キャリアプランが思いつかない!基本的な考え方や対処法、注意点を分かりやすく解説

将来自分がどうなっていたいのかを計画する「キャリアプラン」。ビジネスパーソンの中には「キャリアプランが思いつかない……」と不安に思う人も多いでしょう。本記事では、基本的な考え方や対処法、立てる際の注意点などを分かりやすく解説します。

キャリアプランを考えている男女

ビジネスパーソンにとって「キャリアプラン」は、将来の自分がどういうキャリアを築きたいかを考える重要なものです。しかし、キャリアプランが思いつかない、この先どうすればいいか分からないと不安に思う人も多いのではないでしょうか。今回は、キャリアプランの基本的な考え方や思いつかないときの対処法、年代や立場別で意識するべきことなどについて、キャリアコンサルタントの村井真子さんに伺い、分かりやすく解説します。

キャリアプランとは?その概要を分かりやすく解説

キャリアを示した写真

ビジネスにおいて、キャリアプランは「自分がビジネスパーソンとして、将来どういうキャリアを持ちたいか」ということを具体的に考えて、実現するための計画を指します。プランの策定には、将来ありたい自分の姿を解像度高く設定し、その将来像から逆算して計画を立てる「バックキャスト」のアプローチをとるといいでしょう。すると、今の自分に何が足りないか、自分のありたい姿に向かうためにはどのようなスキルや経験が必要かなどを考えられるのです。

キャリアビジョン・キャリアデザインとの違いは?

キャリアビジョンとはキャリアプランに含まれる概念で、「将来こうなりたい」というイメージそのものを指します。一方で、キャリアデザインはキャリアプランとほぼ同義ですが、将来ありたいキャリアのイメージを具体化するための主体的なアプローチを考えるという意味合いが強いです。つまり、自分の思い描くキャリアに対して、「どうアプローチするのか」を中心に考えていくイメージです。キャリアプランはより時間的な概念に重きを置いて考えていきます。

キャリアプランを立てることのメリットは?

Web会議の様子

キャリアプランを立てることのメリットには何があるのでしょうか。ここでは主な2点を解説します。

目標に向けて努力しやすくなる

キャリアプランを考える際には、自分のキャリア像を長期的な視点で考えていくので、今の自分からどうやってそこへ到達するかが分かるようになります。つまり、漠然と「あの人のようになりたい」と思うのではなく、「あの人のようになるためにはどうすればいいか」と考えなくてはいけません。そのため、今の自分が獲得すべきスキルや考え方、マインドセットの習得に前向きに取り組め、目標に向けて努力しやすくなります。

仕事へのモチベーションが高まる

今やっている仕事がつまらなくとも、キャリアプランがあることで将来の自分はこれらの仕事の延長線上にあると理解できます。そうなると、自ら仕事の中で能力の開発につながる工夫を考えたり、業務に対する意味づけを行えたりするので、モチベーションアップにもつながります。

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キャリアプランが思いつかない場合の原因は?

キャリアプランで悩んでいる様子

キャリアプランを立てることは重要と分かっていても、「なかなか思いつかない……」という人も多いのではないでしょうか。ここでは、その原因について解説します。

自分に向き合う時間が取れない

「将来こうなりたい」と考えることは、きちんと時間をとって丁寧に自分に向き合っていく作業です。そのため、そのような時間を取れなければキャリアプランを考えるのは難しくなります。さらには、自分に向き合う時間がないと「こうなりたい」と思えなかったり、「自分には無理だ」と考えること自体をあきらめてしまったりすることにもつながります。

ギャップを埋める具体的な行動の方法が分からない

現在の自分とキャリアプランのギャップを埋めるには、その過程の方法を知る必要があります。そのため、「〇年後にこうありたい」と考えていてもそこに至る過程が分からなければ、キャリアプランを考えられないのです。また、このようなケースではそのギャップを埋めるための知識が不足していることなどが原因となっている場合が多いです。

不確定要素を考えすぎている

将来、起こりうるライフイベントなどのできごとや、環境・状況の変化といった不確定要素を考えすぎていることも原因に挙げられます。不確定な将来について「ああなったらどうしよう……」と考えすぎてしまうと、どの段階で何をすべきかというプランを立てるのが難しくなってしまうのです。

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キャリアプランが思いつかない場合の解決法

先輩社員からアドバイスを受ける様子

キャリアプランが思いつかない場合、どのようにすればいいのでしょうか。解決法をご紹介します。

まずは自分のロールモデルを探す

何もない状態からキャリアプランを具体的に考えるのは難しいです。なので、まずは自分にとってのあこがれやロールモデルになる人といった、「ああいう人になりたい」と思える存在を探すといいでしょう。また、自分に向き合う時間がなかなか取れない場合も、まず自分はどういう存在になりたいのかという具体的な指標を得るために、周囲にモデルとなる存在がいないかどうかを意識して探してみるのが効果的です。

信頼できる相手に一緒に考えてもらう

キャリアコンサルタントや信頼できる上司、友人などと面談・相談をしたり、コーチングを受けたりする方法もおすすめです。自分一人では答えが見えない部分も「どうやったらできるか」を一緒に考えていけるので、より現実的なプランになりやすくなります。ギャップを埋める具体的な行動に悩んだら、まずは身近な人に相談してみましょう。

