一流秘書が実践! 仕事に生かせるプロの気配り術5つ

仕事というのは人付き合いと切っても切り離せないもの。そんな人付き合いを上手に行うには、相手に配慮した“気配り”が重要です。

一流秘書が実践! 仕事に生かせるプロの気配り術5つ

仕事というのは人付き合いと切っても切り離せないもの。そんな人付き合いを上手に行うには、相手に配慮した“気配り”が重要です。

そこで今回は、日産自動車で社長、会長などの秘書を歴任してきた佐藤直子さんの著書『一流秘書の「気配り」メモ』(KADOKAWA)から、ビジネスパーソンも実践すべき気配り術を5つピックアップしてご紹介します。

「自分が相手だったらと考えて行動すること」が基本中の基本


気配り術の5つのポイントを見て行く前に、まずは基本から。秘書として30年のキャリアを持つ佐藤さんは、実際にエグゼクティブ(上級役員)と接する中で、最も大切だと感じたのが、「自分が相手だったらと考えて行動すること」なのだとか。

佐藤さんは同書の中で次のように記しています。

「相手を分かろうとする努力の先には理解があって、相手を尊重する意識も芽生えてきます。大切なのは、受け身ではなく、『もっと知りたい』と思っていることをこちらも遠慮せずに伝える。その結果、相手が『そうだったのか』と思えばこちらのものです」(16ページ)

このように、相手を尊重するという基本を頭に入れたうえで、佐藤さんが紹介する気配り術のいくつかを見ていきましょう。

1.「イエス」の裏にある本意を察する


(〈第1章「相手の立場で考える人」になる〉より)

提案したことについて、上司や取引先から「イエス」と回答をもらっても、イエスが文字通りのイエスであったり、ときに条件付きのイエスであったり、ノーが含まれていたりすることもあると言う佐藤さん。そのため、「察する」ということが大事になるのだとか。

「『どんどん……していいよ』と言っても、本意を『察すること』が必要です。察するなんて難しいな、と思ったら、相手の立場になって考えてみてください。相手の気持ちになるのではなく、私が相手だったらとシンプルに考えてみてください」

2.連絡にアナログなプロセスを挟む


(〈第3章「見ていて気持ちよい人」になる〉より)

仕事上、ほとんどのことがメールで済ませられる時代だからこそ、アナログなコミュニケーションが人付き合いに好影響を与えると佐藤さんは言います。

「たとえば、社内の誰かに伝えることがあるのなら、メールを送って済ませるのではなく、せっかく会える距離なのですから、内線で『今、ちょっと行っていい?』と相手の都合をたしかめてから出向いて話す。また、社外や遠くにいて簡単に会えない人なら、まず電話で話して、それから内容をフォローするメールを送る。

すべてをメールにしないで、どこかにアナログなプロセスを挟むことが、コミュニケーションで誤解を生まない秘訣です」

このアナログな一手間をかけることで、メールだけでやりとりをする人よりも信頼される人になるのだそうです。

3.困りごとやニーズにしっかり耳を傾ける


(〈第5章 エグゼクティブは気配りの達人〉より)

売上げの成績でトップになるセールスパーソンは、なぜ一番になれるのでしょうか。商品の良さを伝えるためには、話すことがうまいことが大事。しかしこの話すセンスは、聞くセンスを磨くことでこそ身に付くというのが、佐藤さんの考えです。

「良い話し手は良い聞き手でもある、とはよくいったものですね。相手がどんなことに困っているのか、相手のニーズは何か、しっかり聞いてからでなければ、何を話しても心に響きません。

(中略)

相手が自分の話をよく聞いてくれると、こちらはもっと話せますし、やがて自然に本音が出てきて距離が縮まります。そこから、信頼感が生まれ、売り上げにつながるのです」

4.忙しくても、なるべく多くの人と会う


(〈第5章 エグゼクティブは気配りの達人〉より)

佐藤さんは、秘書をしていて驚いたことがあると言います。それは、エグゼクティブたちがとても縁を大切にしているということ。

「どんなにスケジュールが厳しくても、なるべく多くの人の面談の希望をかなえて会おうとします。誰にも等しく時間をつくろうとする、これがエグゼクティブです。なぜかというと、縁や出会いに、思わぬ可能性があるからです」

忙しいことを理由に断ることは簡単です。しかし、人との縁というものは、断った時点で消えてなくなります。もしかしたら他では得難い縁であったかもしれないのに……。その点、エグゼクティブは人との縁が大切であることを身をもって知っているそうです。

5.電話で話している相手も目の前にいるつもりで会話をする


(〈第1章「相手の立場で考える人」になる〉より)

「顔が見えない相手にも、実際に会っているつもりでコミュニケーションをとるということ」が大切なのだと記す佐藤さん。

それは以下のような経験から学んだことだと言います。

「たとえば、エグゼクティブから一枚の名刺を渡されて『コンタクトしてくれる?』というオーダーが下りてくることがあります。つまり『アポ取りをせよ』ということです。

 (中略)

秘書の失礼は、そのままエグゼクティブやわが社の印象になります。アポ取りのオーダーには、『先方の秘書とよい関係をつくる』という暗黙のミッションも含まれていて、いつも顔から火が出るような緊張感で臨んでいました」

その中で、佐藤さんは目の前に相手がいなくても、実際にニッコリと微笑みかけて話すことを心掛けたそうです。

「『実際にお目にかかって話しているのだ』と思い込むようにしてみました。電話なのに、見えない相手にニッコリして親しみを込めて話すのです。すると、相手の顔が見えないということがそれほど気にならなくなり、やりとりもスムーズに感じるようになりました」

まとめ


いかがでしたでしょうか? 一流秘書が身に付けている気配りのコツは、皆さんにとっても参考になるはず。ぜひ今回ご紹介した気配り術を実践してみてくださいね!


※この記事は2015/10/02にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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