英語を身に付けたいと思うものの、なかなか仕事と勉強との両立が難しいビジネスパーソンが多いはず。ましてや留学なんて夢のまた夢……。
でも大丈夫! 留学をしないでも英語力が身に付く勉強法があるんです! 今回は『英語は日本語で学べ!』の著者・多田佳明さんに、留学ナシでも英語が身に付く8つの勉強法を伺いました。
多田さんの現在の英語スキルは?
ちなみに多田さんは、どれくらいの英語力があるのかを伺いました。
「現在は英検1級、TOEIC975点です。大学受験勉強のとき、TOEIC960点を取得しました。慶應義塾大学、東京外国語大学で言語学を専攻。ロンドン駐在後、出版社で編集者を経て『英語は日本語で学べ!』を出版しました」(多田さん:以下同じ)
なんと、受験勉強でTOEIC960点というスコアを叩き出したとのこと! いったい、どんな勉強法を実践していたのでしょうか?
英語の勉強は「インプット」と「アウトプット」の組み合わせが大事
多田さんによれば、大前提として、英語の勉強は「インプット」と「アウトプット」の組み合わせが大事だといいます。
「英語を使いこなすには、たくさん聞いたり読んだりする『インプット』はもちろん、実際に話したり書いたりする『アウトプット』の両方が必要です。料理に例えると、『インプット』はレシピを覚えることで、『アウトプット』は実際に料理をすることに相当します。
日本で英語を勉強してきた方は、すでに一定の『インプット』はあるはずなので、『インプット』を継続して行いながら『アウトプット』の機会を確保すれば、英語は必ず話せるようになります」
忙しい社会人向け! 留学なしでも英語が身に付く8つの勉強法
では、実際に多田さんが実践した、留学なしでも国内トップレベルの英語力が身に付く勉強法をご紹介します。
1.日本のニュースを知る→英語で聞く
「言葉を理解するときには、『言葉そのものの知識』と『背景知識』の二つが必要です。人の処理能力には限界がありますから、もしも『背景知識』がほとんどない分野の事柄を、英語で読んだり聞いたりすると、語られる内容に注意を奪われてしまうため、語学力向上につながりにくくなります。
ニュースを例にとれば、『背景知識』のある日本のニュースを英語で聞くほうが、直接アメリカやイギリスのニュースを聞くよりも楽に理解できるはず。例えば2カ国語放送のNHKニュースを副音声の英語で聞き、しっかり内容を理解すると、圧倒的に英語力UPにつながりやすいです。
まずは事前知識として、ネットや新聞などで時事情報を仕入れておき、その後、英語でNHKニュースを聞きましょう。背景知識があるおかげで、英語そのものに集中できます。また、ビジネスに有益な最新情報を仕入れることもできるので、一石二鳥のおすすめ学習法です」
2.カタカナ語を使える英単語にする
「日本語には約10,000語のカタカナ語があるといわれています。とくに、インターネットが発達した今日、全世界で瞬時に情報がシェアされるようになると、いちいち日本語に訳さずに英語の音をカタカナに置き換えれば、英語でも伝わります。
例えば、“クリック”“タップ”“チャージ”などのPCやスマホに関わるカタカナ語も、“コンプライアンス”“アテンド”“ブッキング”などのビジネスの現場でさりげなく使う語も、きちんと辞書で意味や発音を調べさえすれば、すぐにでも使える英単語に変身します」
3.輸入菓子のラベルや取扱説明書を読んでみる
「輸入菓子やドリンクのラベル、家電製品の取扱説明書の英語ページなども英語に触れるチャンスです。ラベルなら原材料や保存期間など、書かれていることは想像しやすいでしょう。
また、家電製品の取説には図も入っていますし、日本語ページと対照させて読めば、意味が分かるはずです。オフィスで使うPCの説明書などを読めば、“接続する(connect)”“電源を落とす(switch off)”など、すぐにでも使えそうな英単語が身に付きます」
4.オリジナル単語集を作る
「先にも触れましたが、『背景知識』があると言葉を覚えやすくなります。市販された単語集の例文を覚えようとしてもなかなか覚えられないのは、あなた自身の経験に基づかないからです。
