ガリガリ君のメーカー赤城乳業に聞く!“固定概念”の壊し方

いよいよ夏本番! となると食べたくなるのは冷たいアイスですよね! なかでも、ガリガリ君は人々に長く愛されるアイスの代表といえるでしょう。

ガリガリ君のメーカー赤城乳業に聞く!“固定概念”の壊し方

いよいよ夏本番! となると食べたくなるのは冷たいアイスですよね! なかでも、ガリガリ君は人々に長く愛されるアイスの代表といえるでしょう。

そのガリガリ君シリーズがここ数年、奇抜な味を発売し続け、大きな話題となりました。「リッチ ナポリタン味」「リッチ コーンポタージュ」「リッチ ほとばしる青春の味」などなど。

このように、常識にとらわれない自由な発想でヒット商品を生み出してきた赤城乳業は、一体どのようにして“固定概念”を壊し、新しいアイデアを生み出しているのでしょうか。うまく固定概念を壊すことができれば「明後日の会議までに新しい企画10個考えといて」なんて上司からのムチャぶりも、もう怖くはありませんよね。
そこで今回は、広報担当の広瀬さんに、固定概念に縛られない新しいアイデアを生み出すための取り組みについてお伺いしました。

固定概念を壊す「あそびましょ。」の精神


--奇抜でユニークな味を生み出したきっかけを教えてください。

「あまり知られていないかもしれませんが、弊社はこれまでにも30年ほど前から“ラーメンアイス”“イクラ丼アイス”などのユニークなアイスを販売してきました。しかし、ガリガリ君がだんだんとメジャーになり始めたころ、お客さまから『最近は手堅いね、冒険してないよね』などの意見をいただくようになったのです。これでは『あそびましょ。』の企業スローガンを掲げている会社としてはまずい、全然遊んでいないじゃないか。ということで、“チャレンジ精神を取り戻そう!”と、新たな企画を始めました。その結果生まれたのが、コーンポタージュ、シチュー、ナポリタンなどの味のアイスです」

--なるほど。きっかけはお客さまの声だったのですね。 では、新しく企画された商品を実際に発売するかどうかはどのように決めているのですか?

「基本的には、ガリガリ君のプロジェクトチームにて新しい味を考え、最終的に販売するかどうかの判断は経営会議によって決めています。このプロジェクトチームのメンバーは社内の各部門から選出し、構成しています。こうすることで一つの部門が担当するよりも、さまざまな人が集まることでより発想の幅が広がると考えたからです」

「みんなをびっくりさせたい」コーンポタージュ味を生んだ20代社員


--そういった新しいアイデアはどこから出てくるのでしょうか?

「アイデアに関しては、開発だから、企画だから、といったくくりではなく、社員全員が日常生活の中で、アイスにつながるヒントを探しています。 実際にコーンポタージュ味が生まれたときの、アイデアはお菓子からです。当時新商品の開発を担当していた20代の若手社員は、コーンポタージュ味のスナック菓子を食べていて、思いついたといいます。これは、今までに無い味を作りたい、みんなをびっくりさせたい、とその社員が日頃から考えていたからこその発想だったといえるのではないでしょうか。他には、年に数回社員だけでなくその家族も応募できる、新商品のアイデア募集も行っています」

--コーンポタージュ味を企画したときの社内の反応はどのようなものでしたか?

「そうですね。やはり社内からは『そんな冒険はやめてくれ』といった声が多く出ました。特に経営陣や営業部門はいざ生産して売れなかった場合のリスクを考えてしまいますからね。しかし、最終的には社長の『ベリーグッド』の一言で、発売することが決まりました」

--なるほど……社長が面白いと思えば、リスクを承知でも発売に至るあたりが赤城乳業のすごさのように思います。

若手が失敗を恐れずチャレンジできる環境


--新しいアイデアを生み出すために取り組んでいることを教えてください。

「社内では、社員が誰でも自由に意見を言える環境として“言える化”を目指しています。これは、立場や役割を超えてなんでも“言える”環境をつくることが組織の活性化につながり、一人一人の持つ力を引き出すことができると信じているからです。

この“言える化”実現のためには、チャレンジできる環境づくりが必要です。例えば、わが社ではペナルティー・プレイズ制度があり、挑戦した人を評価する仕組みがあります。ペナルティーは、一見すると厳しいように思うかも知れませんが、挑戦したことによる失敗は通常の人事考課とは切り離して処理をしているということです。罰金によってその失敗を帳消しとし、その後の人事考課には影響を与えない制度になっています。むしろ、挑戦したことはプラス評価になることもあります。このようにして、若手社員でも失敗を恐れることなく、チャレンジできる環境づくりを目指しています。

これからも、固定概念にとらわれず挑戦を恐れない会社として、成長を目指していきたいと思っています」

まさに失敗なくして成功なし、といった社風の赤城乳業。 固定概念とは、ある意味で“一歩踏み出せないでいる自分”そのものなのかもしれません。失敗を恐れず挑戦する姿勢こそが、固定概念を壊すための第一歩となるのではないでしょうか。


<赤城乳業プロフィール>
1961年創業。埼玉県深谷市に本社を置くアイス専業の食品メーカー。「あそびましょ。」を企業スローガンに、子どもから大人まで多くの人々に愛されるアイスを販売する。社名の由来は本社から見える赤城山。「赤城しぐれ」「ガツン、とみかん」「BLACK」など多くのヒット商品を生み出してきた。中でも「ガリガリ君」は2012年に年間販売本数が4億本を超え、さらに2013年には5億本突破を視野に入れた成長を続けている。2010年には100億円以上を投資し、本庄に新工場を設立した。

【取扱商品】「ガリガリ君」「ガツン、とみかん」「ドルチェTime」「濃厚旨ミルク」「ブラック」「チョコミント」など。今年は、6月に期間限定で「ガリガリ君 梨」を、7月には「シャリシャリ君 塩グレープフルーツ」、セブン&アイホールディングス限定で「フルーツなガリガリ君 とびだせWグレープフルーツ味」を発売している。

※この記事は2014/08/25にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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