TGS2018期間中に行われた「『モンスターハンター:ワールド』DREAM MATCH in TGS 2018」。エキシビジョンながら『モンハン』では初めてとなる世界各国のチームを巻き込んだタイムアタック大会です。各国のチームそれぞれが編み出した個性的な戦術に、当日はかなりの盛り上がりを見せました。
その大会終了後、出場選手及び辻本良三プロデューサー・徳田優也ディレクターへのインタビューを行いましたので、その模様をお届け。各国での『モンハン』の盛り上がりや大会の感想などを伺いました
◆5位・香港チーム「麻郁達拿曲嗲咪羅(迷ったら食ってみろ)」
――かわいいTシャツですね。手作りですか?
ゼロビッシュ選手:手作りです。友達が作ってくれました。香港大会のときは別のバージョンがありました。これはそのカワイイバージョンですね。
――香港でもタイムアタック大会などははやっているのですか?
ゼロビッシュ選手:あんまりやってる人はいないですね。YouTubeとかの動画サイトでも香港の方はあまりいないです。ゲームをやる人は多いんですけど、プロとしてオンラインとしてみせるとかそいう人はいないです。
――『モンスターハンター』プレイ歴は長いんですか?
ゼロビッシュ選手:小学生からですね。『モンスターハンターポータブル 2nd』からです。
ロウェル選手:僕は『2ndG』の頃から始めました。当時はただ楽しむ程度でそこまで一生懸命ではなかったです。ただ『3G』や『4G』になってくると周りにプレイヤーが増えてきて、いわゆるひとつの枠が出来た感じで。お互いが友だちになって皆さんと一生懸命やるようになりました。
――大会に出るにあたりどのくらい練習されましたか?
ゼロビッシュ選手:毎日4時間位です。休日や暇な時は8時間とか10時間位です。いつも2人で練習することが多く、別々にプレイすることはあまりありませんでした。このために会社を休んで練習しました(笑)。
ロウェル選手:お互い仕事の時間帯が違うので、彼に合わせるために僕が仕事終わったら帰って寝て、深夜にずっと練習してました。そのために僕の時間はめちゃくちゃになりました(笑)。
――今回、他の国のプレイヤーのプレイを見てどう思いましたか?
ゼロビッシュ選手:すごく楽しくて、みんな考えることが近いですけど、それを実行する手段が違っておもしろいですね。僕が知らないことが多く勉強になりました。
ロウェル選手:今回、世界レベルのプレイを見て、いろいろ勉強することが出来ました。自慢じゃないんですけど、自分のやり方が世界のトッププレイヤーと近かったことは非常に誇りに思っています。
ゼロビッシュ選手:最期に一つ。今回、ホテルにPS4を持ち込んで練習しているときにWi-Fi絡みのトラブルが合ったのですが、台湾のチームが「僕らのWi-Fiを使ってもいいよ」って言ってくれて。本当に助かりましたし、嬉しかったです。感謝しています。
◆4位・アメリカチーム「Social Dissonance」
――お二人の『モンハン』歴は?
サミュエル選手:たぶん2010年が2011年くらいから、『モンスターハンターtri(トライ)』をWiiでプレイしていました。
マイケル選手:2006年ごろの『モンスターハンターフリーダム』(海外版『モンスターハンターポータブル』)からです。ちなみに、私は今回のチーム名にもなっている「Social Dissonance」というYouTubeチャンネルで活動していまして、今年で8年目になります。主に『モンスターハンター』のようなゲームに焦点を当てて活動しています。
――『モンスターハンター:ワールド』は全世界で同時発売となりましたが、アメリカでも盛り上がっていますか?
マイケル選手:『モンスターハンター:ワールド』が世界同時発売されたというのは、多くのアメリカのゲームプレイヤーの間でも有名でして、オープニングパーティーでもかなりいい受け止め方をされていました。今まで発売されたビデオゲームの中で一番大きな成功ではないでしょうか。
サミュエル選手:今までは日本が先に発売されてあとから追いついていくという形でしたけど、今回は同時に発売され、非常にエキサイティングでした。
――アメリカ予選の思い出をお聞かせください。
マイケル選手:私は、アメリカ東海岸のコネチカット州に住んでいるのですが、大会はカプコンのアメリカ本社があるサンフランシスコで行われました。6時間くらい離れたところですね。いままで、小さなイベントはあたのですが、こういった大きな大会をしていただくのは初めてだったので非常に嬉しいなと思います。また、賞品として日本に招いていただけて非常に素晴らしいと思います。
――他チームのプレイを見ての感想はいかがですか?
