イライラをコントロールする! “アンガーマネジメント”3ステップ

仕事中に思わずイライラしてしまうことはありませんか? このイライラという感情を上手にコントロールすることは、ビジネスパーソンにとって重要です。今回は昨今テレビやラジオで注目されている、イライラをコントロールする「アンガーマネジメント」を実践するためのポイントやステップを、日本アンガーマネジメント協会代表理事である安藤俊介さんから伺いました。

イライラをコントロールできる! “アンガーマネジメント”3ステップ

イライラと上手に付き合うのがアンガーマネジメント


そもそもアンガーマネジメントとはいったい何なのでしょうか。

「アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで始まった、アンガー(イライラ、怒りの感情)をマネジメント(上手に付き合う)するための心理教育、心理トレーニングです。

これは決して怒らなくなるというわけではなく、怒らなくてはいけないことは上手に怒る、怒らなくていいことには怒らずに済むようにするという線引きを上手にできるようにするというのが目的です」(安藤俊介さん:以下同じ)

価値観の多様化により必要になってきた


なぜいま、このアンガーマネジメントが普及しはじめたのでしょうか。安藤さんは、「一番の大きな理由は価値観の多様化」と語ります。

「私たちが怒る理由というのは実は単純で、自身の価値観が裏切られるときなんです。たとえば自分が守るべきだと考えるマナーが目の前で守られていないとイライラしてしまいますよね。

さらに『上司はこうあるべき』、『仕事はこうするべき』といった『べき』という価値観と異なる行動にも、人間はイライラしてしまいます。

良くも悪くも、昔は世間の価値観が比較的統一されていたように思います。ですが昨今、価値観は大きく多様化していっています。それは社会にとってとても良いことなのですが、一方で価値観がぶつかり合う瞬間が多くなり、自分と他人とのギャップの差を強く感じてしまう。

すると必然的にイライラや怒りの感情が芽生えることが増えてしまいます。自身の怒りについて考え、さらには怒りをマネジメントし、それを減らしていくという点で、アンガーマネジメントが注目されているのだと思います」

アンガーマネジメントを実践する3つのポイント


では、実際にアンガーマネジメントをどのように実践したらいいのか。そのポイントとして、安藤さんは次の3つを挙げます。

◎間違っていることに対しては自信を持って怒る


「まず大事なのは『怒ることは間違いである、悪いことである』という思い込みをなくすことです。

怒ることは悪いことではありません。間違っていることに対して自信を持って怒れることはかなり重要です」

◎「あとで後悔するか」で線引きをする


「怒ることと怒らないことの境界は『後悔』だと思うんです。怒ったあと後悔するなら怒らないほうがいいし、怒らなくて後悔するなら怒ったほうがいいと思います。その線引きを考えられるようになるというのも、大事なポイントになると思います」

◎自分は相手に何をしてほしいのか認識する


「怒る目的は感情をぶつけることではなく、相手に何をしてほしいというリクエストを出すことだと考えることも重要。怒っている人は、実は相手に何をしてほしいか分かってない場合が多いんです。自分は相手に何をしてもらったら気が済むのか、冷静に考えられるなら、めちゃくちゃ怒ったりしません」

アンガーマネジメントの3ステップ


アンガーマネジメントは「精神的に大人になればいい」という漠然としたものではなく、具体的なステップがあるのが特徴だそう。では具体的にどのように自身の怒りをマネジメントするのか、そのステップをご紹介します。

ステップ1:怒ってしまったら6秒待つ


「私が6秒ルールと呼んでいるものがあります。『とにかく怒ってしまったら6秒待つ』という決まり事です。

なぜ6秒かというと、諸説あるのですが、怒りはじめてからイライラの感情が特に強い時間が6秒だと考えられているからです。その6秒間で、呪文を唱えるような感覚で自分に『大丈夫だ』と言葉をかけてあげたり、怒りに点数をつけて怒りを客観視したりすることはとても有効です」

ステップ2:「べき」ではなく「許せるか」で考える


「実は怒る理由とは、自分の外にはありません。自身が信じる『こうするべき』という価値観が裏切られたときなのです。そのため、自分の中にどういった『べき』があるのかを考えるんです。

その後で自分の『べき』とは違うけれど、相手の行動が許容できるものかどうかを考えることが重要です。『百点満点ではないけどまあ許せるかな』という部分を多くつくり、広げていく。その許容範囲が広くなれば広くなるほど、許せることは多くなるんです」

ステップ3:自分で変えられることにだけ注力する


「人には、自分では変えられるものと変えられないものがあります。たとえば自分の過去に対する解釈や、他人の行動はある程度変えられます。一方、他人の性格や状態はなかなか変えられません。

その区別がはっきりできないと、イライラしてしまいます。つまり、変えられるものを変えられないと思い込んだり、どうやっても変えられないものを変えようとしたりすることで、イライラしてしまうんです。

そのため、変えられるものと変えられないものを見極め、変えられるものだけに対してだけ変える努力をし、変えられないものは自分の許容範囲で考えて『まぁ許せるかな』と済ませてしまうことがとても大事です」

まとめ


仕事では、年齢の差や性別、価値観など、いろいろなことで違いを持った人とコミュニケーションをとらなくてはいけません。そんななかで、イライラという感情に客観的に向き合うことが何より大事なようです。


もし皆さんが「怒り」という感情をコントロールできずに悩んでいたら、明日からでもアンガーマネジメントを実践してみてはいかがでしょうか?

著者プロフィール


安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。企業、教育現場にある怒りの問題を解決する専門家。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。文部科学省も注目している感情理解教育「アンガーマネジメント」の理論、技術をアメリカから導入する。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどに日々奮闘している。また、アンガーマネジメントのトレーナーの育成にも力をいれている。


※この記事は2016/02/10にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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