当事者意識とは?身につけるメリットと高める方法について解説

自分が関わっている仕事について、自分ごととして責任をもって行動する意識を持つ「当事者意識」は、仕事で成果を出すためには必要不可欠な要素です。本記事では身につけるメリットや高める方法について解説します。

当事者意識とは?身につけるメリットと高める方法について解説

会社の上司から「当事者意識が足りない」と指摘されたことはありませんか。ビジネスにおいて自分がかかわっている仕事に「当事者意識」を持つことは欠かせない要素といえるでしょう。そこで今回は、当事者意識を持つメリットや高める方法について、キャリアコンサルタントの村井真子さんに伺った話をもとに解説します。

当事者意識とは?

当事者意識とは?

ビジネスにおける「当事者意識」とは、自分が関わっている仕事について、責任感を持って主体的に取り組む姿勢、もしくは「自分ごと」として受け取っているという意識を持つことを指します。

当事者意識がある人は、常に業務を自分ごとだと考えているので、自分の仕事が組織全体の中でどのように位置付けられ、どういった影響を与えているのかを踏まえて業務を捉えることができます。そのため、先を読んで行動したり、仕事を効率化したりすることに長けている人が多いです。

当事者意識が低い人の特徴

当事者意識が低い人の特徴

上司や先輩から「もっと当事者意識を持って行動するように」などと指摘を受けたことはありませんか? ここでは、当事者意識が低い人の特徴を解説します。自分に当てはまる項目がないかどうか、確認してみましょう。

物事の責任を自分で取ろうとしない

当事者意識が低い人は、仕事を行う上で、行き詰まったりトラブルが生じたりするなど、思うような結果が得られない場合に、自分の言動に原因がないかを内省せず、他責にする傾向があります。例えば、「前任者がうまく引き継ぎをしてくれなかったせいだ」「不景気だから売り上げが伸びないのは仕方がない」など、自分以外のものに原因を求めるばかりで、責任を取ろうとしない特徴があるのです。

指示待ちの傾向がある

「自分の担当した工程を、どのように渡したら次の人が作業しやすいか」など、業務に関する工夫の視点や取り組みを行わず、指示されたことだけを行えばよいと考える傾向があります。そのため、自分の意思で仕事に対するやりがいを見つけたり、新しい視点や工夫を取り入れる意識がなかったりと、仕事に対するモチベーションも低くなる特徴があります。

取り組みに対して消極的になりがち

ビジネスでは、新規事業開発や業態変化などで新たな挑戦をしなければならない場面も多いです。なので、必要があれば新しい挑戦のために相応のリスクを負うことが求められます。しかし、当事者意識が低い人は、こうしたリスクを取りたがらない、消極的になりがちな特徴があります。また、結果としてビジネスチャンスを逃してしまう傾向にあるともいえます。

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当事者意識が低くなる原因は?

当事者意識が低くなる原因は?

なぜ当事者意識が低くなってしまうのでしょうか。考えられる原因について解説していきます。

自分の仕事がどのように影響するか理解していない

当事者意識を高く持って仕事をするには、その仕事の背景や目的を理解し、期待された成果を残すためにはどうしたらいいのか、自分ごととして具体的にイメージする姿勢が重要となります。このイメージが持てなければ、与えられた仕事を単なる作業としてしか認識しなくなってしまうのです。そのため、仕事に工夫の余地を感じなかったり、広いスケールでの考え方ができなかったりと、当事者意識が低くなってしまう傾向にあります。

自己評価や職場の心理的安全が低い

仕事でなにか工夫すべき点を見つけたとしても、自己評価や職場で安心して自分を表現できるかどうかという「心理的安全性」が低いと、「意見を言ったとしても聞き入れてもらえないだろう」「こんなことを話しても取り合ってもらえないだろう」などと考えてしまうようになります。このような心持ちになると、責任を負うことを避けるようになってしまうのです。

自分の評価につながらない

仕事の効率化や業務についての背景や目的、自分の役割などを理解しているか、もしくは主体性や責任感があるかどうかという点が業務評価の対象に含まれていなかったり、含まれていたとしても明確に示されたりしていないことも、当事者意識が低くなる原因として挙げられます。この場合、自分の行動が評価につながらないと考え、当事者意識が薄れていってしまうためです。

