ビジネスの自己紹介の正解は? 7つのポイントと5つのシチュエーション

自己紹介は自分自身を知ってもらうためのプレゼンテーションであり、コミュニケーションの第一歩です。

若手社会人が知っておきたい、相手に好印象を与える!自己紹介のコツ

自己紹介は自分自身を知ってもらうためのプレゼンテーションであり、コミュニケーションの第一歩です。

若手ビジネスパーソン、特に社会人一年目のとなる新入社員にとっては、4月は何かと自己紹介を求められる機会が多いはず。自分自身のことを話すので簡単なように思われますが、何を話せばよいのか分からない、うまくまとめられないなど、自己紹介に対して苦手意識を持っている人も多いようです。

初対面での自己紹介で相手に好印象を持ってもらえれば、その後の関係もよりスムーズにいくでしょう。また仕事をする上で、初めて訪問する会社でのあなたの第一印象は、あなたの所属する会社のイメージにもつながっていきます。今回は、ビジネスマナー講師の金森たかこさんに多くの若手ビジネスパーソンがスムーズ且つ好印象を残せるための自己紹介のコツを教えていただきます。

自己紹介で印象アップ!

 

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印象の良い自己紹介ができるようになると次のようなメリットがあります。

1. 名前を覚えてもらえる

2. 自分の人柄が相手に伝わる

3. 自分の情報を伝えることで、相手に安心感や信頼感、また親しみを感じてもらえる

4. 話のきっかけづくりになる

5. 自己紹介で好感を持ってもらえれば、自分の所属する会社の印象も良くなり、仕事がしやすくなる

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自己紹介が必要となるシチュエーション

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1. 職場

2. 訪問先の会社

3. 勉強会や交流会

4. 宴席

5. 趣味のサークル



自己紹介が必要なシチュエーションは上記の他にも、さまざまな場面が想定されます。例えば、交際相手のご両親への初めてのごあいさつ、結婚式でスピーチを依頼されたときの冒頭のあいさつ、町内会の集まり、子どもの学校の保護者会など、年齢を重ねていくほどに自己紹介の機会も増えていきます。

自己紹介の機会が増えるということは、自分を知ってもらう機会が増えるということ。そのため、その場に合った感じの良い自己紹介のコツを身につけることは、周囲の人が持つ自分への印象を大きくアップさせることにつながるでしょう。

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自己紹介7つのポイント

 

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それでは、短時間で名前を覚えてもらえ、さらに、相手に好印象を与える自己紹介のポイントについて見ていきましょう。

1.自己紹介の基本パターンを知る


突然ですがハンバーガーを思い描いてみてください。ハンバーガーはパンの間にいろいろな具が入っていますね。自己紹介の基本パターンは、このハンバーガーの形にあります。

自己紹介の具体的な流れは次の7つです。

1 最初のあいさつ

2 名前

3 お辞儀

4 自分をアピールするコメント

5 締めのあいさつ

6 名前

7 お辞儀

上記、7つのポイントをハンバーガーに当てはめると

1~3(パン)… あいさつ+名前+お辞儀

4 (具)… アピールコメント

5~7(パン)… あいさつ+名前+お辞儀

となります。

つまり、自己紹介の基本的なパターンは、「自分自身を知ってもらうためのアピールコメントをあいさつ言葉+名前で挟む」というものです。

これは一番オーソドックスで、典型的な自己紹介の形です。このパターンにその場に合った内容を当てはめていくことで、誰からも好感の持たれる、きっちりとした自己紹介を簡単に実践することができるでしょう。

2.名前を覚えてもらう工夫をする


自己紹介でまず覚えてもらいたいのが、自分の名前です。しかしながら、複数の方の自己紹介を一度に聞いてしまうと、全員の名前を覚えることは簡単とは言えないもの。

そこで大切なのが、名前を覚えてもらえるように工夫をするということです。具体的にいうと、次のような工夫が考えられます。

1.名前に使われている「字」の説明をする

 例)河上太郎…「『かわ』にもいろいろありますが、さんずい偏の『河』に上下の『上』、桃太郎の『太郎』で『河上太郎』と申します」

2.名前の由来の説明をする

 例)ケント…「世界で活躍する人間になってほしいという両親の思いから、海外でも通用する『ケント』という名前をつけたそうです」

3.名前が同じ有名人、話題の人を持ち出す

 例)龍馬…「坂本龍馬と同じ字ですが、『りゅうま』と読みます」

4.故郷、誕生日との関係を説明する

例)めずらしい名字…「この辺りではめずらしい名字ですが、父の故郷○○県ではとても多い名前で、名字だけで呼ぶと皆が一斉に振り返ることもあります」桃子…「誕生日が3月3日なので、桃の節句にちなんで『桃子』と名付けられました。かわいくて気に入っています」

