「あっ!伝線!」ストッキングのお悩み「伝線」を防ぐには?

働く女性の必需品、ストッキング。スーツを着たり、スカートをはいたりする方にとっては、手放せない存在ですよね。

「あっ!伝線!」ストッキングのお悩み「伝線」を防ぐには?

働く女性の必需品、ストッキング。スーツを着たり、スカートをはいたりする方にとっては、手放せない存在ですよね。

そんなストッキングですが、知らないうちに引っ掛けてしまい、ふと見たら伝線していた……なんて経験はありませんか? 伝線してしまうと人目も気になる上、すぐには履き替えることもできないため困ってしまうもの。どうすればストッキングの伝線を防ぎ、長持ちさせられるのでしょうか?

そこで今回は、ボディファションコンサルタント・ランジェリーガイドとして活動している土井千鶴さんに、伝線しにくいストッキングの選び方とお手入れ方法と外出先で伝線してしまった場合の対処法を伺いました。

ピンポイントでかかる力に注意!ストッキングが伝線しやすい理由


土井さんによれば、ストッキングが伝線しやすい理由は、生地の作り方にあるそうです。

「ストッキングはセーターと同じように1本の糸で編み込んで作るニット素材です。伸縮性が高い反面、1本の糸で繋がっているため、どこか一箇所が切れてしまうとそのまま連なって、ほつれてしまいます」(土井千鶴さん、以下同)

また、何度か使っているうちに糸が切れやすくなるのは、使われている素材の特徴によるといいます。

「ストッキングの糸は、主にナイロンと、ゴム素材のポリウレタンでできています。ポリウレタンの伸縮性により、脚にピッタリとフィットするのですが、逆に一度ゴムが伸び切ってしまうと繊維が弱くなってしまいます」

伝線がはじまりやすい場所は、つま先やかかと。歩くときにピンポイントで力がかかり、破けやすいのだそう。また、「新品なのに、履くときにストッキングをつかんだ指で穴を空けてしまった……」ということが起こるのも、指先にピンポイントで強い力がかかっているからだそうです。

ストッキングはサイズの合うものを!選び方も伝線を防ぐポイント


ここからは土井さんに、伝線しにくいストッキングの選び方を教えていただきます。

■1:目安はヒップと身長。サイズの合った物を選ぶ
まずは、自分のサイズにあったストッキングの選び方を押さえましょう。


「伸縮性のあるストッキングは(M/L/LL)または(S~M/M~L/L~LL)というサイズ表示が一般的です。表示の下には、各サイズに対応するヒップサイズと身長の目安が記載してあります」

自身のヒップサイズと身長にあったものを選びますが、それぞれサイズが異なる場合は、大きい方に合わせることがポイントなのだそう。

「例えば、ヒップサイズがMで身長がLだった場合は、Lサイズを選んでください。逆にヒップサイズがLで身長がMという場合も、やはりLサイズになります。

小さいサイズに合わせると、生地が伸びて弱くなりますし、ピンポイントで力がかかり破れやすいんです。さらに股下が下がってくるなど履き心地も悪くなってしまいます」

■2:1足500円は高くない!「伝線しにくい」商品を選ぶ
近年のストッキングには特殊な加工で伝線しにくいものも多く出ているので、それを活用するのもオススメです。

「穴が開いてしまっても、穴がそれ以上広がらず伝線しにくい生地のストッキングも出ています。伝線はストッキングに対する1番の悩みなので、伝線しにくいタイプの商品には各メーカーが『伝線しにくい』『丈夫』などの表示を明確に記載しています」


土井さんいわく、伝線しにくいストッキングは1足500円前後からのものが多いそう。正しい履き方とお手入れをすれば10回程度は使えるとのことです。安価なものを1・2回で変えるより、コスパが良さそうですね。

