【意外と知らないビジネスの値段】最近なにかと話題の記者会見。いくらでできる?

最近、なにかと話題になることの多い記者会見。これまで記者会見を開くようなことがないと思っていた方も、世紀の大発見や発明、あるいは逆に大失敗や不祥事など、いつ何時そのようなタイミングが訪れるか分からないものです。

【意外と知らないビジネスの値段】最近なにかと話題の記者会見。いくらでできる?

最近、なにかと話題になることの多い記者会見。これまで記者会見を開くようなことがないと思っていた方も、世紀の大発見や発明、あるいは逆に大失敗や不祥事など、いつ何時そのようなタイミングが訪れるか分からないものです。

もし、記者会見を開く必要に迫られたら、どんな手順が必要で、一体いくらかかるのでしょう。PR活動をサポートするプロ集団、共同ピーアール株式会社のPR総研所長 篠崎良一さんにお聞きしました。

記者会見を行うタイミングは?


「まず、メディアに対して何かしらの発表をすることを一般的には“記者会見”という言葉で認識されているかと思われます。記者会見と似た言葉で“記者発表”というものがあり、これらは内容が異なります」(篠崎さん:以下同じ)

「“記者会見”は、重大なニュースが突発的に発生して、取材が殺到した場合に開催することが多く、メディアからの質問を中心に応答する形で行います。一方、“記者発表”は、企業や団体が自社の新製品やサービスなどを大きく報道してもらうために、メディアに集まってもらい、発表する側が説明を行います。
例えば、よく皆さんがテレビで目にするトップが謝罪している姿や、オリンピックでメダルを取ったスポーツ選手が話している姿は“記者会見”の報道。一方、華々しくタレントが新商品を片手に宣伝している姿は“記者発表”の報道と考えていただくと分かりやすいのではないでしょうか」

では会場の準備やメディアへの告知などの準備は、どういうタイミングで行えばいいのでしょう。

「“記者会見”の多くは、メディアが一刻も早く報道することを望みます。そのため、十分な準備の時間を取ることができません。反対に、“記者発表”は発表側が主導するので、数カ月前から準備を進めることが可能です。最初にすることは、会場の手配でしょうか。メディアに対してのご案内は、最低でも2週間以上前に行うのが通例となっています」

なるほど。緊急を要するものもあるようですが、通常は結構時間をかけるものなのですね。

記者会見に必要なものと、そのお値段


次に気になるのは、具体的にどのようなものを準備しなければいけないのかということ。そして、そのお値段は?

「“記者会見”では、最低でも取材するメディアが十分に入れる会場を確保することが先決となります。そのため、取材対象となる企業の会議室で行う場合もありますし、メディアの集まる記者クラブで行う場合もあります。広い会場が必要な場合は、ホテルの宴会場を借りることもありますが、特にメディアからの強い要請で個人が記者会見を行うような場合は、メディア側が会場費を負担することもまれにあります。そのため、実施の費用はほとんどかからないことが多く、場合によっては0円ということもあります」

「“記者発表”については、装飾などにどれぐらいこだわるかで大きく費用が異なります。例えば、タレントを起用した記者発表をする場合、会場費(ホテルの宴会場やイベント会場など)、司会やタレントのキャスティング料、企業のロゴが入ったバックパネルの作成費、マイクやスクリーン、プロジェクターなどのレンタル料、受付や会場誘導といったサポートスタッフの人件費など、合計すると数百万から一千万円以上必要になる場合もあります」

ほほう、「会見」と「発表」では金額的にかなりの開きがあるようですね。そして「発表」は、装飾やキャスティングによっても費用に差が出てくるようです。

記者発表を話題化するためには?


記者発表する場合は、せっかく手間もお金もかける分、少しでも多くのマスコミに注目してもらいたいでしょう。不祥事の記者会見となると、話は別になるかもしれませんが…。
取り上げられやすい方法など、記者発表の注目度を高めるための手段はどのようなものでしょう。

「“記者発表会”を話題化するための常套手段として、タレントに出演を依頼する方法があります。そのときは、皆さんが日頃から目にすることの多い方やコメントの上手なタレントを中心に出演交渉をします。テレビや新聞での報道のされ方、写真映えすることを考えると、やはり男性よりも女性タレントに出演依頼が集まる傾向にあります。その他、宣伝したい商品が小さな場合は大きな模型を用意したり、企業ロゴが入ったバックパネルを用意したり、キャラクターの入った衣装などを着てもらうなど、できる限り告知したい商品や企業の宣伝につながるように工夫をします」

タレントの起用は分かりやすいですが、小さな商品の宣伝に対する工夫などは、やはりわれわれ素人には考え付かないアイデアですね。では記者会見についてはどうでしょう。

「当社では、“記者会見”のシミュレーション・トレーニングを企業のトップや経営層を対象にして行う場合がございます。そのとき、テクニックより重視しているのは、会見に臨む姿勢です。具体的には、会見が不都合なものであっても『うそをつかない』『隠さない』『誠実に対応する』といった基本的な心構えを、常に確認するようにしています」


こちらからマスコミへ情報発信しようとする「記者発表」と、マスコミに請われ情報を提供する「記者会見」では、準備や金額などさまざまな点で違いがあるようです。いつ、あなたにも世間からの注目が集まるやもしれません。もちろんそれは、世紀の「大発見・大発明」などポジティブな注目であることを願いますが……。

識者プロフィール


篠崎良一(しのざき・りょういち)/ PR総研所長、『広報の学校』学校長(共同ピーアール株式会社)
企業・団体のトップ広報コンサルティング、メディアトレーニング、広報セミナーや研修講師を担当。著書に『実戦企業広報マニュアル』、『会社を守る!もしものときのメディア対応策』(共にインデックス・コミュニケーションズ)、『広報・PR概論』(共著、同友館)、『広報・PR実務』(監修、同友館)、『パブリックコミュニケーションの世界』(共著、北樹出版)がある。


※この記事は2014/06/02にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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