5.最後にもう一度名前を言って締めくくる

このように、ただ名前を伝えるだけではなく、名前にまつわるエピソードを加えることによって相手の印象に残ります。加えて、最後にもう一度名乗ることで名前を覚えてもらえる確率はグーンとアップします。

3.自分のキーワードを見つける


自己紹介の目的とは、名前を覚えてもらい、自分自身がどんな人間なのかを知ってもらうことです。名前にまつわるエピソードで名前を覚えてもらったら、次は自分がどういう人間なのかを知ってもらう必要があります。

そのためには自分の“売り”やアピールポイントを、ちょっとしたエピソードを交えながら手短に話すといいでしょう。

ハンバーグでいうと、一番大切な“具”の部分にあたります。

具は、たくさん用意しておけばおくほどバリエーションが豊かになり、おいしければおいしいほど覚えてもらえる確率も高くなります。次の例を参考に、日ごろから自分を紹介するエピソードをいくつか考えておき、ストックしておくことをおすすめします。


◎エピソード・キーワードの例

・自分の性格

 例)思い立ったらすぐに行動に移します。先日も「海外旅行に行きたい」と思い立ち、その週末には韓国旅行に旅立ちました。

・趣味

 例)趣味はマラソンです。走ることも応援することも好きで、地元の○○マラソンには毎年出場しています。

・特技

 例)特技は水泳です。6歳から水泳を習い始め、学生時代はスイミングスクールのコーチをしていました。

・やる気・意欲

 例)趣味のマラソンで培った体力と忍耐力を生かし、目標に向かって粘り強く取り組んでいきます。

・家族

 例)3人姉妹の長女です。一番下の妹とは10歳離れていますので、母親のような気持ちでつい世話を焼いてしまいます。

・その他

 例)トイプードルを飼っていて、毎朝散歩に連れていっています。



人は自分と共通点を持つ人に親しみを感じるといわれているので、相手と共通する趣味や特技、今夢中になっていることを伝えるとその後の会話のきっかけにも繋がるでしょう。

また、相手が話しかけやすいテーマを選ぶことも、次へ続く良好なコミュニケーションへの第一歩。例えば学生が多く集まる場であれば血液型、経営者が多く集まる場であれば影響を受けた本を伝えるなど、その場に集まった人によって話しかけやすいテーマを選んで伝えると、「私は○○で……」と相手が話しかけてくれる可能性が高くなります。

4.場に合わせた内容にする


自己紹介をする場面は多岐にわたります。大切なことは、その場に合わせた内容にするということです。

例えば、新しい職場での新任のあいさつのとき、

1.趣味や家族の話

2.今までの職歴や今後の仕事に対する意欲

どちらの話題が合っているでしょうか。もちろん2ですよね。

しかしながら歓迎会や宴席では、エピソードを交えた1のほうが人柄や親しみやすさがより伝わり、話のきっかけづくりとしてはよいかもしれません。

・その場にいる人たちが何の目的で集まっているのか

・どんな人たちに話すのか

・あなたの何を知りたいと思っているのか

・あなたは何を知ってもらいたいのか

これらのポイントをはずさず、その場に合った内容を話すことで、印象に残る自己紹介になるでしょう。

5.ポイントを絞る


3で自分のキーワードやエピソードをいくつか考えたら、ついあれもこれもと話してしまいがちに。しかし話を盛り込みすぎると、結局どれも印象に残らず、誰の話だったかすら忘れられてしまうことになりかねません。

印象に残る自己紹介のコツは、ポイントを絞りシンプルにまとめること。その場に合った話、自分が本当に伝えたいことに内容を絞り、「あの話をした○○さん」と後々まで覚えてもらえるように話題を選んでくださいね。

