勤勉な国代表「日本」と「ドイツ」の決定的な“働き方”の違いとは

「日本」と「ドイツ」。いずれも世界では勤勉な国として知られていますが、同じ勤勉といってもその働き方はまったく違うものだということをご存知でしょうか。そしてその違いは、一体どんなところにあるのでしょうか。

勤勉な国代表「日本」と「ドイツ」の決定的な“働き方”の違いとは

「日本」と「ドイツ」。いずれも世界では勤勉な国として知られていますが、同じ勤勉といってもその働き方はまったく違うものだということをご存知でしょうか。そしてその違いは、一体どんなところにあるのでしょうか。

「和」を重視する日本と「個」を重視するドイツ


まず、日本とドイツでは働き方に対する考えがまったく違います。

日本の労働は、「和」を重視したもの。変わりつつあるというものの、日本の企業では上下関係があり、組織単位の結びつきが強い傾向があります。そのため、個々の人が会社単位、部署単位で自分の仕事を考えます。

一方、ドイツで重視されるのは「個」。会社は組織ですが、会社に頼ることなく個人のスキルで生きていこうと考えている人が多いのです。会社への帰属意識は日本に比べて弱く、それぞれが自身のスキルアップを考えています。

ドイツと日本の働き方の違い


それでは、この考え方の違いがどのように働き方に反映されているかご紹介していきます。

1.企業研修が充実した日本と、インターンが充実したドイツ


日本では、新卒で会社に入社するとまず企業研修が行われます。1週間から長い会社だと6カ月までと充実した内容です。仕事の経験がなくても、この企業研修でみっちりと基礎を教えてもらえます。

一方、ドイツにはこういった手厚い企業研修はありません。新卒でも企業に入社したら即戦力として勤務を始めなければなりません。

それでは、どのようにして仕事の基礎を学ぶのでしょうか。

それは、学生中に行うインターンで学ぶのです。ドイツではインターンが盛んで、どの企業も学生向けにインターン制度を取り入れています。学生は、まずインターンで職務経験を積むのです。

インターンなので、一方的に仕事のやり方を教えてもらうというよりは、仕事をやりながら覚えるというOJT(On the Job Training)方式となります。インターン中は、一般社員と同じ仕事を行います。他の社員も、インターン生を同等に扱いますし、本人も「インターンだから」という気持ちで仕事はしません。ミーティング中にはしっかり発言するし、意見があればそれを上司に提案したりもします。このようにして、学生はインターン中に仕事の基礎を学ぶのです。

その後、インターン中の会社でそのまま就職する人もいれば、インターンで職務経験を積んだ後、違う会社で就職をする人もいます。

インターンを通して個人のスキルを伸ばし、仕事を得ていくのがドイツ式なのです。

2.飲みニケーションを大事にする日本と、仕事とプライベートのメリハリを大事にするドイツ


同僚との飲み会に、取引先との飲み会。日本では、仕事の後のプライベートな時間を共有することで「和」を強める傾向があります。むしろ、そういったプライベートな時間こそが仕事上での関係性を構築する上で重要なものです。

一方で、ドイツでは完全に仕事とプライベートは分けられます。個人としてプライベートを充実させている人こそ、仕事ができる人と思われているからです。

多くのドイツ企業では、金曜日の午後は早めに仕事を切り上げます。そして、職場で提供されるビールを1?2杯飲みながら、その場で同僚と雑談をしたり、情報交換をしたりします。この時間帯こそが、社員同士の関係構築の場。そして、19時か20時には完全にお開きになります。

こうした社内でのコミュニケーションの場でも、長い時間を過ごすことがよいとはされず、短く濃縮された時間を過ごすことがよいとされているのです。会社での時間が終わったら、その後はプライペートの時間として、家族や個人のために時間を使います。ドイツ人は、仕事とプライベートを線引きし、仕事は仕事としてしっかりと行うのです。

3.仕事の量を重視する日本と、仕事の質を重視するドイツ


日本では、仕事の量が重視されます。従来から長時間労働がよいとされてきた影響があるからか、今でも平日は朝から夜遅くまで会社で過ごすという人は少なくありません。

一方、ドイツでは仕事の質が最も大事なもの。仕事の量=質とは考えられていません。むしろ、「やることをしっかりやっていれば、周りは何も言わない」のです。これも、ドイツの「個」の考え方が根本にあります。

例えば、通常の勤務開始時間が9時と定められていたとします。それでも、朝の通勤ラッシュを避けるために朝10時に出社しても問題はありません。契約時間分はしっかり働き、自分のやるべきことをしっかりやっていればよいのです。仕事がしっかり行われていれば、上司は何も言いません。

むしろ、朝早くから夜遅くまで会社に居続ける人のほうが仕事ができない人と見なされます。ドイツ人の勤勉性は、仕事の量ではなく、仕事の質にもとづいて生まれたものなのです。

4.規律を大切にする日本と、効率を重視するドイツ


日本では、組織内の調和を保つことが大事です。出社時間、休憩時間、退社時間、そしてノー残業デーまでしっかりと会社内で定められています。そして、仕事は決まった場所、自分のデスクでするものです。ミーティング以外に長時間席を空けると、サボっていると思われる可能性があります。

皆が同じ時間に出社し、同じような形態で働いているということが、「和」を重視する日本での勤勉性につながっているのです。

一方ドイツでは、個人がしっかりと仕事をしていればよいので、どこでどのように仕事をしようが構いません。仕事の効率が上がるのであれば、会社の共有スペースのソファで仕事をしてもよいですし、集中度が上がるのであれば好きな音楽を聞きながら仕事をしてもよいのです。

また、水道やインターネットの業者が来るため、どうしても自宅にいなくてはいけない場合は、自宅にて仕事を行うことも可能です。わざわざ半休を取る必要などありません。仕事はできる状態なのに、半日家にいる必要があるという理由だけで、休みを取らせるのは「効率が悪い」からです。

もちろん、柔軟な働き方が認められているがゆえに、責任も生じます。家で働くことにしても、サボって何も仕事をしていなければ、結果的にはそのまま個の実績として評価されてしまいます。

日本では、組織の中の規律を守っていれば、評価が下がることはそうそうないかもしれませんが、ドイツでは責任を持って働かなければ、それは直接自分の評価を下げることになってしまうのです。

まとめ


いかがでしたか。ドイツでは良い意味でも悪い意味でも、「仕事」は「仕事」として割り切っている人が多いのが特徴です。そのため、仕事にできるだけプライベートを持ち込まないことと個人主義が確立しています。


決められた範囲内でしっかり仕事を行うことがドイツ人の勤勉性の由来。同じ勤勉なお国柄でも、働き方や考え方がまったく違うことに驚かれたのではないでしょうか。


※この記事は2016/07/14にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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