共感力はビジネス成功の鍵!高い人の特徴や高める方法を分かりやすく解説

ビジネスでは欠かせないコミュニケーションや信頼関係の構築には、「共感力」が大きな鍵を握っています。本記事では、共感力を身につけるメリットや高める方法などを解説します。

共感力を使いながら部下の話を聞く上司の様子

ビジネスでは、社内外を問わずさまざまな人とコミュニケーションをとり、信頼関係を構築していく必要があります。そこで注目されているスキルが「共感力」です。今回は、共感力の概要や身につけるメリット、日常生活の中で高めていく方法などについて、キャリアコンサルタントの平井厚子さんに伺ったお話を基に、解説します。

共感力とは?その概要を分かりやすく解説

同僚の提案・意見に共感する様子

ビジネスにおける「共感力」とは、「他人の感情を考え、立場を理解し、それに対して適切に反応する能力」です。相手のニーズや「こうして欲しい」という期待を理解し、相手に「自分は尊重されている」という感覚を持ってもらうことで、円滑なコミュニケーションを可能にします。

ビジネスにおいて共感力を身につけるメリットは?

チームビルディングの様子

ビジネスにおいて共感力を身につけることは、どのようなメリットをもたらすのでしょうか。主なものについて詳しく解説します。

顧客の感情やニーズを理解できる

共感力を身につけることで、顧客や取引相手が求める物事を正確に理解できます。相手が真に求めるサービスや解決策を提供できれば、顧客満足度が高まり、リピーターにつながることが期待できます。さらに、顧客に寄り添ったニーズが把握できるので、新たなアイデアや製品開発に寄与するケースもあるでしょう。

チームビルディングができる

共感力がチームメンバー同士で活かされれば、メンバーの関係が表面的な事柄の共有だけでなく、内面的な感情まで共有されます。それによって、協力的な関係を構築しやすい空気が生まれるのです。メンバー同士がお互いを理解し、尊重できれば、プロジェクトの効率性と効果性が高まり、全体の成果にも直結するでしょう。

効果的なリーダーシップが発揮できる

共感力が身につくと、同僚・部下の感情や状況に対し敏感になるので、相手の気持ちを受け止めながら、そのニーズに合わせ、それぞれの能力を最大限に引き出しながら支援や指導を行えます。その結果、信頼や尊敬を得られれば、チームの士気も高まるでしょう。

加えて、効果的なリーダーシップによってチームの生産性も高まるため、目標を達成しやすくなり、組織全体の満足度向上にもつながります。

交渉力が上がる

取引先との交渉では、共感力を身につけることで、より効果的な提案や解決策の提示につながります。共感力は、異なる意見や立場を持つ相手との相互理解を深めるので、生じてしまった誤解や、対立を解決する場合にも有効です。ビジネスでの交渉において、共感力は大きなアドバンテージになると言えるでしょう。

キャリアアップにもつながる

共感力によって、人と人との深い関係を築くことができ、人的ネットワークを拡大し、良好な人間関係をつくることができます。新たな人間関係は新たな機会を引き寄せるため、キャリアの多様性と安定性の向上に役立つのです。

さらに、他人の立場や考えを理解しやすくなるので、キャリア形成にあたって生じる課題や緊急事態にも対処でき、協力も得やすくなるでしょう。

【無料診断】あなたの仕事力はどれぐらい?リモートワークにも役立つ仕事力をチェック

共感力が高い人の特徴

共感力が高い人のイメージ

共感力が高い人とは、どのような人を指すのでしょうか。ここでは共感力が高い人の特徴について解説します。

聴くことに長けている

共感力が高い人は、聴き上手な特徴があります。会議やプレゼンをはじめ、日常のコミュニケーションにおいて、他人の意見や提案をしっかり理解しようとするので、その姿勢に対し、話し手は「自分の価値を認められている」と感じます。そのため、よりスムーズにコミュニケーションが進む傾向にあるのです。