マイケル選手:国ごとにスタイルがいろいろ違うので、拝見できたのはとても素晴らしいと思います。アメリカのプレイヤーは時々攻撃的になって自分がダメージを受けても気にせず攻撃に行こうとするのですが、他のプレイヤーは予測してゲームを運んでいくということが多くて、どちらもおもしろいのですが、そういった違いが見られたのがよかったです。
次ページ:3位&2位チームのインタビュー
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◆3位・韓国チーム「여친회피본장」
――今日の感想はいかがでしょうか。
ソン選手:各国のチームのいろいろなプレーが見ることができたのは嬉しく思います。そして、いい成績が出せたのも良かったです。特に日本チームのプレイにはインスピレーションを受けました。とても良いイベントマッチだったと思います。
――韓国でもタイムアタックプレイなどは盛り上がっていますか?
ラヒョウ選手:特定の人気プレイヤーや上位プレイヤーは、新しいモンスターが出た時にタイムアタックを挑み、それをYouTubeに載せたりすることはあります。ですが、今回のような闘技場で行うようなクエストはそれほど多くありません。個人レベルでやってます。
――『モンハン』はいつ頃からプレイされていますか?
ソン選手:パートナーのほうは『モンスターハンター:ワールド』からはじめました。私は『モンスターハンターフロンティア』からです。
――今回の大会にあたって、練習はどのくらいされましたか?
ソン選手:2週間で80時間くらいですね。
――他国チームのプレイを見てどう感じられましたか?
ソン選手:私達が正解だと思っていたプレイとは別のプレイを見せてくれたのがおもしろかったですね。いろんな正解があるなと。
――お二人が考える『モンスターハンター:ワールド』の魅力的な所、好きな所ってどこですか?
ソン選手:『モンスターハンター:ワールド』は、ソロプレイヤーとしても楽しめますけど、マルチでやるともっと楽しくなると思います。プレイに参加する人数が多ければ多いほど、様々な武器や方法を試せるので、非常におもしろく感じています。
◆2位・台湾チーム「Monster Hunter Forever!!」
――『モンハン』は以前より遊ばれていたんですか?
アモン選手:最初はPSPからははじめて、アドホックでプレイしていました。その後はグループになったりインターネットでつながって遊ぶような形となりました。
――昔から遊ばれているんですね。『モンスターハンター:ワールド』でかなり変わったと思うんですけど最初はどう思いましたか?
アモン選手:最初はスケールがとても大きい、そして景色が美しいと思いました。当初はボコボコにされて、いつかは勝ってやるという気持ちでここまで来ました。
トウムギ選手:『モンスターハンター:ワールド』になって、本体のスペックも上がってグラフィックやシステムがすごく変わって。「超デカい進化」だなと思いました。
――バゼルギウス戦で、斜面を利用したハンマージャンプ攻撃を魅せていましたね。会場で一番の盛り上がりだったんですけど、これが一番早いという戦略の中から出てきたのものですか?
トウムギ選手:辻本さんがカプコンTVとかで縦回転をすごくやっているのを見て楽しそうだなと(笑)。これが一番速いわけではないというのはわかってたんですけど、派手なのでこれを狙ってみました。
――惜しい結果となりましたが、今回の感想をお願いします。
アモン選手:とても嬉しいです。私達の練習の成果はすべてここで見せることが出来たのかなと思います。少し失敗したところもありましたが、これは私達のこれからの伸びしろと見てくださればと思います。
トウムギ選手:僕も相方が言ったとおり、ほぼ全力を出しました。それでももっと速いチームがいました。すごいことだと思います。
――ちなみに、掛けているのは『モンハン』コラボメガネですか?
アモン選手:そうです!日本の「ALook」で買いました(笑)。
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◆1位・日本チーム「AGent」
――まずは世界チャンピオンおめでとうございます。
ああああ選手:ありがとうございます。
――今回武器の組み合わせが国ごとで様々だったと思うのですが、この組み合わせは意外だったというのはありますか?
George選手:意外といえば、香港チームの笛・ハンマーですかね。本番はミスっちゃったらしいんですけど、ベストタイムは我々より速いらしくて。自分たちの笛・操虫棍が一番速いだろうと踏んでたので、それが一番ビックリですね。
ああああ選手:ハンマー・ハンマーの台湾チーム。アレはおもしろかったですね。全然思いつかなかったですね。そんなんするんだって。
――今回の大会、自チームのプレイを振り返られていかがですか?
ああああ選手:お題が難しすぎました。
George選手:バゼルギウスは、罠・麻痺・睡眠とか選択肢が多すぎて。たとえば麻痺と気絶、スタンが一緒に入っちゃうとか、そういう調整がすごく難しかったです。
ああああ選手:拘束が拘束で潰れてしまう、それで火力が出せなくなってしまうということが多くて。管理しきれるように、フローチャートとか作って、いろんな通り調べて「どれがいいかな?」みたいな感じで進めました。
逆にナナ・テスカトリは普通に戦っちゃマズイやつだと思ってたんですけど、最終的に拘束しきって終わる形になんとかまとめて。本番はミスっちゃいましたけど。
――珍しいですよね。
ああああ選手:珍しいというか、初めてですね大きいミスをしたのは。狩王決定戦のときは大きいミスらしいミスがなかったので。結構ショックでした。
――具体的にはどのあたりですか?