もし、業務における評価軸が明確に示されてない場合は、評価がどのように行われるのか、折を見て、評価する上長などに確認してみるのがいいでしょう。

業務量が増加すると感じてしまう

当事者意識を持って仕事に取り組んでいると、業務を行う上での改善点が見えてきます。しかし、それを提案すると採用されるものの、その導入や検証、調整などの負担がのしかかってきてしまう懸念も生まれるでしょう。そのため、自分の発言や工夫が、かえって負担増加につながると感じると、当事者意識が低くなってしまうこともあるのです。

確かに業務量が増加する可能性は否めません。しかし、その改善点が確かなものであれば、その分、業務を効率的に進められるというメリットにもつながります。そのため、長い目で見れば自分の助けになるケースも多いので、提案は行ってみるのがおすすめです。

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当事者意識が高いとどのようなメリットがある?

当事者意識が高いとどのようなメリットがある?

ビジネスにおいて当事者意識を高く持っていると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは2つのメリットについて紹介します。

視座が高くなり、仕事への取り組み方が変わる

当事者意識が高いことで、常に「どうしたらこの仕事をもっとよくしていくことができるか」という視点で取り組むことができるようになります。その結果として、自社のビジョン・サービスや競合の理解、周辺業界への知識が増え、仕事へ活かすことができるという好循環も期待できるでしょう。加えて、このような仕事ぶりがしっかり評価されれば、自身のモチベーションや、スキルアップも可能です。

多様な仕事の機会を得ることができる

当事者意識が高い人は自分で主体的に判断しながら物事を進めていくことができます。その上、選択・決定のリスクを引き受ける覚悟があるので、新規事業開発などスピード感が求められるプロジェクトや、PDCAサイクルの速い仕事に抜擢される機会を得やすくなる傾向にあります。

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当事者意識を高める方法は?

当事者意識を高める方法は?

ここでは、当事者意識を高めるためには、どのような意識を持ち、行動すればよいのかを説明していきます。

仕事の全体像を把握する

仕事の全体像や流れを知ることで自分が果たすべき役割や、どのように工夫すればよいかという方向性が見えてきます。当事者意識は、このように仕事の全体を把握することで醸成されるのです。また、意見や提案が却下される場合、その提案は全体の方向性に沿っていない可能性が考えられます。改善点などが見えて提案を行う際にも、全体像を把握していることが伝われば、その分採用されやすくなるでしょう。

取り組んでいる仕事を客観的に把握するための方法としては、書き出して整理してみることや、関わるメンバーとコミュニケーションをよく取り、懸念点や問題点を日ごろから話し合うなどがいいでしょう。

「自分でやってみる」という姿勢を持つ

仕事をする上でさまざまな工夫や改善を施せそうな場合は、まずは自分で試してみる、もしくは改善案のPDCAを裁量範囲内で取り組んでみるなど、「自分でやってみる」という姿勢を持つよう心掛けましょう。このように、仕事に対して主体的に取り組んでいくことができれば、当事者意識を高められます。さらに、自分で試すことによって、実際に提案する際の根拠ともなり、根拠があれば提案相手にも聞き入れてもらいやすくなるでしょう。

仕事におけるキーパーソンや決裁者の考え方を知る

仕事で実務的に鍵を握る人物を把握し、その人物が何をどのように考えて仕事を割り振り、管理しているかなどの考え方を知ることも大切です。当事者意識を持っているキーパーソンや決裁者は、業務の全体像を把握して仕事に取り組んでいるので、彼らを理解することで自分の当事者意識を高めることができるのです。

そのためには、仕事に取り組む上で感じた些細なことや気になった点を、キーパーソンや決裁者へ相談しましょう。すると、どのように仕事の全体像を捉えて業務進行しているのか、その考え方を知ることができます。

目の前の仕事に対して当事者意識を持って取り組もう

当事者意識を持つことはビジネスパーソンにとって、大きな成長につながります。しかし、独りよがりで身につくものではなく、周囲との協調性も重要となります。そのため、目の前の仕事について、「どうしたらもっと効率よくできるだろうか」などという視点を、日常的に持つことが大切です。自分の仕事に対して当事者意識を持って取り組むことができれば、多くの達成感や評価を得られるでしょう。

監修:村井社会保険労務士事務所 代表 村井真子
社会保険労務士/キャリアコンサルタント/経営学修士(MBA)。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。LGBTQ+アライ。行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。著作に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』、監訳に『バウンダリーレス・キャリア上巻』『組織と従業員の間で変化する心理的契約』『経営心理学』など。

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