意見の違いを恐れない

共感力の高い人は、相手の意見を知ることに抵抗がなく、違いを恐れません。例えば、自分が企画したプロジェクトに対して同僚から異なる提案があった場合も、相手の意見を受け入れます。自分の意見を押し通すことで生じる関係性の悪化や構築の失敗などを未然に防げるので、生産性の向上にも寄与するのです。

感情の理解が深い

共感力のある人は、ストレスや圧力によって生じるチームメンバーの感情を察知し、適切にサポートや助言を提供します。理屈で解決しようとしないため、チーム内での分裂や対立が激化することがなく、対人関係が自然と良好になります。チーム全体を通して良い関係性が築かれるので、士気も高まりやすくなるでしょう。

転職するなら何歳まで?転職成功者の年齢調査

共感力が低い人の特徴

共感力が低く人間関係が希薄な人のイメージ

一方で、共感力が低い人の特徴についても解説します。

他人の感情を見落としがち

共感力が低いと、他人の感情を見落としてしまいがちです。例えば、チーム内での意見の対立が生じた時に、他人の感情や視点を理解できず、自分の理屈で解決しようとするため、チームの分裂や対立を激化させてしまいます。

反応が鈍いか適切でないことが多い

ビジネスにおいて、社内外の人と良い関係性を構築するには、相手の意見や感情を理解し、すばやく適切なリアクションする必要があります。しかし、共感力が低い人は、反応が鈍いか適切でないことが多いのです。

例えば、クレーム対応ではまず相手の感情を受け止めることが大切になりますが、共感力が低いとこれを感じ取るのが苦手で相手の意見や感情を理解できません。結果、クレームや要望に対して、不適切な対応をしてしまう傾向にあります。

人間関係が希薄な場合も

共感力が低いと、他人との深い関係を築くことが基本的に難しくなります 。上司や同僚、部下はもちろん、取引先とも良い関係を築きにくいので、結果的に職場で孤立してしまったり、ビジネスチャンスを失ったりしてしまいます。

共感力を高める方法は?

傾聴・アクティブリスニングを実践するイメージ

共感力を高めるためには、日頃から意識すべきポイントがあります。次にその方法を紹介します。

傾聴(アクティブリスニング)を実践する

共感力を高める上で重要なことが、傾聴です。相手が話しているときは、積極的に聞き、適宜質問を挟みながら理解を深めましょう。傾聴することによって、相手の言葉だけでなく、その背後にある感情や意図も捉えられます。相手に対する理解が深まることで、共感力を高められるでしょう。

さらに会話では、適度に相手の言葉を繰り返したり、要約したりすることを意識しましょう。例えば、「それは非常に困惑したのではないですか」「契約がとれてうれしかったのですね」などです。

相手の感情を捉え、フィードバックすることで深い共感を示すことができます。相手が「自分は理解され尊重されている」と感じると、自己開示が進み、信頼関係の構築にもつながるのです。

また、悩んでいることなどを相談された場合のフィードバックは、ただの批評にならないようにしましょう。相手の感情や努力を認め、相手が受け入れやすく、防御的にならずに改善に取り組めるような、建設的な提案を行うのがおすすめです。「自分は支援され、理解されている」と相手が感じることで、より積極的に改善に取り組むことが期待できます。

異なる視点から物事を考える

自分の立場や前提を一時的に横に置き、相手の視点から状況を観察・考察することも、共感力を高める上で大切です。

そのためには、シチュエーションを異なる角度から見る練習が必要です。「この人にとっては状況がこう見えていたのか」と思えるまで、相手の視点を理解するよう意識しましょう。他人の視点から物事を見ることで、自分には見えなかった情報や感情を理解できるようになります。より広い視野を持ち、多様な意見や感情を理解できるようになれば、共感力の向上につながります。

ほかにも、異文化間コミュニケーションに関する研修の受講や、関連書籍を読むこともおすすめです。多様な文化や背景を理解することで、異なる環境や価値観を持つ人々との間で、共感を生み出しやすくなります。グローバルなビジネス環境におけるコミュニケーションがスムーズになり、より広範囲での信頼や関係性の構築に役立つでしょう。

