決裁/決済の違いは?「支払い」か「権限」で使い分けよう

「決済を済ませる」「決裁が下りる」などビジネスの場でよく使われる「決済/決裁」という言葉。なんとなく、雰囲気で使ってはいませんか? 実は全く違う「決済」と「決裁」それぞれの意味を押さえておきましょう。

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「○○くん、先月の□□商事との取引の『けっさい』は済ませてくれたかね?」

この場合の『けっさい』は「決済」と「決裁」のどちらかわかりますか?

ヒントは、決済は「お金」にまつわる言葉、決裁は「権限」にまつわる言葉ということ。

以下で詳しくみていきましょう。

「決済」とは

「決済」は「証券や代金の支払いによって売買取引を終了させること」です。例えば「クレジットカード決済」「取引を決済する」といった場合にはこちらの「決済」を使います。

つまり、先ほどの問題の正解は「決済」ですね。「取引を『済』ませる」から「決済」と書くのです。

「決済日」「現金決済」「電子決済」といったように使うとわかりやすいですね。「清算」や「会計」が類語にあたります。

 

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ちなみに、取引で受け取る権利を「債権」、支払う義務を「債務」といい、これらは決済で解消されます。

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「決裁」とは

「決裁」は「上司など上位の権限を持つ人が可否の判断を下すこと」です。「部長の決裁を待つ」「やっと上司の決裁がもらえた」といった場合はこちらの「決裁」が正解です。

「裁」という字は「裁く」。つまり「善悪・理非の判断をする」という意味を持ちます。「裁くから決裁」と覚えておくと良いでしょう。

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なお、複数人で書類を回覧して行われる決裁を「稟議」といいます。

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では「決裁」「稟議」「承認」の違いとは?

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「稟議」とは、「稟議書」と言われるように個人の権限だけでは決定できない物事について、その内容を回覧して承認を得ることをいいます。基本的に複数の関係者に内容を周知させ、承認を得る作業で決裁手続きのひとつといえます。

一方で「承認」とは、決裁の前段階で了承を得る、というニュアンスです。稟議書などにおいても関係者の承認を積み重ねることによって、最終的に決裁者に判断を促すことになります。

「決裁」の例文と使い方

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 【例文】
今回のプレゼンでは、上司の決裁を得ることができなかった。

【使い方】
決裁をとる
決裁を仰ぐ
決裁が下りる

 

「決済」の例文と使い方

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 【例文】
この居酒屋はスマートフォンで決済ができる。

【使い方】
決済ができる
決済が完了する
決済を延ばす

 

「決済」と「決裁」を一言で表すと

今回、解説した「決済」と「決裁」の違いを一言で表すとこちら。

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決済…売買取引を済ませる
決裁…上司などの上位者が可否の判断を下す

「お金の支払いを『済』ませるのか、上司などが『裁』くのか」で判断すれば、書き分けに迷うことはなくなるでしょう。

文=宮田文机
イラスト=前田はんきち
編集=五十嵐大+TAPE

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