- 職場の人間関係に悩む人は多い
- 「上司と合わない」と感じる原因は?
- 上司と合わない状態を放置するリスクとは?
- 上司と合わないときの対処法
- 自分だけでは対処しきれない場合は?
- 自分の対応次第で関係が良好になる可能性も?
- 良好な人間関係を築いて、働きやすい環境づくりを
毎日の仕事の中で、なんとなく「上司と合わない……」と感じていませんか?会社という組織で仕事をする以上、上司との接点をなくすことはできません。その“合わない”と感じる原因を分析して適切に対処すれば、円滑に仕事ができるようになります。
本記事では、産業カウンセラーや心理相談員の資格も保有している、キャリアコンサルタントの瀧本博史さんに伺ったお話を基に、上司と合わない原因や対処法について解説します。
職場の人間関係に悩む人は多い
仕事上の悩みとして「人間関係」を挙げる人は多いものです。dodaが転職したビジネスパーソンを対象に実施した調査によると、全体の26.6%の人が「人間関係が悪い/うまくいかない」という理由で転職したことが分かりました。
出典:doda「転職理由ランキング」<2023年>
会社はさまざまな人間関係で成り立っているため、人によって相性の良し悪しがあるのは当然のこと。しかし、相手が上司であれば仕事をするうえで避けては通れないこともあるでしょう。上司と接することは苦手だけれど、我慢をしなければ仕事にならない、というのが本音ではないでしょうか。
「上司と合わない」と感じる原因は?
上司と合わないと感じる主な原因は、ほとんどがコミュニケーションに起因しています。
上司とコミュニケーションのスタイルが合わない
上司と部下では、世代の違いなどによりコミュニケーションスタイルにズレが生じてしまいがちです。例えば、若年層の部下はメールやチャットなど非対面コミュニケーションを好みますが、上司世代は会話を基本とした対面コミュニケーションを重視する傾向があります。
そのため、細かい指示やフィードバックはテキストで送ってほしいと思っている部下に対して、上司は口頭で情報伝達する、というスタイルの違いが生まれてしまうのです。
上司の指導スタイルが極端
上司の指導スタイルが極端な場合があります。その代表格が「マイクロマネジメント」です。部下に割り当てた仕事にもかかわらず過度に介入し、細かく管理することが問題視されています。部下の側からすると自己決定の機会を奪われ、自分の能力を発揮することが難しくなってしまいます。
逆に、部下の自立を促すため指導せずに放任するケースも。部下は仕事の進め方に確信が持てず、不安な気持ちを抱き続けることになってしまいます。具体的な指導がなければモチベーションは低下し、成長も感じなくなるでしょう。
上司の考えを一方的に押し付けられる
よくある例は、部下の意見や感情を受け入れず、一方通行のコミュニケーションを取るというパターンです。部下は自分のアイデアや意見が評価されないと感じ、ストレスの原因となります。それが発端となり、チームワークの悪化につながることも。
時代の変化に対して柔軟性が足りない
上司が過去の成功体験や従来のやり方にこだわる場合、新しいアイデアやイノベーションを受け入れないことがあります。部下から新しい提案ができないどころか、刻々と変化するビジネスの潮流に乗り遅れるなど、会社にとっても損失になってしまうでしょう。
上司と合わない状態を放置するリスクとは?