自分のコミュニケーションを振り返る

日々の終わりに、自分の行動や反応を振り返り、他人の感情や意見にどう反応したかを考えてみましょう。特に、感情的な反応や対話中の自分の態度に注目し、自分の癖を見つけ出すことがポイントです。

振り返りによって、自分自身の物事の見方や反応パターンを理解できれば、より意識的に共感することが可能になります。他人への理解が深まれば、共感力はさらに向上するでしょう。

【無料診断】そのモヤモヤの原因は?キャリアのヒントが見つかる「モヤモヤ解消診断」

共感力はビジネスでどう活かすことができる?

ビジネスで信頼関係を築き上げる様子

身につけた共感力は、ビジネスの場面でどのように活かされるのでしょうか。具体例を交えて解説します。

チームメンバーや部下との信頼関係を構築できる

チームメンバーや部下と関係を構築するには、共感力が欠かせません。

共感力があれば、メンバーや部下が感じているプレッシャーを理解し、支援の方法を考えられます。さらに、成果を認めて具体的なフィードバックを提供することも可能です。メンバーや部下は「自分は評価されている」と感じ、問題解決に向けた前向きな姿勢を持てる上、さらなる努力や貢献につながります。

加えて、共感力が日常的に発揮されることで、関係性がより深まり、効率的な協力や強固な信頼関係の構築も期待できるでしょう。

また、日々の対話やフィードバックを通じて、メンバーの個々の状況や感情に寄り添うこともできます。これにより、より一層の協力やコミットメントを引き出され、全体の士気が高まると同時に、個々の成長や発展の助けにもなるでしょう。

取引先とより良い関係性を構築するきっかけになる

取引先と接する際には、共感力が交渉の場において大きな力を発揮します。

共感力によって、取引相手の立場や要求、ビジネス環境、市場での課題などの把握が可能になる上、ニーズに合わせた提案や交渉において、より良い解決策を見つけられるでしょう。

また、取引先との関係においては、相手のビジネス市場に対し、共感力を持って深い理解を示すことが重要です。これは単なる情報収集の域を超え、相手のビジネスが直面する課題に対して、データに基づいた提案することも含まれます。共感力を踏まえた理解に基づいているほど、取引先の信頼を得やすくなり、ビジネスの成功が期待できるでしょう。

【最新版】社会人の平均年収はどれぐらい?年代別・職種別・業種別ランキング

ビジネスにおける多様な人間関係を深めるための共感力

ビジネスにおいて共感力は、人間関係の質を高め、より健全で生産的な職場環境を実現するための重要な要素と言えるでしょう。共感力は、相手を理解するだけでなく、相手に合わせた最適なアプローチをとることができる上、共感力によって構築された関係性は、良好かつ強固で、組織の成功を支える役割を果たします。

さらに、昨今のビジネスシーンでは、多様なバックグラウンドを持つ人々を理解し、包括的な環境をつくることが求められています。同じ組織内のメンバーでも、性別や年代、所属や経歴は異なり、ビジネスのつながりを通じても、従来の常識に捉われないコミュニケーションを築く必要があるのです。そのためには、共感力を発揮したコミュニケーションが求められるでしょう。

監修:Officeまいとれいや代表 平井厚子
国家資格キャリアコンサルタントをはじめ、1級キャリアコンサルティング技能士や産業カウンセラーなどの資格を持つ。数々の企業で人材育成やキャリア開発を行い、2012年よりキャリアコンサルタントとして就職支援や就職後の定着支援を実施。2020年には「可能性を広げて納得できる働き方を!」を理念に60歳で起業。現在ではフリーで、就職・キャリア相談や研修講師などを行っている。

【関連記事】
職場で孤立したらどうすべき? 考えられる原因と対処法を解説
それって認知バイアスかも? 種類や仕事への影響、予防策について解説
傾聴力は鍛えられる!コミュニケーションの鍵を握る「傾聴」を身につけるには

page top