真面目な人ほど出世できない!? 仕事の「先延ばし癖」をやめる3つの習慣

やらなくてはいけない仕事をついつい後回しにしてしまい、期限に遅れて提出して謝罪をする…。あなたもそんな「先延ばし」をしてしまった経験はありませんか?

真面目な人ほど出世できない!? 仕事の「先延ばし癖」をやめる3つの習慣

やらなくてはいけない仕事をついつい後回しにしてしまい、期限に遅れて提出して謝罪をする…。あなたもそんな「先延ばし」をしてしまった経験はありませんか?

そんな自分に嫌気がさしてしまい、自分は「要領が悪い」「仕事ができない」なんて落ち込んでしまうこともあるかもしれません。そこで今回は『先延ばしをやめる本』(だいわ文庫)の著者で精神科医の和田秀樹さんに「先延ばし」癖を改善する方法を伺いました。

真面目な人ほど仕事を先延ばしする?


和田さんから、開口一番に意外な一言が出ました。

「精神科医の立場から言わせていただくと、仕事の遅い人や先延ばし癖のある人は、むしろ真面目さによることが多いのです」(和田さん、以下同じ)

和田さんによれば、“怠け者”や、“ズボラな性格”の人よりも、“真面目な人”や“完全主義者”が、仕事を先延ばしにする傾向があるのだとか。これは一体どういうことなのでしょうか…?

「手抜きでもいいから、とりあえず仕事を片付けちゃおう…という不真面目な人は、結果的に仕事を先延ばししていないですよね。後で上司が尻拭いをするにしても、一応仕事は終わらせているわけですから。

しかし、逆に完璧を目指して大幅に遅れて提出しても、それが完璧だとは限りません。結果的にそちらの方が、上司や取引先に対して迷惑をかけると思いませんか?」

クオリティーは二の次でいい


また和田さんは、「仕事を先延ばしする人」の例として、東京大学医学部を卒業した先輩の話を挙げてくださいました。

「その方はとても勤勉で秀才な方でまわりからも非常に尊敬されていました。ところが、医者はいろいろな論文を書かないと出世できません。まわりの過度な期待をプレッシャーに感じたのか、オリジナルの論文を発表できず、結果的には現在60歳近くになっていますが、医学博士にもなれず大した出世もできなかったそうです」

そこで和田さんは、論文をたくさん書いて出世されている国内外のお医者さんに話を聞いたところ、その先生方は口を揃えて「とにかく書くんだ。書いているうちにうまくなる」と言っていたそう。

「私も原稿を書くとき、クオリティーを二の次にして量をこなしていくことで、クオリティーが逆に上がっていきました」

「先延ばし癖」を改善する3つの方法


そこで和田さんに20代のビジネスパーソンが、“先延ばし癖”を改善する方法を伺いました。

1.自分の能力の限界を認める


「特に20代の間は、できないことは素直に認めてしまった方がよいでしょう。まず手を出してみて、たとえ終わらないとしても『ここまでしかできませんでした』と途中段階でもいいから提出しましょう。

まずはやってみることが経験になりますし、足りない部分も教えてもらえるはず。そこから多くのことを吸収し、学んでいくんです」

2.「優先順位」と「合格点」を決める


「まず、優先順位をつけましょう。全てが完全である必要はなく、大事なことだけ完全であればよいのです。20代のビジネスパーソンは、“締め切り”を優先しましょう。そして次に、相手が『この程度でOK』という合格点を読めるようになりましょう。大学入試で、満点を目指すより、合格点を確実に取れる人の方が合格しやすいのと同じです」

3.とにかくやってみる


「これが一番大事なことです。まず提出しないことには、自分の仕事の出来不出来は分からないですよね? ボロクソに言われることもあるかもしれませんが、あったとしても若いからこそ許されたりもします。

仕事の評価は相手が決めるもの。あまりに自己満足を目指してしまうと、自分の中でだけ、とてもハイレベルになってしまいます」

先延ばし癖の本当のリスク


最後に和田さんから20代のビジネスパーソンにアドバイスをいただきました。

「年を取ってからの失敗は痛いですが、若いうちの失敗は許してもらえます。20代は、仕事を先延ばしして、締め切りに間に合わないことで“信用を失う”ことがリスクに思われがちですが、実は“成長できない”ことが一番のリスク。若いころは先延ばししないで、『まず手を出すんだ』と自分に対して言い聞かせることが大事ですよ」

仕事をきっちりこなさなくては、という使命感が強すぎて、いつも遅くなってしまう…というあなた。まずは失敗や評価を恐れず、期日を第一優先に仕事をこなしてみませんか?

20代で大事なことは、“評価”ではなく“経験”のようです。経験をたくさん積むことが自身の成長にも直結していくことでしょう。

識者プロフィール
和田秀樹(わだ・ひでき) 1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医。国際医療福祉大学教授、一橋大学経済学部非常勤講師、川崎幸病院精神科顧問と和田秀樹こころと体のクリニック院長を務める。1987年の『受験は要領』がベストセラーになって以来、大学受験の世界のオーソリティとしても知られ、代表を務める緑鐡受験指導ゼミナールは毎年無名校から東大合格者を出し、話題となっている。そのほか、6年一貫の医学部進学塾、和田塾MEDS塾長も務める。


※この記事は2016/08/22にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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