焦りは禁物!ストッキングの正しい履き方


選び方に続いて、伝線を防ぎ、着用中も快適に過ごせるストッキングの正しい履き方も伺いました。

■1:脚の太さに合わせて、少しずつセットしていく
忙しい朝に急いで履こうとすると、一気に脚全体に引き上げてしまいたくなりますが、焦らず少しずつ引き上げることがポイント。

「足首から膝、太もも。脚は下から徐々に太くなっていきます。その太さに合わせてストッキングの圧力をセットしていくために、少しずつ引き上げます」

<ストッキングの正しい履き方 4ステップ>

1. 両手でウエスト部分からつま先部分までストッキングをたぐり寄せる

2. 片脚ずつ、膝まで引き上げる

3. 両脚とも膝まで引き上げたら、太ももは徐々に左右交互に引き上げる

4. ウェストまで引き上げたら、両手で全体をならす

■2:アクセサリーは外す。ジェルネイルは薄い手袋でカバー
指輪などのアクセサリーや時計はあらかじめ外し、爪を短めに切っておくことで、履くときに引っかけて伝線するリスクが下がります。

「凹凸のあるジェルネイルをしている場合は、薄い手袋をつけると、滑りが良くなって引っかかりにくくなります。履きやすさを保ちながら引っかかりを防げるので、できるだけ薄い手袋がオススメです。また、凹凸のある指のみ指サックでカバーするだけでも、引っかかりのリスクを下げられますよ」

■3:トゥクッションの併用は、伝線のリスクと歩き疲れを軽減する裏技!


外回りで長時間歩くときなどは、ストッキングの上からトゥクッションやフットカバーを履くと力のかかりやすいつま先・かかとをカバーでき、伝線の予防になるのだとか。また、フットカバーを履けば足裏のクッション性が高まり、歩き疲れの軽減も期待できます。

乾燥機はNG!ストッキングを長持ちさせる洗濯と保管の仕方


洗濯の仕方や保管の仕方によっては、生地が弱くなり、伝線しやすくなることも。そこで、ストッキングを長く使うための洗濯の仕方と保管の方法を伺いました。

■1:手洗いの方法
丁寧にお手入れすれば、その分長持ちします。目の細かい洗濯ネットに入れて洗濯機で洗ってもいいそうですが、よりストッキングを長持ちさせる手洗いの手順をご紹介します。


使うものは洗面器(または洗面台)、おしゃれ着用の洗濯洗剤、タオル。ほか、洗ったストックングを干すためのハンガーと洗濯ばさみも用意

1. 洗面器にぬるま湯をはり、洗剤を入れて泡立てる


洗面器や洗面台に30度程度のぬるま湯を、ストッキングが浸かるくらいまではります。そこにおしゃれ着用の洗剤を数滴垂らし、あらかじめしっかり泡立てておきます。

2. 押し洗いする


洗剤を泡立てたお湯の中にストッキングを入れ、全体を軽く押し洗いします。全体は10回押す程度でいいそう。つま先などの汚れやすい部分は、さらに洗剤の泡をつけて押し洗いし、汚れを落とします。

3. 洗剤が落ちるまで、すすぐ


押し洗いが終わったら、ぬるま湯を数回替えてすすぎます。泡が出なくなるまですすぎ、洗剤をしっかり落とします。

4. 水分を取る


すすぎ終わったストッキングは、乾いたタオルに包んでしっかり水分をとります。

5. ウエスト部分を上にして、陰干し

脱水したら、風通しのいい日陰で陰干しします。このとき、ストッキングのウエスト部分を洗濯バサミで止めて干しましょう。

ウエスト部分はストッキングの中でもっとも厚いため、下にすると水分が溜まり乾きにくくなります。水分が溜まると、ゴム素材であるポリウレタンの劣化も早まります。ウエスト部を上にして、より早く乾くようにしましょう。

