今さら聞けない!お金のアレコレ┃第1回:手取りと額面ってどう違うの?

実はよくわかっていない、お金のアレコレ。今さら聞けないという方もいるのではないでしょうか。 本連載は会社員が知っておきたいお金の「きほんのき」を分かりやすく解説します。

f:id:designcafe:20190917221206j:plain

実はよくわかっていない、お金のアレコレ。今さら聞けないという方もいるのではないでしょうか。 本連載は会社員が知っておきたいお金の「きほんのき」を分かりやすく解説します。

第1回は、「手取りと額面の違い」。手取りと額面だけでなく、手取りと実際の振り込み金額も違うって本当ですか? 総務、経理を経験したことのある、頼れる「先輩」が教えてくれました。

【登場人物】

後輩後輩:入社2年目の営業部員。やる気だけは人一倍だが、お金に関してはややルーズ。毎月、給料日前には財布の中がスカスカになるタイプ

先輩先輩:入社以来、総務、経理を経て現在は業務推進部に所属するベテラン社員。同じ大学を出た後輩にとって、何かと頼りになるセンパイ


給料全部は使えないと思え!





先輩よお、今日は残業なしだから、帰りに一杯行くか?

後輩センパイ、おごってくれるんですか? なにせ、給料日前で金欠なんで……。

先輩なんだ、まだそんな生活しているのか。そろそろ自分の給料くらい考えて、お金を使えるようにならないとだめだぞ!(と言いつつ、2人は居酒屋へ移動)

後輩これでもちゃんと、自分なりにお金の使い方は考えているんですよ。給料はだいたい23万円くらいだから、1週間に5万円ずつ引き出しても、月末には少し残るはずなんですが……。なぜか、残らないんですよね。不思議だ。

先輩その23万円てさ、額面だよな。手取りだともっと少ないだろ。

後輩えっ、額面って? 何ですか、それ。

先輩額面というのは、基本給に各種手当を加えた給与の総支給額のことだよ。

役職手当とか住宅手当、通勤手当なんかは変更がない限り、毎月同じだけれど、残業とか休日出勤が多いと、時間外手当が増えるから、その月の額面も増える。

だけど、そこからいろいろ差し引かれるから、手取りは額面より少なくなるんだ。

後輩たしかに、口座に振り込まれているのはもっと少なかったかも……。最近はずっと記帳していないから、気づきませんでした。

先輩のんきな奴だな。給与明細のいちばん上の金額だけ見て、全部使えると思ったら、大間違いなんだぞ。

後輩じゃあ、今度きちんと口座の振込額をチェックしてみます。


振込額=手取り額とは限らないことも





先輩給与が出たら毎月、振込額をチェックすることは大事だけれど、振込額が手取り額とは限らない場合もあるんだ。

後輩それはまた、どういうわけですか?

先輩手取り額とは、正確には、税金と社会保険料を差し引いた後の金額のことをいうんだ。これを「可処分所得」ともいう。

だけど、会社によって、財形貯蓄や団体保険、共済などの制度があって、それらを利用している人は、その分も給与天引きになっているだろ。

そうすると、口座に振り込まれる金額は、手取り額よりもさらに少なくなる。

後輩額面>手取り額>振込額、というわけですね。

先輩その通り。分かってきたじゃないか。

後輩さすが、センパイ。前に経理部にいただけあって、詳しいですね。ところで、額面と手取り額って、どれくらい違うんですか?

先輩そうだなぁ。基本的に税金や社会保険料は給与に応じて決まる仕組みで、給与が高い人ほどたくさん引かれてしまうんだ。

社会保険料は今、厚生年金、健康保険、雇用保険の3つ合わせて15%前後の会社が多い。税金は所得税と住民税を合わせて最低15%だけど、これは各種控除を差し引いたあとの金額にかかるから、実質的な税負担はもっと低いし、人によっても違ってくる。

平均的年収の会社員なら、税金と社会保険料を合わせて手取り額は20~25%くらい、額面よりも少なくなると考えておけばいいんじゃないかな。

後輩そうすると、給与の額面が23万ちょっとだったら、手取りは18万円前後か……。自分は財形貯蓄や保険なんか引かれていないから、振込額はほぼ同じだな。

残業が多い月は手取りもあと少し多いかもしれないけれど、これじゃ、給料日前にキビしくなるのは当たり前ですよね。

先輩キミはまだ実家暮らしだから、それだけあれば自由に使えるお金も多いだろ。

一人暮らしの人だったら、もっと厳しいだろうね。実際に、毎月の給与で足りない分は、ボーナスから補填している人も多いし。


まずは手元に入るお金でやりくりする習慣を





後輩次のボーナス、早く来ないかな……。

先輩ボーナスをアテにして生活するのは、会社員としてはまだ半人前だぞ。ボーナスは会社の業績とかで変わることもあるからな。

もらえたら御の字で、半分は貯金して、あとは旅行代とか、スーツとかの身の回り品を買うのがいい。ふだんの生活費は毎月の給与をベースに、手元に入るお金でやりくりする。そういう習慣をつけることが大事なんだ。

後輩そうですね。おっしゃる通り。自分も、もう少ししたら一人暮らしをしたいと思っているんですが、そうすると家賃もかかるし、大変ですよね。給与からいくらまで使っていいのか、ますます分かりにくくなりそう。

先輩まずは、残業代も含めて、毎月の平均的な手取り額や振込額を確認して、そこから家賃とか光熱費なんかの固定支出を除いた金額を一度算出してみないと。

毎月口座に入るお金から、そういう固定支出を除いた金額が、食費とか、飲み会、小遣いなどで自由に使える金額ということになる。

後輩そうすると、月にだいたい8万円くらい、週に2万円しか使えないかも……。分かりました。来月からはそのつもりで節約しますんで、センパイ、今日のところはやっぱり、おごりでお願いします!

先輩そういうところだけは、調子がいいんだから(笑)。


執筆者プロフィール
マネージャーナリスト┃光田洋子
出版社の雑誌編集部などを経て、編集者・ライターとして独立し、編集事務所インタープレスを設立。現在は家計全般、住宅、保険、税金などの生活まわりのお金について、MOOKや雑誌などの編集・取材を担当するほか、新聞・情報サイトなどにも執筆している。
page top