上司と合わないと感じると、部下はなるべく接点を持たないように行動します。その状態を放置してしまうと、下記のような思わぬリスクを引き起こすことが考えられます。
仕事のパフォーマンスが低下する
上司とのコミュニケーションをなるべく控えようとした結果、情報共有の抜け漏れや認識の相違によって、生産性が下がったりミスを引き起こしやすくなったりします。
また、険悪な雰囲気が社内に伝わり、チームワークにも悪影響を及ぼしてしまうと、自分だけでなく会社規模のパフォーマンスの低下につながってしまうかもしれません。
心身の健康を損なう
心理的なストレスが蓄積すると、不眠や頭痛、胃痛といった身体的不調を引き起こす原因に。上司とは毎日顔を合わせるため、症状が悪化すれば出勤することが困難になってしまう可能性もあります。
キャリアアップの妨げになる
上司との関係が良好でなければ、適切な指導やサポートを受けるのは難しいでしょう。これにより、スキルを習得できない、重要な業務を任せてもらえない、不当な評価によって昇進が先送りになる、などキャリアアップを妨げられる可能性があります。
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上司と合わないときの対処法
上司と合わない状態は、今からでも改善すべきです。瀧本さんに伺った対処法を原因別に解説します。
上司とコミュニケーションのスタイルが合わない場合の対処法
まずは上司のコミュニケーションスタイルを理解し、尊重するところから始めましょう。対面コミュニケーションを好む上司には、会話を通じて意見や情報を伝える機会を設けることが重要です。
その際に、デジタルツールのメリットや効率性を分かりやすくプレゼンしてみてはいかがでしょうか。例えば、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで共有できるツールのデモンストレーションをしたり、短期間だけ新しいツールを試してもらったりするのがおすすめです。
また、どちらか一方のコミュニケーションスタイルに寄せるのではなく、対面とデジタルをいいとこどりした折衷案も検討するべきです。重要な議論や決定事項は対面で共有し、日常的な連絡はデジタルツールで報告する、というように双方のニーズを満たすバランスを探ると良いでしょう。
上司の指導スタイルが極端な場合の対処法
マイクロマネジメントは不安やコントロール欲から生じているものです。そのような不安を取り除くには、定期的に進捗報告を行うのが効果的。上司がプロジェクトの状況を把握できるようになれば不安が和らぎ、徐々に信頼を寄せてくれるようになります。
報告する内容は、具体的な成果や達成した目標に焦点を当てて、どのように自己管理しているかを示すことが重要です。
次に、自分に割り当てられた仕事に対する責任感を強調し、自分一人で問題を解決できる能力があることをアピールしましょう。例えば、小さな問題が発生した場合にすぐ上司の意見を求めるのではなく、解決策を用意してから報告するクセをつけるのがおすすめです。
逆に放任主義な上司に対しては、自ら積極的にフィードバックを求める姿勢が有効です。具体的な方法は、定期的なミーティングの設定を提案し、自分の成果や課題について話し合う機会を設けるなど。また、自分がどのようなフィードバックを望んでいるのかを明確に伝えることが大切です。
上司の考えを一方的に押し付けられる場合の対処法
上司が耳を貸してくれない場合、まずは共感の意を示しましょう。そのうえで本来伝えたかった意見や提案を加えるという形を取れば、話を遮られにくくなるはずです。
ほかの同僚も同じ悩みを抱えているのであれば、団結して同じ提案をすればインパクトを与えられます。集団の意見は個人の意見よりも重みがあり、無視しにくくなるからです。
もしも直接意見を言うのが難しければ、メールや書面にまとめてから提出するという手もあります。文書にすることで自分の考えを整理でき、上司側も内容をじっくりと受け止める時間を持てるのでおすすめです。
上司が時代の変化に対して柔軟性が足りない場合の対処法
新しいアイデアや技術のメリットを、具体的なデータや事例を交えて説明することで、上司の理解を得やすくなります。このとき、対立を避けるためにも、提案の仕方は柔らかに、かつ尊敬の念を持って行うことが大切です。
さらに、小さな成功体験を意図的に作るという戦略もあります。新しい技術や方法を小さな規模から試していき、その効果を実証することで導入のハードルを下げるというやり方です。これまで否定していた上司でも、プラスの変化に対しては前向きに考えてくれることでしょう。
自分だけでは対処しきれない場合は?
