社長のブロマイド付き!「社長チップス」 生みの親が語る、汗と涙のリアルな社長像

皆さんは、プロ野球チップスならぬ、「社長チップス」をご存知でしょうか?

社長のブロマイド付き!「社長チップス」 生みの親が語る、汗と涙のリアルな社長像

皆さんは、プロ野球チップスならぬ、「社長チップス」をご存知でしょうか?

おいしいポテトチップスのおまけとして付いているのは、なんと日本全国の社長カード!表面には本人のブロマイドと座右の銘。裏面には、自己採点に基づき30にも及ぶ項目を数値化した社長の“戦闘能力”などが記載されています。「今のニッポンは、社長たちの汗と涙で出来ている!?」をキャッチコピーに、味はもちろん“CEO(=塩)”味。2016年に発売されるやいなや、多くのメディアに取り上げられ大注目を浴びました。

そんなユニークなお菓子を生み出したのが、オリジナルのお菓子を活用し、企業のトータルブランディングを手がける株式会社ESSPRIDE(エスプライド)。今回は同社の西川世一社長に、社長チップス誕生のきっかけや、西川社長自身の“塩味”エピソードを伺いました。

「イケメンを詰めちゃおう!」から始まったチップス物語


―エスプライドは、どのような会社なのか教えてください。

創業の頃から取り組んできたことは、人気アーティストやアニメ、テーマパーク、野球場などの商品プロデュースや、販促・営業シーンなどで活用できる企業のオリジナル商品を作ることです。そこから発展し、現在はお菓子を通じて企業の魅力を表現し、会社そのもののトータルブランディングも手がけています。単に面白い商品を企画・制作するというよりも、お菓子を通じてご依頼いただいた企業を知ってもらい、クライアント企業の売り上げそのものも上げるお手伝いをしています。

―社長チップスの誕生は衝撃でした。どんな経緯で生まれたのでしょうか。

最初は「イケメンチップス」を作っていました。以前から弊社では、オフィスに箱詰めにしたおやつをお届けするサービスを展開していました。ある時「どんなおやつが届いたら、もっと女性に喜んでもらえるだろうか」と社内で考えていたんですね。そこで「じゃあ、イケメンを詰めちゃおう!」なんてアイデアが出ました。

もちろん実際のイケメンを箱に入れることはできませんので(笑)、詰めたのは企業で働くイケメンカード付きのチップス。オンラインでも発売したところ、「面白い!」「欲しい!」とネットで一気にうわさが広まり、朝の情報番組でも紹介されて大きな話題になってくれました。その第2弾として作ったのが、社長チップスです。

定期的にオフィスへおやつが届くギフトボックスサービス。写真はその一例。



―なぜイケメンの次が社長だったのでしょうか?

社長をなにかのコンテンツにすること自体は、ずっと温めていたアイデアです。

日本には中小企業がたくさんありますが、スポットを浴びることはなかなかありません。しかし、例えば弊社が取り引きさせていただいている中小の製菓メーカーさんは、50代や60代の社長が中心で、後継者がいないという問題を抱えています。企業としては世代交代を意識しないといけないので、この業界で勝負したい若くて優秀な子たちをどんどん集めていきたい。これは製菓メーカーに限らず、全国の中小企業も同じなのではと考えました。

そんな企業の存在を世の中に発信できる方法はないかと考え、社長チップスにたどり着いたのです。

現在、約120社の企業が参加している社長チップスと、「おやつメインで!」とお顔を隠す謙虚な西川社長


社長とは汗水垂らして働き、時に涙する人間味あふれる存在


―そんな熱い思いがあったのですね。社長チップスには、どのようなコンセプトがあるのでしょうか?

「社長」という華やかなイメージの裏側にある、汗水垂らして働き涙した社長の“塩味”エピソードをクローズアップした商品です。かっこいい社長や輝いている社長はたくさんいる。けれど、人に本当に勇気を与えるのは“塩味”のエピソードなのではないでしょうか。僕たちは「成功しているこの社長にも、こんな挫折があったんだ」というストーリーに感動する。

また僕個人の思いとして、今の若い人からすてきな未来の社長も生まれてほしいと思っています。彼らがどんな壁にぶつかったとしても勇気をもらえるように、現役で活躍している社長の挫折や失敗エピソードを伝えたいと思ったんです。

―カード化するにあたって、実際にたくさんの中小企業の社長さんにお会いされたそうですね。いろいろな方がいらっしゃったと思いますが、全体としてどんな印象を受けましたか?

社長には、熱くない人はいないと思いました。この言い方が適切かはわかりませんが、人より苦労されている方が圧倒的に多い印象です。明るく飄々としている方でも、話を聞いてみると「そんなことがあったのですか?」というぐらいのつらい経験をされている。けれど、それを乗り越えるものすごいパワーがある。人脈・魅力を兼ね備えている。そういった方が社長として成功する方なのかな、と感じました。

人によっては、会社のために何かを犠牲にしなければいけない瞬間もあった。時には人に裏切られたり、はたまた人から信頼や愛をもらったり、とにかくいろんな感情を経験しながら、その瞬間を濃く生きている。だからこそ、人としての魅力が増して影響力が大きくなり、成功するビジネスにつながっていっている気がしています。

エスプライドのオフィス。これまで手がけた製品の数々が壁一面に並ぶ。

 

社長になったのは、なるしかなかった。

―西川さんは、どうして社長になろうと思われたのですか?

