不安への処方箋。ちょっとずつ始めたい、新しいこと

新年度は、新しい環境に期待で胸が膨らむ一方で、不安を覚えやすい時期です。そんな不安を覚えながら過ごす日々は「できれば避けたい」と誰でも思うでしょう。また、どのように不安を解消させればよいのかわからない人も少なくないはず。ここでは、心理学・コミュニケーション学の専門家で、早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師の晴香葉子先生に「不安への処方箋」をテーマに、ちょっとずつ始められる不安の解消法を教えていただきました。

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不安を覚えたとき、まずするべきことは「深呼吸」

人は、不安を覚えると、固まって動けなくなることもありますが、反対に多動になり、そわそわと落ち着きがなくなったり、集中力が散漫になったりすることもあります。社内の大事なプレゼンの前や、就職活動の時期を思い返してみましょう。同じような経験をしたことがある人は多いはず。

そもそも不安は、リスク回避や問題解決に備えるために心と身体が反応することで起きます。そのため、まずは心と身体を落ち着かせることが第一。そこで有効とされているのが「深呼吸」なのです。深呼吸には副交感神経の働きを高め、自律神経のバランスを調節し、心と身体をリラックスさせる効果があります。

また、同時に「不安というのは誰でも日常的に感じるもの。不安を感じることはメリットにもなる。なぜならリスクを回避する準備ができるから」と考えてみてください。抱いている不安感をコントロールしやすくなります。

不安解消のためにちょっとずつ始められる、新しいこと

不安は、ある程度は誰でも日常的に感じるもの。特に「自分は変わっていない」「成長できていない」といった自己嫌悪からくる不安は、焦りも生み出してしまいがちです。そんな不安と焦りで心がいっぱいになる前に、ちょっとずつ始められる新しいことを紹介します。

新しいことを学んでみる

ここでいう“新しいこと”は何でも構いません。自分が好きなことや仕事に関して気になる分野でも大丈夫です。大事なのは、新しいことを勉強して「成長できている」「自分は前に進んでいる、努力している」と実感すること。このような実感は曖昧で未来予測的な不安を緩和してくれます。また、勉強に集中することで不安感を力に変えることもできるのです。

今気になることや学びたいことがある人は、関連する本を買ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。

新しい人間関係を構築する

人間は、お互いに助け合うことでリスクを回避し、強く豊かに繁栄してきました。信頼し助け合える人間関係があれば、不安を解消する心強い味方になるはずです。当然、相手の不安解消にも役立ちます。

今ある人間関係を大切にすることはもちろんですが、新しい人間関係が構築できれば、安心感が拡大していきます。自分のペースで少しずつ、新しく良好な人間関係を構築してみましょう。

新しい場所・環境へ飛び込んでみる

新しい場所や環境には、「未知」という漠然とした不安感が存在し、飛び込むことを躊躇させます。ただ人によっては、実際に行動を起こしてみると意外と大丈夫で、その途端に漠然としていた不安感が解消されることがあります。

【タイプ別】おすすめの不安解消法

不安は、「一過性で原因やリスクが明確なタイプ」と「ある程度持続的で原因やリスクが曖昧なタイプ」の2種類に分かれます。そのため、タイプごとに解消法も異なります。

まず「一過性で原因やリスクが明確なタイプ」に対しては合理的な対処を取るようにしましょう。例えば、社内で行うプレゼンがうまくできるか不安であれば、プレゼンの練習をすればある程度解消しますし、経済的な不安であれば、とにかく働いて少しずつでも貯金をすれば、解消されていきます。

一方、「ある程度持続的で原因やリスクが曖昧なタイプ」に対しては目の前のことに集中するようにしましょう。不安を「よくあること」として受け入れて、掃除や読書、映画鑑賞、趣味などに集中してみてください。すると、今過ごしている時間を有意義にでき、原因やリスクが曖昧な不安感を上手にコントロールできるでしょう。

文=トヤカン
編集=五十嵐 大+TAPE

【監修】
晴香葉子●作家、心理学・コミュニケーション学の研究者。企業での就労経験を経て心理学の道へ。研究を続けながら、さまざまな角度から情報を提供。執筆、講演、監修などの活動を続けている。

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