1日10分の夏バテ対策!「スロトレ」で暑さに負けない体づくり

夏になり暑さが本格化してくると、食欲は減り、体はだるくなっていく。そんな状況が続けば、体調を崩してしまうのは当然です。 そこでおすすめしたいのが「スロトレ」。毎日10分行うだけで夏バテにも負けない丈夫な体を作れます!

1日10分の夏バテ対策!「スロトレ」で暑さに負けない体づくり

いよいよ夏本番、暑さは本格的になってきます。この季節に気を付けたいのが、仕事にも悪影響を及ぼす夏バテです。朝から体が重く、食欲も出ない。仕事がはかどらずにストレスと疲れがたまっていく…こんな厄介な夏バテに、どのような対策をしたらいいのでしょうか?

それはズバリ、厳しい負荷をかけず、シンプルな方法で体を鍛えられる「スロートレーニング」、通称「スロトレ」です! 今回は、元ボディービルダー、現在は東京大学大学院でスポーツ科学を教える教授の石井直方さんに、夏バテの原因と、解消に効果的なスロトレを教えていただきました!

夏バテに効くスロトレ


--そもそも、なぜ人は夏バテになるのでしょうか?

「暑くなると、人体は汗をかいたり血管を広げることで体温を逃がすなどして対応しようとします。夏バテの要因はいくつかありますが、1つは自律神経の不調です。自律神経の働きが悪くなることで体温調整がうまくいかなくなり、暑さへの適応力が低下してしまいます」(石井さん:以下同じ)

--なるほど、倦怠感や食欲の低下など、夏バテの症状の原因には、自律神経の働きが弱まってしまうことがあるのですね。

そんな自律神経の働きを助けるために効果的なのがスロトレです。文字通りスロトレとは、少ない回数をゆっくりと行う筋トレです。「筋肉を鍛えることで自律神経が適正に働くようになります。夏バテの対応策として十分効果が期待できます」と石井さん。また、誰でも無理なく、気軽に取り組め、体への負荷が少ないながらも効果は大きいのが特徴。まさに忙しいビジネスパーソンにうってつけの夏バテ対策だといえます。

スロトレを行う上でのポイント


--では、具体的にスロトレはどのように行うのでしょうか。

「呼吸をしながらゆっくりと5~10回繰り返せるくらいの負荷の運動を、1日10分程度、1週間に2~3回行う、というのを目安にやってみてください」

軽い力でゆっくり動かすことで、体は実際よりも重い負荷がかかったかのように錯覚し、筋肉を発達させるのだそうです。

具体的なポイントは4つ。

1.筋肉の力を抜かずゆっくり動かす
2.関節を伸ばしきらない、曲げきらない
3.ゆっくりした呼吸を意識する
4.無理をしないで5から10回繰り返すにとどめる

これらのポイントを頭に入れて、次のようなトレーニングを実践してみましょう。

対夏バテ用のスロトレ5選

 

スクワット

「夏バテ対策としてスロトレをやるのであれば、できるだけ大きな筋肉を鍛えていくのが効果的です。太ももやお尻周りには、体全体の6割を占める大きな筋肉があるので、それを鍛えていくのが大変効果的です」

《方法》

1.両足を肩幅程度に軽く開いて真っすぐ立つ
2.頭の後ろで手を組む
3.お尻を浮かせるような姿勢でしゃがみ、1度静止してから始める
4.息を吐きながら、ひざが伸びきる少し手前まで立ち上がる
5.息を吸いながら、3の姿勢に戻す

この動作をゆっくり繰り返します。

1日10分の時間もとれないほど忙しい人も、例えばデスクから立ち上がるとき、そして着席するとき、ゆーーーっくりと動作をしてみると同様の効果が得られるかも?

階段1段飛ばし昇り


「スクワットと同じく、太ももやお尻周辺の大きな筋肉を鍛えるのに効果的です。階段は駆け上がらず、ゆっくりと歩いて昇るのがポイントです」

《方法》

階段を1段ずつ飛ばしながら、ゆっくりと歩いて昇っていく。
※3階分ぐらい昇るのを目安にしてください。

いつもエスカレーターやエレベーターを使う場面でも、意識して階段をゆっくり昇るようにするといいかもしれません。

トランクカール


「おなか周り=体幹周辺にも大きな筋肉が集まっています。このあたりを鍛えればおなか周りがスッキリしたり、腰痛対策の効果も期待できます」

《方法》

1.床に仰向けに寝て膝を曲げる
2.手は頭の後ろにあてる
3.へそを見るように上体を少し起こす(上体を全て起こす必要はない。肩が少し上がる程度でOK)

いわゆる「腹筋」ですね。「1日100回やるぞ!」と息巻いて挫折した経験はありませんか? しかしスロトレなら1日10分、5から10回でいいんです。これなら三日坊主の人でも続けられそう!

ニートゥーチェスト


「同じく体幹を鍛えるスロトレです。下腹あたりを引き締める効果が期待できます。職場でもできるよう、椅子を使用した方法を紹介します」

《方法》

1.背もたれのある椅子を用意し、背もたれに体をあずけながら浅く腰掛ける
2.息を吐きながら両足を床から数センチ離し、静止する
3.息を吐きながらゆっくり足を上げていき、太ももを胸の方に引き寄せていく
4.息を吸いながら、足を元の位置に戻す。足は床に付けないように!

椅子を使ったトレーニング。これなら職場のスキマ時間でも実践できそうですね。ただし、変な人だと思われないように、周囲の視線には注意ですよ!

プッシュアップ


「そのほかの大きな筋肉は、大胸筋や広背筋です。ただ広背筋は器具やチューブなどが無ければ鍛えるのが難しいです。大胸筋といえば腕立て伏せですね。回数は少なくても、スロトレでやれば効果は高いです」

《方法》

1.四つんばいになる。両手は肩幅くらいに広げ、両ひざは床に付けた状態に
2.ゆっくり肘を曲げながら上体を下ろしていく
3.胸が床に付く直前で静止する
4.ゆっくりと肘を伸ばしながら上体を上げていく
5.肘が伸びきる直前で2の動作に戻る

関節を伸ばしきらない、曲げきらないがポイントです。やってみると案外つらいですが、がんばりましょう!


最後に、石井さんから注意点。
「人にもよりますがスロトレを始めて2~3週間後には、体に効き始めていることを実感できるはずです。ご注意いただきたいのは、スロトレとはいえ筋肉を刺激すると、体温が上昇することです。暑い盛りに無理なトレーニングをすると危険なので注意してください。トレーニング時だけでなく、日常的な水分補給を心掛けつつ、規則正しい生活も大変重要です」


夏バテによって作業効率が落ちてしまえば、同じ仕事に対して余計に時間がかかります。それこそ、今夏で10時間、20時間、50時間…計ってみたらそれくらい余計な時間がかかっているかもしれません。それを、1日たった10分のトレーニングで解消できるならしめたもの。だまされたと思って、ぜひ今日からスロトレを実践してみてください。

識者プロフィール

石井直方/ 1955年生まれ。東京大学理学部卒業、同大学院博士課程修了。 現在は東京大学 大学院教授、理学博士。1981年ボディビルミスター日本優勝・世界選手権第3位、1982年ミスターアジア優勝、2001年全日本社会人マスターズ優勝など、競技者としても実績を誇る。少ない運動量で大きな効果を得る「スロトレ」の第一人者。『最短時間で最大効果! 筋力トレーニングの時間短縮プログラム』(マイナビ)のほか、多数の著書がある。


※この記事は2014/08/14にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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