ああああ選手:乗れなかったんですよね。変な行動を引かなかったのがまだよかったですね。そういうミスって致命的になりがちなので。
George選手:動かさないっていうコンセプトなので、動かしちゃうミスは一番やっちゃ駄目なミスですね。
ああああ選手:素直に動いてくれたナナ・テスカトリには本当に感謝ですね。リカバリーさせてくれてありがとう。仲良くなれてよかった。
――最後に、暫定世界一になった感想は?
George選手:世界中でもっと大会が行われてきたら、それはそれで新しい考え方の人たちが出てきて、絶対おもしろくなるだろうなと思ってます。その時、我々が勝ち残れるかわからないですけど、またがんばっていきたいと思っています。
ああああ選手:いままで日本国内だけでやってたのが、今回はじめて世界を巻き込んで開催されました。これからもっともっとタイムアタックが色んな所で流行るといいですね。自分は、他の人が考えた作戦を見るのが好きなんですけど、色んな人が増えてきてくれて、色んな人の考え方が見れたら嬉しいなと思います。
◆辻本P&徳田D総括
――大会を終えて、今の率直な気持ちをお願いします。
辻本氏:おもしろかったですね!それが一番かなと思います。
徳田氏:本当に盛り上がりましたね。おもしろかった。各国のチャンピオンがつき詰めてちゃんと練習してきてくれたのがやっぱり成果として出たし、みんなの歓声もすごかった。
――国内の大会以上に戦術とか武器がバラバラでしたね。
徳田氏:見事にバラけましたね。やっぱり各国の個性みたいなのがちゃんと出たのではないでしょうか。
――徳田さん的に、これが優勝するだろうなと予想していたのはありますか?
徳田氏:個人的にはヘヴィボウガンと片手剣はあるかなと思ってました。ただ、それだけじゃなくて色んなパターンで来てくれましたよね。チャージアックスとかは正直、事故るんじゃないかなあと。自分らがやってもそこまで安定しにくかったので。怯み値は低めにしてるんで、万が一ということもあるかもしれないと思ったんですけども、まさしくそういうプレイを見せてくれので、おもしろかったですね。
――今回、エキシビジョンと聞いてるんですけど、ということは今後オフィシャルをやることも考えているんですか?
辻本氏:もちろん、将来的にはというプランは常に持っています。日本だと僕らも何度もやってきて慣れてきたり確立されてきた部分もあるんですけど、海外って初めてだったので。PvPじゃないゲームの大会って、運営をしっかりしていかないと成立しない部分もあったりしますが、まだ出来ていない国、例えば欧州とかも将来的にはやりたいと思ってます。
――それは『モンスターハンター:ワールド』で、ということですか?それとも次回作以降?
辻本氏:『モンスターハンター:ワールド』では、流石に今回が大会としては一区切りかなと思ってます。
徳田氏:さっき香港のチームが言ってましたね、「『モンスターハンター:ワールド』で次の大会はいつやるんだ?って」(笑)。
――今までの『モンハン』ってあまり海外からの声を聞くことなかったんですけど、こういうのを見ると全世界でも盛り上がってるんだろうなっていうのは感じますね。
辻本:そうですね、ゲームで楽しんでもらうのはどの国でも一緒ですよね。上手い人には歓声があがりますし。そういう感覚は同じかな、って改めて思います。言葉関係なくスゴいものにはスゴいって思ってもらえるのはゲームの特徴だと思います。
――新情報も盛り上がりました。歴戦王ゾラマグダラオス。おそらく誰も予想していなかったと思います。
徳田氏:ゾラはしっかり作ったものだったので、もう一回遊んでいただきたいなという気持ちがずっとありました。ただ、作るのは大変なので、最初チームに話したときは「マジかよ……」っていう反応でしたね。ユーザーの方には毛色を変えて別のアクション感を楽しんでもらうために、ゾラを歴戦王化させてもらいました。なかなかおもしろいものになったと思います。
――上位とは結構変わりますか?
徳田氏:違いますね。今までって、兵器を撃ってれば基本勝てるようなクエストでしたが、これはクリアできなくてもフラグ上支障がないクエストですから。難易度的にも攻めたものが作れるので、油断するとすぐ砦が壊されちゃうくらいにはなってます。ちゃんと拘束弾や撃龍槍を使ったり大きな攻撃をキャンセルしていってしっかり止めてくってことが必要になってくる。
もともとそういう設計にしようとしてたんですけど、あんまりカツカツすぎるとフラグのクエストがクリア出来ない方出てきてしまうので。本来やりたかった設計思想に戻してやったらだいぶ違うな!っていうのが実感ですね。
――またベヒーモスのように役割が重要になりますか?
徳田氏:それぞれが拘束する役割を持てるようにできてるんですけど、「次は俺が拘束するぞ!」みたいなことを言い合いながらやる必要があります。ベヒーモスで培ったコミュニケーション力などを駆使してもらえると、よりスムーズに行くかなと思います。
――楽しみにしています。ありがとうございました。
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