不安を受け入れる――。「変われない自分」を認めるにはどうすればいいのか【リニューアル2020〈3〉】

近年は「自分磨きをしよう」「自己実現が大事」といった、成長や変化を促すメッセージをよく見るようになりました。確かに、こうしたメッセージをきっかけに自分を成長させられる人もいます、ただ一方、負担に感じてしまっている人も少なくありません。そしてなぜか「自分は変わらなくて平気なのか」と不安になってしまいます。変わらないことは決して悪いことではないはずなのに。今回は、心理学・コミュニケーション学の専門家で、早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師の晴香葉子先生から、不安を受け入れ、変われない自分を認める方法を教えていただきました。

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「不安感ゼロ」よりも、不安のままでいた方がいい場合もある

不安は、人間にとって悪い影響を与えるものとして捉えられがちですが、既知の危険を回避できたり、将来起こり得るリスクや問題に備えられたりするメリットもあります。決して悪いことばかりではありません。

“生存”ということを考えれば、不安感がゼロになってしまうことはむしろ危険です。

“社会人としての自己実現”ということを考えても、「変われない自分」に不安を持っている人は、今後のリスクに備えて準備ができますし、問題が起こりそうになれば準備をしていた分、早く行動に移せます。

しかし、不安感がゼロの人は、そもそも今後の自分に起こり得るリスクを考えられていないため、問題が起こりそうになっても行動に移せません。

このように、状況によっては不安を覚えたままでいてもいい場合もあります。

不安な自分を受け入れ、肯定できるようになる方法

「不安を覚えたままでいい」と思えるためには、不安な自分を受け入れて、肯定できるようになる必要があります。

ただ、日本人はもともと謙虚で上昇志向が強く、足りない部分に目を向けてしまう傾向にあります。ゆえに不安な自分を肯定的に受け入れることや、自己を肯定することが苦手な人も多いです。

そんな人におすすめなのが、「不安を覚えてもいいんだ」「不安を覚えるのは誰にでもある当たり前のことなんだ」と考えてみることです。「不安を覚えている自分は周りと何も変わらない、至極当然のことなんだ」と考えられるようになれば、自分をそのまま受け入れられ、不安な自分を不安にならなくなります。

また、以下のような自己肯定感を高める方法を取り入れるのも一つの手段です。

集合的な肯定感と貢献意識を感じる

日本人は、本当に働き者が多い国です。何らかの事情で電車が遅れたり、動かなくなったりしても、多くの人はなんとか仕事に遅刻しないようにと試みます。

もう十分頑張っていますし、この記事を読んでいる人や周りにいる人の多くが例外ではないでしょう。ぜひ、自分自身を身近な人も含めて「世の中で自分なりに頑張っている人」という集合的な肯定感の輪の中に入れてあげてください。貢献意識を実感することができ、自己肯定感も高まり、安心感を得ることもできます。

周囲に感謝を伝える

感謝の気持ちを言葉にして伝えると、伝えた自分自身や自分の人生を肯定する気持ちが高まります。

いまの自分がいるのは、両親、兄弟姉妹、友人、恋人、会社の同僚などが、たくさんサポートをしてくれて、支えてくれたからでもあると思います。また自分自身も、たくさんの人をサポートし、支えてきたのではないかと思います。普段特に意識していなくても、日本で暮らす多くの人は縁や支援に恵まれています。このことに意識を向けるだけでも十分、「自分は恵まれている人間なのだ」と感じることができ、自己肯定につながります。

また、生きている限り、今後も、支え、支えられる関係は続いていくと思います。これを機に一度感謝の気持ちを伝えてみると、今までの人生を肯定する気持ちが高まると同時に、お互いの安心感を広げることもできると思います。

不安を受け入れて、変われない自分を認めることも大事

「変われない自分」に対して不安を覚えることは、悪いことではありません。むしろ不安は上手に付き合っていくことができれば、大きなメリットを得られます。危険なのは不安感をゼロにして、「変わっていく社会」に対して何も備えないこと。

不安と上手に付き合うためにも、まずは不安を覚えている自分を受け入れることから始めてみましょう。この記事で紹介した方法を参考に、ぜひ試してみてください。

文=トヤカン
編集=五十嵐 大+TAPE

【監修】
晴香葉子●作家、心理学・コミュニケーション学の研究者。企業での就労経験を経て心理学の道へ。研究を続けながら、さまざまな角度から情報を提供。執筆、講演、監修などの活動を続けている。

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