重複とは?意味・読み方や文章作成時の注意点を解説

「重複」の正しい読み方は「ちょうふく」です。しかし現在は「じゅうふく」でも間違いではないとされています。本記事では、「重複」の意味や使い方、言い換え表現について、例文とあわせて解説します。

「重複」の意味

「重複」は、資料に同じ内容があることを指摘したり、取引先に同じメールを送付したことを謝ったりする際に使う言葉です。主な言い換え表現として、「二重」や「ダブり」などがあります。

ビジネスで文書を作成したり、プレゼンをしたりする場面では、相手に違和感を与えないよう「重複表現」を避けることも大切です。本記事では、「重複」の正しい使い方や、重複表現を避ける言い回しについて解説します。

「重複」の読み方はちょうふく?じゅうふく?

本来、「重複」の正しい読み方は「ちょうふく」です。

一方で、近年は「じゅうふく」と読む人が増えてきていることから、一部の辞書には「ちょうふく」「じゅうふく」の両方が掲載されていることもあります。そのため、現在では「じゅうふく」という読み方をしても間違いではないとされています。

なお、どちらの読み方をする場合でも、意味は基本的に同じです。

「重複」の意味

「重複」とは、「同じ物事が重なり合うこと」を意味する言葉です。「かさなること」や「かさなり」を意味する「重」と「複」で成り立っています。

「重複」の使い方・例文

ここから、「重複」の使い方を例文と一緒に紹介します。

同じ内容の資料があることを指摘する

プレゼンなどで使う資料に同じ内容のデータや図表などが盛り込まれている場合に、「重複」を使用することがあります。後輩が用意したプレゼン用資料に同じデータが見つかり、指摘する際の例文は以下の通りです。

プレゼン資料の作成、お疲れさま。
確認したところ、2ページ目と5ページ目に重複したデータが見つかったよ。おそらく間違いだよね?

同じメールを送付したことを謝る

操作ミスや担当者間の連携ミスなどで、同じ内容のメールを取引先に二度送付してしまうことがあるかもしれません。このようなケースで謝罪する際に、以下の例文のように「重複」を使用できます。

先ほど、誤って重複したメールを送信してしまいました。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

なお、メールの重複送信は取引先に不信感を与えるうえに、社内の業務効率を悪化させます。そのため、ルール作りを徹底するなど、重複を防ぐための工夫も大切です。

【無料診断】あなたの仕事力はどれぐらい?リモートワークにも役立つ仕事力をチェック

「重複」の類語・言い換え表現

「重複」には、いくつか類語や言い換え表現が存在します。例文と一緒に確認していきましょう。

二重

「二重(にじゅう)」とは、「同じこと(もの)が二つかさなること」です。「重複」を使用するケースでは、基本的に「二重」でも言い換えられます。

「二重」を使った例文

(上司への報告で)
Aさんが〇〇を発注済みであることを把握しておらず、誤ってX社に二重発注してしまいました。
至急先方に連絡して発注の取り消しを行います。

ダブり

「ダブり」とは、「物事が重複すること」です。一般的に、「2倍」や「二重」を意味する英語の「double」が「ダブり」「ダブる」の語源とされています。

「ダブり」も「重複」と同じように使用できる表現です。ただし、聞き手に失礼な印象を与える可能性もあるため、上司や取引先への使用は避けた方がよいでしょう。

「ダブり」を使った例文

(部下・後輩に対して)
データにダブりがないか、報告前に必ず確認してね。

重なり

「重なり」とは、「重なること」や「重なっている状態」のことです。また、動詞の「重なる」は、「ある物事に同類の物事が加わる」ことを意味します。

「重なる」「重なり」は「重複」と同じような言葉を持つため、使う際は「重複データが重なっている」のように重複表現(二重表現)にしないよう注意が必要です。重複表現については、「文章を作成する際は重複表現に注意する」で詳しく解説します。

「重なり」を使った例文

上司:13時にA社を訪問する予定なのだけど、先方への挨拶を兼ねて一緒に来るかい?
自分:申し訳ございません。B社の〇〇社長と商談する予定と重なっているため、本日は難しいです。

繰り返し

「繰り返し」とは、「繰り返すこと」や「反復」を意味する言葉です。「重複」は「同じ物事が重なりあうこと」(状態)を指すのに対し、「繰り返し」は基本的に同じことを「行う」点に重点が置かれている点が異なります。

ビジネスシーンでは、強調する目的で同じことを何度も伝えるときに「繰り返しになりますが〜」と使うことがあります。ただし、相手に不快な印象を与える可能性もあるため、本当に必要か考えてから使いましょう。

「繰り返し」を使った例文

(部のメンバーへの一斉送信メールで)
繰り返しのご連絡となり恐縮ですが、全体会議の出欠について本日中に〇〇までご回答いただきますようお願い申し上げます。

【無料診断】そのモヤモヤの原因は?キャリアのヒントが見つかる「モヤモヤ解消診断」

「重複」の対義語

「重複」には、いくつか対義語もあります。意味を確認していきましょう。

MECE(ミーシー)

「MECE」は、「Mutually Exclusive(and)Collectively Exhaustive」を略した言葉です。「モレなく、ダブりなく」の意味で、主にコンサルティング業界などで使われています。