「将来は変わるかもしれない」と割り切る

自分で決めたキャリアプランは、この先ずっと変わらないものではありません。あくまでも自分のなりたい姿、ありたい自分に近づくための一つの計画・指針に過ぎないので、必要以上に考えすぎないようにしましょう。

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キャリアプランを立てる具体的な手順

キャリアプランを立てるまでのステップ

実際にキャリアプランを立てる場合の具体的な手順について、4つのSTEPで解説します。

STEP1:自分がなりたい、ありたい姿をイメージする

まずは、「自分は〇年後、こういうスキルを身につけていきたい」「自分はこういう仕事ができるようになりたい」など、なるべく具体的に自分がなりたい、ありたい姿をイメージしましょう。

STEP2:今までの自分の持つキャリアや経験を棚卸しする

自分の持っている資格や取り組んできたことを、可能な限り振り返って、棚卸しをしましょう。学生時代からのキャリアや経験を洗い出しながら、そのときに自分がどんな工夫をしたかなどはもちろん、それによってどうやりがいを感じたかといった感情面の動きも書き出すといいでしょう。

STEP3:自分の考えを言語化する

STEP3では、なぜ自分がSTEP1で考えた「ありたい姿」になりたいかを言語化し、その理由を具体的に考えていきます。その際、過去の自分の行動や価値観、獲得してきたスキルが、自分の考えにどのような影響を与えているか、どう関わっているかを結びつけながら、言語化するのがおすすめです。

STEP4:ギャップを埋めるためのアプローチを考える

自分が思い描くキャリアプランと、現時点で保有する能力やスキル、経験の差がどのくらいあるかを整理します。この差=足りていない部分(ギャップ)を埋めていく作業が、実際にキャリアプランを実現させる手段となります。キャリアプランに対するアプローチは、最初からガチガチに固めていくというより、まずは直近1年、3年、5年などのスパンで分けて行うといいでしょう。

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年代別のキャリアプランの考え方

キャリアを積み上げる様子

キャリアプランは年代によって、意識することが異なります。ここでは、年代別のキャリアプランについて解説します。

20代前半~中盤(若手)のキャリアプラン

20代中盤まではまだ社会人経験が浅いため、棚卸しは学生時代の経験が主となります。まずは社内や社会で自分にとってあこがれの対象となるようなロールモデルを見つけられるように、意識して観察しましょう。また、あこがれの対象が20代のころ、どのように過ごしていたかを聞いてみたり、リサーチしたりすると視野を広げられます。

20代後半~30代(中堅)のキャリアプラン

この年代までジョブローテーションや異業種への転職などがなく、一つのキャリアコースを積み重ねてきた場合は、経験の幅が狭まってくるタイミング。なので、意識してキャリア選択の幅を広げることが大切です。また、会社だけでは得られる経験やスキルに限界がある場合は、自ら学びを得たり、挑戦したりできる環境を会社外でつくるのもいいでしょう。

40代以上(ベテラン)のキャリアプラン

40代になったら、家庭や自身の状況との調和も考えつつ、定年後のセカンドキャリアを視野に入れ始めましょう。過去に思い描いていたキャリアプランが、今でも叶えたいものである場合は、現在の自分との差を考えて行動し、その差を埋めていくことが必要になります。

また、過去のキャリアプランと今のキャリアビジョンが異なる場合は、新たにプランを見直すことも検討しましょう。

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キャリアプランを立てる際の注意点

キャリアのスタートからゴールまでの道筋

キャリアプランを立てる際、どのようなことに注意をすればいいのでしょうか。ここでは、主だった2つを紹介します。

キャリアプランに固執しすぎない

キャリアプランはあくまでも「ありたい自分」を実現するための補助線でしかありません。そのため、そのとおりに行かなくて当たり前と考えるようにしましょう。また、それ以外にいいキャリアがあったり、思いついたりすることもあります。視野が狭まってしまわないように、キャリアプランを意識しながらも固執しすぎない姿勢が大切です。

つくりっぱなしにせずに定期的に見直す

キャリアプランは一朝一夕でできるものではなく、自分との対話が必要、かつ時間もかかります。その中でやっとプランができたとしても、つくって満足するだけでは意味がないので、定期的に見直す機会を設けましょう。今の自分にとって最適と思えるキャリアプランであっても、技術革新などで必要なスキルが変わる可能性もあります。変更ありきで考えておき、定期的に見直して修正するようにしましょう。

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キャリアプランは変更・調整を重ねて使いこなす

ビジネスパーソンにとって、キャリアプランがあると自分の望ましい将来像に近づくことができるでしょう。しかし、人間の価値観は時間や経験によって変化していくので、それに固執しすぎず、変更・調整を重ねながら使いこなしていくことがおすすめです。自分だけのキャリアプランを定めてモチベーションを高めつつ、目標に向けて日々の仕事に取り組んでいきましょう。

監修:村井社会保険労務士事務所 代表 村井真子
社会保険労務士/キャリアコンサルタント/経営学修士(MBA)。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。LGBTQ+アライ。行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。著作に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』、監訳に『バウンダリーレス・キャリア上巻』『組織と従業員の間で変化する心理的契約』『経営心理学』など。

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