■2:「漂白剤」「絞る」「乾燥機」はNG!洗濯の注意点
洗濯するときは「漂白剤を使わない」「絞らない」「乾燥機を使わない」の3つが注意点だといいます。


・漂白剤を使わない

ストッキングの洗濯では、漂白剤はNG。漂白剤を使うと、ストッキングの色が落ちてしまい色にムラができてマダラになってしまう可能性があります。

・絞らない

絞るとより早く水気を取ることができそうですが、実はこれもNG。ストッキングを絞ると編み目が歪み、生地を傷めてしまいます。また、編み目の歪みが色ムラの原因に繋がってしまうことも。素早く脱水したい場合は、洗濯ネットに入れて30秒~1分程度、脱水機にかけてください。

・乾燥機を使わない

ストッキングに使われているポリウレタンは熱に弱く、熱がかかると伸縮性が落ちてしまいます。乾燥機は使わず、必ず自然乾燥にしましょう。

■3:保管の方法
ストッキングが乾いたら、小さくたたんで保管します。このとき、ギュッと結ぶしまい方はNGだそう。絞った場合と同じように、編み目が変化して生地が傷んでしまうからです。


左右の足が広がらないようにと、ストッキングをまとめて固く結ぶしまいかたはNG!

ストッキングのたたみ方には、折りたたむ方法とクルクルとロールする方法の2つがあります。


パンティ部分の左右を重ねて1本にし、つま先部分から数回折りたたみます



パンティ部分の左右を重ねて1本にし、つま先部分からパンティ部分に向かって巻く

最後にパンティ部分をひっくり返して全体を包み込むと、繊細なストッキング部分を生地の厚いパンティ部分でカバーでき、より安心なのだそうです。


最後にパンティ部分をひっくり返して全体を包む

「あっ!引っかけちゃった!」もし、外出先で伝線してしまったら?


どんなに気をつけてお手入れしていても、外出先で引っかけて穴を開けてしまうこともあるかもしれません。そんなとき、どのように対処したらいいのでしょうか?

■1:透明なマニキュアやトップコートで固める
「小さな穴であれば、すぐに繊維を固めることで一時的に穴の広がりや伝線を防げます。便利なのが、透明なマニキュアやトップコート。小さくて持ち運びもしやすいので、1つ鞄に入れておくのがオススメです」

■2:替えのストッキングを持ち歩く


「一番安心なのは、替えのストッキングを持ち歩いておくこと。でも、替えのストッキングが鞄の中で引っかかって伝線してしまったら、もったいないですよね。持ち運ぶときはたたんだ状態で小さな袋に入れ、鞄の中で引っかからないようにしましょう」

少しのお手入れで、ストッキングを長持ち&快適に使おう!


これまで、ストッキングは伝線するものと諦めて、とりあえず安価なものを選んでいたという方も少なくないのではないでしょうか。しかし、機能性の高いストッキングが続々と登場している今、快適さを諦めて使い捨てるのはもったいない、と土井さん。

「見た目の透明感を重視したいのか、色重視で選びたいのか、立ち仕事などで足に軽く圧力をかけたいのか、夏用に清涼感のあるものがいいのか…様々なニーズに応えてくれる機能のものがたくさんあります。丁寧にお手入れすれば、お気に入りのストッキングを長く使うことができますよ」

毎日のように履くストッキング。いつもより少し丁寧にお手入れをして、伝線を予防しながら快適なおしゃれを楽しんでみませんか?

(取材・文・編集・撮影:東京通信社)

識者プロフィール


土井千鶴(どい・ちづ)
DTL(DOI Tokyo Limited) 代表取締役
大手アパレルでパタンナー・デザイナーを経験、マーチャンダイザーとして多数の商品を開発。その後、下着の商品開発企画に参加。「通販生活」など数々の通販に快適下着を開発する。1999年にDTLを設立。ボディファッションコンサルタントとして、テレビショッピングや通販でフィットネス下着や快適下着を始め、健康によく体を整える下着を開発。また、「All About」のランジェリーガイドとして、ファッショナブルなランジェリーのみでなく、女性の美しい着こなしのための下着選びなど、女性の生活シーンに役立つ幅広いランジェリー情報を発信している。
https://allabout.co.jp/

※この記事は2018/06/27にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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