「MECE」を使った例文

(後輩・部下への指示で)
今年販売する商品のターゲットを考えてくれるかな?MECEの原則に基づいて、漏れやダブりがないようにね。

なお、業界によってはMECEを使っても相手にうまく伝わらない可能性があります。相手のことを考え、MECEに補足を加えたり、使用自体を控えたりすることも大切です。

単一

「単一(たんいつ)」とは、「ただひとつであること」や「単独であること」を意味する言葉です。物事が重なっている状態に使う「重複」とは反対に、「単一」は1種類のもののみに対して使用します。

「単一」を使った例文

(社内会議で)
これまで通り単一の商品に依存することにはリスクを伴うため、当社も新商品開発に取り組むべきではないでしょうか。

ユニーク

「ユニーク」とは、「他に類を見ないさま」や「独特なさま」を表現した言葉です。英語の「unique(ユニーク)」も、同じように「唯一の」「独特な」「珍しい」などを意味します。

「ユニーク」を使った例文

(後輩からの提案に対して)
ユニークで面白い企画だね。ただ、これを予算内で実現するのは少し難しそうだけれど、何かいいアイデアや調整できるポイントはあるのかな?

「辞めたい」と思ったら…仕事の不満度チェック 

文章を作成する際は重複表現に注意する

ビジネスで文章を作成する際は、重複表現(二重表現)に注意しましょう。

重複表現とは、同じ意味の言葉を繰り返し使うことです。重複表現を使うと、読み手にストレスや違和感を与える可能性があります。ここから、重複表現の具体例や避けるためのコツを確認していきましょう。

重複表現の具体例

主な重複表現と正しい表現方法について、以下の表にまとめました。

重複表現

重複の理由

正しい表現

頭痛が痛い

「痛」の重複

頭が痛い

違和感を感じる

「感」の重複

違和感を覚える

返事を返す

「返」の重複

返事をする

断トツトップ

「トップ」の重複

*「トツ」はトップのこと

断トツもしくはトップ

後で後悔する

「後」の重複

後悔する

必ず〇〇が必要

「必」の重複

〇〇が必要

なお、上記は漢字から重複を判断できるケースです。ほかにも、「およそ100人程度(正しくは、100人程度かおよそ100人)」や「過半数を超える(正しくは過半数に達する)」のように、意味が重複してNGのケースもあるため、注意しましょう。

重複表現を避けるためのコツ

重複表現を避けるためには、日頃から言葉の意味を理解しておくことが大切です。曖昧な場合は、辞書を引いて正しい意味を確認しましょう。

また、文章校正ツールなどを活用することで、見落としがちな二重表現を見つけられる場合もあります。

【最新版】社会人の平均年収はどれぐらい?年代別・職種別・業種別ランキング

Excel(エクセル)や数学・統計学にも「重複」を使う

Microsoftのエクセル(以下Excel)や数学・統計学でも、「重複」を使う機会がよくあります。それぞれ、どのように使うか確認していきましょう。

Excelで使うケース【重複チェック・重複削除】

ビジネスでExcelにデータを打ち込んでも、ダブりがあると正しく内容を分析できない可能性があります。そこで、重複をチェックして削除すること(重複削除)が重要です。

Excelで重複をチェックしたり、重複を削除したりするには、主に以下の方法があります。

  • 「ホーム」タブで「条件付き書式」を選択し、重複する値を探す
  • 「データ」タブで「重複の削除」を選択し、重複行ごと削除する
  • 「COUNTIF関数」を入力して重複の有無を判定する
  • 「データ」タブで「フィルター」の詳細設定を選択し、重複していない項目を抽出する

それぞれの具体的なやり方については、以下の記事を参考にしてください。

<関連記事>Excelで重複削除をする方法4選|行削除や関数でのデータ抽出・削除まで!

数学・統計学で使うケース【重複順列・重複組合せ】

数学・統計学では、重複順列や重複組合せといった言葉で、「重複」を使うことがあります。

重複順列とは、1回目・2回目・3回目…で同じ要素を選べるケースにおける計算のことです。回数を重ねても、選択肢は減りません。

重複組合せも、同じ要素を選べる点は同じです。ただし、重複順列は順序で違いがあるのに対し(例:1回目・2回目・3回目…)、重複組合せには違いがありません。

「重複」を英語で表現すると?

「重複」は、英語で「duplication」「overlap」「repetition」などと表現します。また、「重複する」と動詞にする場合は、「duplicate」「overlap」「be repeated」などを使うことが一般的です。

例えば、「スケジュールが重なっている」ことを説明したい場合は、以下のように表現できます。

“My schedules are overlapping.”

なお、話や表現が重なって冗長になっている場合は、「redundant(冗長な)」を使うことが一般的です。

転職するなら何歳まで?転職成功者の年齢調査

「重複」とは複数の同じ物事が重なること

「重複」とは_まとめ

「重複(ちょうふく)」は、複数の物事が重なっていることを表現した言葉です。ビジネスでは、同じ内容の資料があることを指摘するケースや、同じメールを送付したことを謝るケース、Excelでダブりのあるデータを削除しなければならないケースなどで「重複」を使うことがあります。

相手にストレスや違和感を与えないためには、重複表現を避ける工夫も必要です。言葉の意味を正しく理解したうえで、報告書の作成やプレゼンに臨みましょう。

【関連記事】
【敬語一覧】ビジネスで間違いやすい表現や使い方のポイントを紹介
「ご放念ください」の意味とは?正しい使い方やタイミング、例文を紹介
進捗管理の重要性とは?実践方法やメリット、成功させるコツを解説
「失念」の意味とは?正しい使い方やビジネスで使える例文を紹介

page top