ビジネスメールのマナーを改めて学ぼう! ToとCcの使い分け、添付ファイルのマナー、機種依存文字の使用可否

社会人として必ず身に付けるべき、ビジネスメールのマナー。曖昧なままにしていると、相手に誤解や不快感を与えるメールを送ってしまう可能性があります。そこで今回は、一般社団法人日本ビジネスメール協会・代表理事の平野友朗先生に、ビジネスメールの仕組みとマナーの基本を教えていただきました。この記事で、ビジネスメールに関するマナーをおさらいしましょう。

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To、Cc、Bccの使い分け

 

「To」は主体的に動いてほしい人に使う

前提として「To」「Cc」「Bcc」はどれもメールの宛先を指す用語です。「To」はその中でも主体的に動いてほしい人に用います。

「『To』には『あなたに返信・対処してほしい』という意味が含まれています。主体的に返信・対処してほしい人を『To』に入れましょう。受け取る場合も、自分が『To』に入っていたら主体的に動かなければなりません」
(平野友朗先生・以下同)

「Cc」の仕組みと使い方

一般的に「Cc」は「To」以外の関係者にメールの内容を周知させたいときに用います。ただ、用いる頻度には注意が必要です。

「『Cc』に上司を入れるのは、本当に共有が必要なときだけにしましょう。共有するという目的を明確にするためです。常に上司を『Cc』に入れてしまうと、共有が不要なメールを送ることにもなりかねないので目的が曖昧になってしまいます」

また「Cc」に入れられた側にも「原則として返信しない」というマナーがあります。

「『Cc』に入れられた人が返信すると、『To』の人は『自分が返信する必要はない』と思ってしまい、誰が返信するべきなのかが曖昧になる可能性があります。もし『To』の人が休みで、すぐに返信するべき内容の場合は、代わりに返信する理由を伝えたうえで『Cc』の人が返信してください」

「Bcc」の仕組みと使い方

「Bcc」も、同じ内容のメールを一斉送信したいときに用います。「Cc」と少し似ていますが、「Bcc」には、他の受信者にアドレスが見えないようにする便利な機能があります。
しかし平野先生いわく、使うシーンは限定するべきとのこと。

「ビジネスメールにおけるミスで多いのが、『Cc』と『Bcc』の誤用です。本来『Bcc』を用いて一斉に送るメールなのに『Cc』を使ってしまい、メールアドレスが漏洩してしまったという事例はよくあります。場合によっては、『Bcc』ではなく『To』を用いて個人的に送った方が良いでしょう」

添付ファイルをメールで送るときのマナー

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ファイルの許容量は、事前に確認しよう

時代とともにクラウド化が進み、受け取れるメールの容量が増えたため「添付ファイルの容量を気にする必要はないのでは?」と思う人も多いかもしれません。
しかし、すべての企業が大容量のメールに対応できるとは限りません。特に、初めて添付ファイルを送る取引先には、事前に確認を取るのがマナーです。

「昔のようにデータが飛んでしまったり、メールがブロックされたりすることはほぼありませんが、例えば4MBで制限をかけている企業もあります。また年齢が上の人ほど『メガバイト=重い』という感覚があり、確認せずにファイルを送ると「受信先のことを考えていない」と思われてしまうかもしれません。マナーとしても事前確認はするべきでしょう」

ファイル転送サービスを用いる際も確認を!

ファイルをクラウドや転送サービスで共有する際も、相手の確認を取るようにしましょう。企業によっては、使用を制限しているサービスがあるためです。
また共有サービスの候補は、いくつか準備しておいた方が良いでしょう。マナーではありませんが、いくつか候補を提示して「どの方法で受け取れますか?」と聞く方が自然でかつ、相手も不快にならないはずです。

添付ファイルとパスワードを別に送る方法は、いまも有効

近年、添付ファイルとパスワードを別に送る方法に対し「セキュリティ上意味がない」「クラウドで共有する方が有用」という声があがりつつあります。
ただ平野先生いわく、この方法で防げるミスもあるそうです。

「ヒューマンエラーを防げます。実際、先に送ったメールの宛先が間違っていることに気付き、パスワード付きのメールを送らずに済んだという事例もあるので。ですから、賠償や損害にかかわる個人情報が載ったメールを送るときは、添付ファイルとパスワードを別にして送った方が良いでしょう」

ファイル名は、相手にわかりやすく書くのがマナー

一昔前は、添付ファイルの名前は英語またはローマ字表記にするのがマナーでした。しかし、いまは日本語表記でも良いという認識に変わりつつあります。
その上で、平野先生がマナーとして掲げるのは「ファイル名の書き方」です。

「ファイル名を簡潔にしすぎてはいけません。受け手に概要が伝わらず不親切であるためです。また簡潔にしすぎて自分でも見分けがつかなくなり、混乱するリスクも高くなります。自分と受け手のためにも、『日付』『企業名』『バージョン』は明記しましょう」

機種依存文字は受け手によって印象が異なる

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ビジネスメールにおいて機種依存文字の使用は、文字化けする恐れもあり、使わない方が良いとされてきました。現在では、文字化けの問題はほぼ解消されているものの、引き続き使わない方が良いようです。

「相手によっては、機種依存文字や顔文字に不快感を抱く可能性があります。たとえ送り手が親しみの意味を込めて機種依存文字や顔文字をつけても、相手も同じ感覚を持っていないと『馴れ馴れしい』『ビジネスパーソンとして失礼』と思われかねません。もちろん、現代は顔文字や絵文字、スタンプを使って会話を楽しむ時代ですから、相手も譲歩するべきなのかもしれないとは感じます。ただビジネスメールにおいては、まだ使わない方が良いでしょう」

【プロフィール】

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平野 友朗(ひらの ともあき)
一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役。メディア掲載1500回以上、著書30冊のビジネスメール教育の第一人者。メールのスキルアップからメールの効率化による業務改善までを数多く指導。官公庁や企業などへのコンサルティングや講演・研修回数は年間150回を超える。近著に『テレワーク時代のメール術』(WAVE出版)がある。
一般社団法人日本ビジネスメール協会
アイ・コミュニケーション

文=トヤカン
編集=TAPE

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