“未来の服”を作るのは「東京・八王子の織物工場」。Googleが求めた日本の技術とは?

『“これしか無かった”ってのもあるけど、続けることで新しい道が開けるんだよね。』東京・八王子の「澤井織物工場」代表・澤井 伸氏は、そう教えてくれました。実は「澤井織物工場」は、昨年からGoogleに技術提供していることで注目を集めています。

“未来の服”を作るのは「東京・八王子の織物工場」。Googleが求めた日本の技術とは?

『“これしか無かった”ってのもあるけど、続けることで新しい道が開けるんだよね。』東京・八王子の「澤井織物工場」代表・澤井 伸氏は、そう教えてくれました。実は「澤井織物工場」は、昨年からGoogleに技術提供していることで注目を集めています。

今回キャリアコンパス編集部は、その「澤井織物工場」が提供している技術や、技術を支えるこだわりについてお話を伺いました。

目次: 伝統工芸が可能にした“未来の服”とは?
伝統工芸にこだわり続けてきた理由
こだわりを続けるから見えてくる未来がある

伝統工芸が可能にした“未来の服”とは?


PROFILE:
有限会社澤井織物工場 代表取締役社長 澤井伸氏

江戸から続く「澤井織物工場」の4代目代表。伝統を守りながら、最新のウェアラブルデバイスを開発するGoogleに技術提供するなど、様々な挑戦を続けている。伝統的工芸品「多摩織」の普及・保存を広める伝統工芸士でもある。

―:現在、Googleと協力しながら“未来の服”を作っていると伺いました。どういった服なのでしょうか。

澤井氏(以下敬称略):電気が通る糸を織り込んだ洋服です。表面を触るだけで“スマホの画面”が反応する仕組みになっています。洋服でウェアラブルデバイスを作るというのがGoogleの計画なんです。「PROJECT JACQUARD(プロジェクトジャガード)」と名付けられており、実は当社以外にもいくつもの日本企業が技術提供しています。

―:洋服に触っただけでスマホの画面が動くようになる。一体どんな使われ方が想定されているのでしょうか。

澤井:具体的な使われ方については、まだ未定の部分が多いようです。しかし、例えばジョギング中に、ウェアに触ることで聞いている音楽のボリュームを調節したり、スマホに直接触れずに電話を掛けたりといった使われ方などが考えられているようです。

―:「澤井織物工場」では、どういった技術を提供しているのでしょうか。

澤井:電気を通す糸の強度を高める技術です。日常的に使っていても電気を通す糸が断線しないようにしたい。それに洋服なので洗濯できる必要もある。そういった課題をGoogleから相談されて、技術のアイデアをだしました。

―:具体的には、どういったアイデアだったのでしょうか。

澤井:電気を通す糸の周りに細い糸を編み込みました。昔の白熱電球のコードを想像してください。細い紐で編み込まれていますよね。それと同じようなことをmm単位の糸で行ったわけです。

―:「澤井織物工場」だからできた技術なのでしょうか。

澤井:この方法が一番強度を高められる方法だということで、採用になりました。もともと織物を作る工程で出る残糸を使って“組紐”と呼ぶ紐を作っていた経緯があり、その技術を転用したのがきっかけです。

他の会社でもできた事かも知れませんがGoogleは一緒に試行錯誤してくれるパートナー企業を探していて、当社はその試行錯誤にとことん付き合ったからという部分も大きいですね。


【動画】

※「澤井織物工場」機織りの様子。


伝統工芸にこだわり続けてきた理由

 

※現在、メインで稼働している工場の外観

―:Googleとの試行錯誤にこだわる背景は、会社としてのスタンスの表れだと思います。「澤井織物工場」の成り立ちについて教えてください。

澤井:「澤井織物工場」は、江戸時代から続く織物の会社です。創業時から’80年代くらいまでは、「多摩織」という伝統工芸を使って主に着物を織っていました。八王子は織物のメッカで、昔は織物工場がたくさんあったんです。しかし、時代が移り変わって今では数える程度しか工場はありません。

※工場内にはシャトル織機が並んでいる

―:「澤井織物工場」が経営を続けてこれた理由は、どういった部分が大きかったのでしょうか。

澤井:私たちには“これしかなかった”というのが大きいのですが、時代の変化に合わせて製品を変えてきたからだと思います。好きだからこそ、試行錯誤を繰り返してこれました。“着物”以外にも、ストールやマフラー、工業製品用のネットなども織るようになって、それが経営の基盤になったんです。

こだわりを続けるから見えてくる未来がある

 

※澤井織物工場では20代の若手も活躍している

―:いま取引しているのは、どういった企業が多い状況でしょうか。

澤井:海外から評価を得ているハイブランドのアパレルメーカーが多いですね。「多摩織」で培った技術や、長く続けてきたことで蓄積してきた流行やニーズを読み取る力が、メーカーと仕事を進める上で役立っています。他社ではやらないような織物をつくることや、作品みたいな物を製品化する。というこだわりも持っています。

―:今回ご登場いただいたキャリアコンパスは、“自分らしく働くこと”を考えている読者に、ヒントを得てもらいたいというコンセプトがあります。今の20代・30代前半の若者に、働く上でのアドバイスをお願いします。

澤井:何か1つでもポリシーを持って働き続けると“自分らしく働く”方法が見えてくると思います。ポリシーという軸があると、時代の変化にも対応していく力が養われるはずです。それと、長く活躍できる会社を見つけることも大事かもしれませんね。当社でも、新しく入社してくる若手には、一生の活躍の場にしてもらえる環境づくりに力を入れています。

例えば、技術を身につけられることはもちろん、当社の製品をアパレルの展示会などで発信することでお客様の反応が直接わかる機会を作ったり。会社の外部の人たちとも積極的に関わってもらうことは、モチベーションが高まると思っています。それに、結婚しても続けられる体制作りなどにも取り組んでいますよ。

20代・30代前半の人たちには、ぜひ自分の力を発揮できる会社を見つけてほしいですね。

※この記事は2016/11/04にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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