OKRは3つのルールがある目標管理のフレームワーク
OKRとは「Objectives and Key Results」の略語で、インテルのCEOだったアンディ・グローブ氏が作った目標管理のフレームワーク。ざっくり言ってしまうと、チーム一丸となって突き進むための組織強化に、力を貸してくれるものです。
なおそれぞれの意味は
- Objectives=成し遂げたいこと・実現したい状態
- Key Results=Oを達成するための目標数値
となり、OにKRが紐づいています。
OKRには以下の3つルールがあります。
- 会社、部門、個人ごとに階層構造で設定する
- 四半期ごとに、「成し遂げたいこと・実現したい状態(O)」と「目標数値(KR)」を設定し直す
- 全社員に公開する(可視化する)
またミッション(O)の作り方にも決まりがあります。
- ハードルの高い目標を立てる(わくわくするもの)
- 60~70%の達成率が見込めるもの
「なぜ60~70%の達成率でOKなのかというと、乗り越えるのが難しい目標を立てることを決まりとしており、ハードルが高いため、100%の達成は難しいから。従来の人事評価は達成率で判断されがちです。達成率で評価されると、多くの社員は自分が100%達成できるハードルの低い目標を設定してしまいます。一方OKRの場合、全員で高い目標に向かっていけることが素晴らしい点です。ハードルが低い目標か、高い目標か。高い目標の方が、個人も組織も成長率が大きいですよね」(大島さん)
OKRの3つの良い点、1つの難しい点
良い点(1)可視化により部署間のコラボレーションが可能に
「同じ会社にいながら隣の人や隣の部署がどんな目標を立て、どんな課題に取り組んでいるかを知らないことは往々にして起こります。OKRは部署や個人の目標を可視化しているため、誰がいま何をしているのかが分かるんです。別部署が取り組んでいることが分かるので、『うちの部署と協力してビジネスを進められる。コラボレーションしましょう』となり、他部署とのコラボレーションがしやすくなります」(藤原さん)
良い点(2)イノベーションが生まれやすい環境が作れる
「ハードルの高い目標を立てるため、社員たちは自分のリミットを超えようとします。そういう限界突破をしようとした時、ビジネスの世界ではイノベーションが起こることがあるんです。そのためOKRは、新規ビジネスに取り組む企業や部署が取り入れる傾向にあります」(藤原さん)
良い点(3)思考の質や量が圧倒的になる
「OKRをやってみると分かるのですが、考え続ける習慣がつきます。可視化できるため、会社の動きを俯瞰で見られる。俯瞰した時に、部署の目標や自分の目標が合っているのかズレているのか、常に考えないといけなくなります。常に考える習慣がつくので、思考の質や量が圧倒的になるんです」(藤原さん)
OKRの難しい点:目標を考えるのがハード
「目標を考えるのが難しいんですよね。OKRは数字など分かりやすい目標だけではなく、実現したいこと・成し遂げたいことを作ったうえで、それを実現させるためのアクションを考え、絞り込む必要がある。それを考えるのは時間がかかりますし、サイクルも短く常にアップデートしていくため、考えすぎて疲れることも(笑)」(大島さん)
OKRのおかげで組織の雰囲気がよくなった
組織が大きくなれば、全員が同じ方向を向くことが困難になりがちです。実際、OKRを導入した企業が「チームの雰囲気が悪かったけれど、改善してきている」「今まで関わりのなかった部署とのコミュニケーションが増えた」などの声が上がっており、効果があるようです。組織がバラバラではビジネスはうまくいかないもの。組織作りに悩んだ時は、OKRに助けを求めてみてはいかがでしょうか。
取材協力=パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
取材・文=野田綾子
編集=TAPE
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