響といえるでしょう。


雑誌やTVなどで、こぞって特集を組まれるほどの盛り上がりを見せる「猫ブーム」。ときには「猫こそ、万人に受け入れられる最強のコンテンツ」といわれることもありますが、モノではなくひとつの命であることを忘れないようにしたいですね。


※この記事は2016/04/28にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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