ここまで、上司と合わないときの対処法について解説しました。しかし、対処法を実践しても解決しない場合もあります。その際に重要なのは、自分一人で抱え込まずに誰かを頼ることです。
メンターや信頼できる同僚に相談する
まずは社内で信頼できるメンターや同僚に相談しましょう。仕事環境や内部事情を知っている人であれば、問題の核心を理解しやすく、具体的かつ異なる視点からアドバイスをくれるはずです。
プロのキャリアコンサルタントやカウンセラーに相談する
外部の専門家に相談することもひとつの手です。キャリアコンサルタントやカウンセラーであれば、職場の人間関係にかかわらず中立的な視点からアドバイスしてくれるので、問題解決に向けた具体的な戦略を立てやすくなります。
人間関係のネットワークを広げ、異なる視点を得る
キャリアにまつわるイベントやセミナーに参加し、ほかの企業や同じ業界の人々と交流してみましょう。異なる視点やアイデアを獲得できるだけでなく、問題解決のヒントが見つかるかもしれません。
社内の人事部や相談窓口を頼る
誰かに相談したり自分の見識を広げたりしても解決の糸口が見出せなければ、社内の人事部や相談窓口に頼ることも考えてみてください。
人事部や相談窓口であれば、日常的に職場内の問題を多く取り扱っているため、問題解決のプロセスやガイドラインを提供したり、場合によっては介入を行ったりすることもできるでしょう。
転職を検討する
これらの対策を講じても問題解決できない場合、転職を検討するのも選択肢のひとつです。今までの経験を評価してくれる新しい環境に身を置くことで、自身の持ち味やスキルが発揮され、さらに充実した仕事ができるかもしれません。
自分の対応次第で関係が良好になる可能性も?
人間関係は、自分と相手が相互に作用し合うもの。上司に変わってもらうよりも、自分の対応を工夫することで関係が良好になることもあるかもしれません。いま一度、自分自身を省みてみるのも良いでしょう。
自己認識が欠如していないか振り返ってみる
自己認識の欠如とは、自分の言動によって他者にどのような影響を与えているのかを理解していない状態のこと。
自分の強みや弱みを把握できていなかったり、感情コントロールが苦手だったりすると、無意識のうちに上司との関係を悪化させている可能性があります。
自己認識を向上させるには、自分の言動や成果を定期的に振り返ることが大切です。また、信頼できる同僚から客観的なフィードバックをもらうのも良いでしょう。
自分の言動が周囲に与える影響を見つめ直すことで、上司との関係改善につながることもあるでしょう。
自己啓発に取り組む
現在の仕事において、自分に不足しているスキルはないかを考慮してみましょう。仕事において必要なスキル向上を行うことで解消されることもあるかもしれません。そのほかにも、コミュニケーションに関連するスキルの習得も役立ちます。効果的なコミュニケーション方法や、ストレスマネジメントを学ぶことで、対人関係の改善に活かせるはずです。
まずは自己啓発の書籍や関連セミナーから情報収集してみてはいかがでしょうか。
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良好な人間関係を築いて、働きやすい環境づくりを
プライベートの人間関係であれば、気が合わない人とは関わらなければ良いだけですが、職場の上司となるとそうはいきません。良好な関係を築いていくためには、自分から努力する必要があります。
上司の言動をよく観察して対処法を実践したり、自分側に落ち度がないか客観的に見つめ直したりして、関係改善を試みてみましょう。自分らしく働くためには、自ら環境を整えるという心意気が重要です。ただし、無理は禁物。過度なストレスを感じている場合は、ためらわずに誰かを頼るようにしましょう。
監修:瀧本博史
キャリコンリンク合同会社代表。転職コンサルタント・心理カウンセラー。国家資格2級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラーなど多数の資格を保有。キャリアの専門家として職業訓練校での就職指導、大学講師、ハローワークや公共機関などの相談員を務めているほか、心理カウンセラーとして心の問題のケアにも従事。NHK総合の就活ドラマを監修。著書は『オンライン就活は面接が9割』(青春出版社)、『2026年度版 本気で内定!面接対策』(新星出版社)など。
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