6.笑顔で明るく姿勢よく


第一印象は2秒で決まるといわれています。ぱっと見たときの表情や態度、姿勢、身だしなみといった、いわゆる「見た目」の印象で、瞬時に「感じが良いか悪いか」が決められてしまうのです。

笑顔によって相手に安心感や信頼感、親しみやすさなどプラスのイメージを持ってもらえます。また姿勢の良さは健康的で堂々とした印象を与えます。

「この人の話を聞きたい」と思ってもらえるように、見た目の第一印象で相手の心をグッとつかみましょう。

7.声ははっきり、聞き取りやすいスピードで


いくら素晴らしい内容の自己紹介をしたとしても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。

声は相手に与える印象を大きく左右します。ハキハキした明るい声からは、その人自身もハキハキした明るい人という印象を与えます。反対にボソボソとした小さな声だと、聞き取りにくいだけでなく、自信がなさそうで暗い人という印象を与えてしまいかねません。

声の大きさのポイントは、一番遠くにいる人に顔を向け、話しかけるようにすることにあります。遠くの人に声を届けようとすれば自然と姿勢も良くなり、明るく大きな声が出ます。

姿勢と声、目線と声は不思議と連動しています。下を向いているときは大きな明るい声は出しにくく、逆に笑顔で前を向いているときは暗い声を出しにくいものです。さらに、声は目線の先に届くといわれています。みんなの前に立ったら、一番遠くにいる人に顔を向け、笑顔で話し始めましょう。

相手が聞き取りやすいスピードで話すことも一緒に心がけてくださいね。

自己紹介3つのNG例!好印象を得るための留意点

上記の7つのポイントをきちんと踏襲していても、聞き手につまらない思いをさせてしまっては好印象を得られません。7つのポイントと合わせて、3つのNGポイントもチェックしておきましょう。

 

1.脱「えーあー人間」

どうしても人前に立って話す時に、「えーと」や「あー」が増えてしまうことがあると思います。これはその場で話すことを考えているとも取られかねませんので、事前に準備をしてスピーチ内容を頭に入れておきましょう。「えーと」「あー」が多い話は相手にとっても聞き取りにくいので注意しましょう。

 

2.要領を得ないまま、長々と話す

少しでも自分のことを知ってもらおうと、たくさん話したい気持ちは分かりますが、ダラダラと話し続けるのはかえってマイナスです。自分よがりな話や、自慢話になってしまっては、むしろ「要領の悪い人」と思われてしまいます。長くても5分以内に、端的な自己紹介を心がけましょう。

 

3.ネガティブ発言をする

初対面でネガティブな発言をしてしまっていては、好印象は与えられません。意欲があり、前向きな人の方が重宝されますし、今後の仕事にかかわってくる大きなポイントです。逆に前向きでポジティブな話をすれば人も集まってきますし、興味を持ってもらえるはずです。

まとめ


自己紹介は名前を覚えてもらい、そこにいる人の「あの人はいったいどんな人なのだろう」という疑問や興味に答えていく場でもあります。

つまり「聞いている人」の立場に立って「相手の知りたがっていること・興味を持っていること」を想像し、話しをする場であるともいるのです。どんな話をすればいいか迷ったときは、自分自身がその場にいる人の何が知りたいか、何に興味を持ったのかを考えるといいでしょう。

そうは言っても、緊張のあまり頭が真っ白になって言葉が続かなくなることがあります。そんなときも慌てることはありません。そんな自分自身を実況中継すればいいのです。


「皆さんこんにちは。山田太郎です。

  ………………。

いろいろ考えてきたのですが、緊張のあまり頭が真っ白になってしまいました。

緊張で頭が真っ白になってしまった山田太郎です。

こんな私ですが、どうぞよろしくお願い致します」



これでいいんです。これも立派な自己紹介です。

自己紹介は自分の名前を覚えてもらう場。名前をしっかり伝えることができたら半分以上成功です。

ここまで読んでくださった皆さん、もう恐れることはありません。しっかりと準備をして、自信を持って自己紹介に臨んでください。

そうすれば、きっと自己紹介がこれからの仕事や人間関係につながる、素晴らしいコミュニケーションの第一歩となることでしょう。


※この記事は2016/04/19にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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