“雨に降られてびしょ濡れだ”という表現も、実際に経験した直後に調べて手帳にでも書きつけておけば、実際にスーツが濡れたり髪型が崩れたりした経験と相まって、記憶しやすくなります。他にも“あれ英語でなんて言うんだろう”と目にしたものを、辞書で調べて書き留めておくとよいでしょう」
5.「聞く・読む・話す・書く」複数のタスクを同時に
「英字新聞を目で追いながら音読する、教材付属のCDを聞きながら、後について声を出して読むといった、『聞く・読む・話す・書く』の英語の4つのスキルのうち、複数のタスクを組み合わせることがおすすめです。単に時間の節約になるだけでなく、言語学の視点からも非常に効果が高い学習方法です」
6.とにかく、まねる
「英語の教材、その付属CDなど、英語学習で触れるものをまねることは大切です。まねようとすることで、自然と『主語+動詞…』という語順に慣れ、話すリズムや抑揚も身に付きます」
7.オンライン英会話を利用する
「日本人にとって英語が苦手な最大の理由は、使う場がないから。しかし英語をたくさん話す機会を求めて駅前の英会話学校に行くのでは、コスト的にも時間的にも非現実的です。週に1回程度のレッスンで上達するほど、英語は甘いものではありません。
その点オンライン英会話は、料金やレッスンのフレキシビリティで優れています。相場は1レッスン200円程度と、学校によっては1コマ8,000円もかかる英会話学校と比べたら圧倒的に安く、しかもネットがつながる環境にあればどこでも受講可能です。『英語を使う現場』を大量に得ることができるので、日本にいながら英語を話せるようになるには、今のところ代替できる学習方法はないと考えています。
また、オンライン英会話は基本的にSkypeを使うサービスです。Skypeのチャットボックスを活用することもおすすめです。例えば、プレゼン前や英語の職務経歴書をチェックしてほしいときなど、『書く』スキルのUPに活用できます」
8.「隙間時間」を有効活用する
「満員電車で英語の音源をイヤホンで聞きながらつぶやく、一人のランチの時間に自分の趣味に関するサイトを覗いてみる、などもできるでしょう。
全部を完璧に理解するのではなく、“あ、この単語、この間勉強した!”という小さな喜びを積み重ねるのがポイントです」
仕事と英語の勉強を両立させるコツとは?
最後に、毎日忙しいビジネスパーソンが、仕事と英語の勉強を両立させるためのコツを2つ挙げていただきました。
●実現可能な目標を定める
「“TOEICで700点を目指そう”、“夏休み、英語を使ってNY旅行を楽しみ尽くそう”、“好きな英語の歌をカラオケで歌いたい”。どんな目標でも構いません。壮大な目標(例:500人の聴衆の前で英語のプレゼンを成功させる!)を持つことも大切ですが、“よし、できた!”という経験をたくさんすることこそ、モチベーションを維持する秘訣です」
●とにかく続けること。甘言に惑わされない
「日本語が話される環境で仕事をして生活をしている以上、英語に触れる時間は相当限られています。だからといって『30日でTOEICが200点UP』などの甘言にはだまされないこと。
英語は、半年、一年と続けなければ上達しないものです。英語が上手な人は皆、必ずたくさんインプットをして、たくさんアウトプットの経験をしています。焦らずに続けることが重要です」
まとめ
インプットとアウトプットの両方を繰り返し行い、とにかく続けること。これが秘訣のようです。多田さんのアドバイスの中には、細かいTIPSが豊富に含まれています。ぜひポイントを押さえて実践を重ね、最終的な「よし、できた!」をつかみ取りましょう!
識者プロフィール
多田佳明(ただ・よしあき)
1976年生まれ。慶應義塾大学、東京外国語大学(英語専攻)出身。在英国日本国大使館(イギリス、ロンドン)に駐在後、出版社勤務を経て編集者に。2014年2月に『英語は日本語で学べ!』(ダイヤモンド社)を執筆。
※この記事は2015/07/17にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
あなたの本当の年収がわかる!?
わずか3分であなたの適正年収を診断します