僕は21歳の時、段ボールや梱包資材などの製造を営む父の会社に入社しました。けれど当時、その業界は売り上げが落ち、どこの会社も経営が難しくなっていました。父も、数十年もの間、歯を食いしばりながら支えてきた取引先に、「予定していた半年分の生産計画を破棄してくれ」と告げられたことがあります。父がこわばった表情で「何とか、取引を継続してもらえませんか?」と電話越しに深々と頭を下げる姿は、今でも忘れられません。

その姿を見て、今の事業だけでは経営がどうなるかわかから、自分が新しいことを生み出さなければいけないと思いました。そこで「父が今まで作ってきた段ボールの素材を使って何ができるか」を軸にアイデアを考え、一事業部としてダンボールとお菓子を掛け合わせた事業を始めてみたのです。

―ダンボールというアイテムに、なぜお菓子を掛け合わすということにたどり着いたのでしょうか?

事業部を立ち上げる前に、某競艇場のノベルティ制作の仕事を請け負ったことがきっかけです。箱の中に選手のフィギュアを入れ、選手と同じ色の金平糖を同梱するというご依頼でした。いつもは箱だけですが、金平糖も用意してほしいと言われて、金平糖屋さんを探し回りなんとか納品しました。そうしたら、10万個の生産で800万円の仕事につながった。

ここから、企業の目的に合わせたオリジナルのパッケージのお菓子を作ったら面白いかも!とひらめいたんです。企業の新商品のキャンペーンや、開催したイベントで配るノベルティとして、面白くて話題になるようなパッケージのお菓子を作ることができれば、未来が切り開けるのではないか。早速、協力してもらえるお菓子メーカーを探すため、地道に電話をする日々が続きました。

そして26歳で独立し、自分の会社を立ち上げました。頑張って父親を喜ばせたい、それこそが大前提。だから、がむしゃらに前に進むしかありませんでしたね。

―試行錯誤の期間があったのですね。

お菓子を活用して企業のブランディングをする事業を始めた時は、「急な思いつきで始めるなんて無謀だ」と言われたこともあります。失敗して、お客様の本社ビルにひとりで呼び出され、社員食堂に大勢の社員の方がいる中で「どういうことだ!」と罵声を浴びたことも。その時はひたすら謝ることしかできず、人生初の土下座をしました。

ほかの経営者にも「西川の思いつきは変わっている」……いろいろなことを言われました。でも、おやつがあると、子どもから大人まで世界中の人がハッピーな気持ちになるんですよ。それってすごいことだと思いませんか? お菓子を商材にして、今までにない価値を作る。その面白さを、日々実感しています。

―最後に、新しいことにチャレンジしたいと考えている読者に向けてメッセージをお願いします。

若い子たちに伝えたいことは、周辺の人たちに「そんなのやめとけよ」「面白くないよ」と言われても、信念を持ってやり続けることの大事さです。信念を持ってやり続ければ、いつしか新しいビジネスの「当たり前」になっていくかもしれない。僕自身はこれからも、おやつを通じて中小の製菓メーカーさんに関わりながら、さらに新しい道をつくっていくことをミッションに頑張っていきたいです!


「社長」と聞くと、今まで「自分とは遠い存在」というイメージがあったかもしれません。しかし、今回の西川社長のお話からは、たくさんの苦労を背負いながらもアイデアと地道な努力によって生き抜いてきた、一人のビジネスパーソンの姿が見えてきたのではないでしょうか。

皆さんには、かなえたい夢や信念はありますか? それをかなえるため、新たな道を選べば、今までに経験したことのない困難が待ち構えているかもしれません。けれども覚悟を決めてまずは一歩前に踏み出してみることで、きっと新しい景色が広がるはず。そして、そこへたどり着くまでに流した涙と汗は、必ずあなた自身の人生の糧になり、また「塩味エピソード」として他の誰かを勇気づけていくはずです!

(取材:上浦未来/編集:東京通信社)

識者プロフィール


西川世一(にしかわ・せいいち)
株式会社ESSPRIDE代表取締役CEO。1978年愛知県生まれ。甲子園を目指し、中京大附属中京高校に入学。中京大学体育学部に進学するも、3カ月で中退。その後、上京し、デザイン学校を経て、2000年に父親が経営する紙器製造会社に入社。一事業部として、お菓子に関する事業を開始。2005年に26歳で独立し、株式会社ESSPRIDE(エスプライド)を設立。2012年一般社団法人日本おやつ協会を設立。全国の中小製菓メーカー支援事業なども行い、企業・団体を総合プロデュースする。自社で開発した「社長チップス」や「OYATOOL(おやツール)」などが話題。
社長チップス
ESSPRIDE

※この記事は2018/03/30にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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