仕事の夢ばかり見る原因は?対処法や、ついやってしまいがちなNG行動について解説

仕事の夢ばかり見てしまい、よく眠れないと悩んでいませんか。本記事では、その原因や対処法、仕事の夢ばかり見るときにやらないほうが良いことなどを解説します。

仕事の夢ばかり見てうなされる様子

ビジネスパーソンの中には毎日のように仕事の夢ばかり見てしまい、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が悪くなったりしている人も多いのではないでしょうか。本記事では、その原因や対処法、仕事の夢ばかり見るときにやらないほうが良いことなどについて、精神科医で産業医の井上智介さんに伺った内容をもとに、分かりやすく解説します。

仕事の夢ばかり見ることで悪い影響はある?

夜中に仕事の夢を見て目が覚める様子

日々、仕事に追われているビジネスパーソンだからこそ、仕事に関する夢を見ることは不思議なことではありません。ただし、毎日のように、「仕事で失敗する」「追い立てられるように仕事をしている」といったネガティブな夢ばかり見ている場合は、少し不安になりますよね。そういったことが続くと、どのような影響が出るのでしょうか。それぞれ解説します。

集中力や思考力が低下する

仕事の夢ばかり見るということは、睡眠の質が低下している可能性があります。睡眠の質が下がると、浅い眠りや夜中に何度も目を覚ますという状態を引き起こし、睡眠不足になってしまいます。睡眠が足りないと頭がぼんやりし、集中力や思考力も低下するため、日常生活や仕事にも影響が及んでしまうので注意が必要です。

疲労やストレスが溜まりやすくなる

仕事の夢ばかり見ることで、疲労やストレスが蓄積されやすくなるケースもあります。頻繁に仕事に関する夢を見るということは、帰宅後や休日も緊張が続き、リラックスできていない状態になっていると言えるでしょう。この状態が慢性化すると、体が休まらず、ストレスが溜まり続けてしまいます。

すると、些細なことで落ちこんでしまったり、仕事以外のことにも意欲を失ってしまったりする可能性があります。また、ストレスによる疲労感から、人と会う機会を避けるようにもなったり、イライラしやすくなることで人間関係の悪化につながったりすることもあるでしょう。

仕事の夢ばかり見てしまう原因は?

仕事で過剰にプレッシャーやストレスがかかっている様子

仕事の夢ばかり見てしまうことには、どのような理由があるのでしょうか。環境と性格的な側面から原因を考えてみましょう。

過剰にプレッシャーやストレスがかかっている

環境的な要因として、職場や仕事による過剰な負荷がかかっていることが挙げられます。例えば、納期やノルマが厳しい仕事や、自分の処理能力をはるかに超える課題があるという状況です。ほかにも、慢性的な人手不足により、誰にも助けを求められないという環境が原因の一つになっていることもあるでしょう。

このような場合、常に緊張感や閉塞感の中で過ごさなければなりません。そのため、仕事のことが頭から離れず、オン・オフの切り替えができなくなり、仕事の夢を見るようになるという可能性があります。

完璧主義な性格である

性格的な要因としては、完璧主義の傾向があるケースです。完璧主義が行き過ぎると、「ミスはないか」「失敗したらどうしよう」など、仕事に関する不安を抱えがちです。そのため、休日や帰宅後もリラックスできない状態になってしまいます。

ほかにも、完璧主義の人は「誰にも頼らず、自分一人の力でやり切ること」に強い価値観を持っている場合があります。「相談は相手に迷惑がかかる」と考え、誰かに頼ることが苦手という人が多いのも特徴です。常に一人でベストな結果を出さなければならないというプレッシャーから、仕事を背負い込んでしまいます。そのため、気持ちの切り替えができずに、頻繁に仕事の夢を見ることが考えられます。

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仕事の夢ばかり見るときの対処法は?

一人で抱え込まず周りに相談する様子

仕事の夢ばかり見てしまうからと言って、小手先の対策をしたところで効果は見込めません。大切なのは、根本的な原因にアプローチすることです。ここでは、井上先生に伺った環境要因と性格要因の改善方法について解説します。

環境要因を改善する方法

職場や仕事における環境を改善するには、一人で抱え込まずに周りに頼る方法があります。すでに業務量が多い場合は、ほかの人に仕事を回したり、納期やノルマが厳しいのであれば、期限の延長や上限の緩和などを踏まえた交渉をしたりしましょう。

一人で抱え込まずに周りを巻き込むことは、短期的な改善として有効な対処法です。それでも配慮が見られないという場合は、転職を検討しても良いかもしれません。

性格要因を改善する方法

性格を短期的に変えることは難しいため、時間をかけて少しずつ改善していくことが大切です。自分で取り組める方法としては、毎日寝る前にその日に達成したことなどをノートに書き出すのが効果的です。

完壁主義の人は、できなかったことに目が向きがちなので、意識的に「できたこと」に焦点を当てるトレーニングをしましょう。例えば「今日受け取ったメールに対応できた」「上司に今後の方針を確認できた」など、どんな小さなことでも大丈夫です。また、定期的に心理カウンセリングを受けるのも一つの方法と言えます。

加えて、職場では、仕事を一人で抱えこまないように、業務の進捗状況を上司などに管理してもらうことも有効です。例えば、進捗報告の回数を増やすことで、「これくらいで大丈夫なんだ」という感覚を掴むことができます。自分から報連相のタイミングを取るのが難しければ、あらかじめ上司と日時を決めて約束するのも良いでしょう。

仕事の夢ばかり見るときにやらないほうが良いことは?

つい寝酒してしまう人

仕事の夢ばかり見てしまう際には、できれば避けたほうがいいNG行動があります。それぞれの理由について見ていきましょう。

眠くないのに布団やベッドに入る

眠くないのに布団やベッドに入っても、眠ることは難しいです。人によっては「早く寝よう」と焦って余計に眠れなくなったり、眠れない時間が増えることで「今日も眠れないかもしれない」という不安が大きくなって、ますます眠れなくなったりするという悪循環に陥ってしまいます。

大切なのは、眠くなってから寝ることです。睡眠時は、日ごろから布団で過ごす時間の85%以上が寝ている時間となるよう、工夫すると良いでしょう。

寝酒

寝る前にお酒を飲むと、アルコールによって入眠を促してくれるという効果があります。しかし、深い睡眠への移行を妨げ、眠りが浅くなるのでおすすめできません。さらに、利尿作用がはたらき、夜中に何度もトイレへ行くために目が覚めやすいというデメリットもあります。

寝酒によって睡眠がとれている人もいるかもしれませんが、継続的な摂取はアルコールへの耐性につながります。その結果、飲酒量が増え、「お酒がないと寝られない」という状況に陥る可能性も。長期的な視点からも、寝酒で対策することは避けたほうが良いでしょう。

今すぐできるストレス解消法

公園でリラックスする様子

仕事の夢ばかり見てしまうのを避けるには、その原因であるストレスを取り除くことも大切です。ここでは、今すぐできるストレス解消方法をいくつか紹介します。

自然に触れる時間を作る

自然に触れるといっても、山や森に足を運んで森林浴をする必要はありません。近くの公園のベンチに座って過ごすなどでも効果があります。例えば、休日の午前中に10分ほどのんびりと過ごすだけでも、ストレスレベルが下がり、リラックス効果が期待できます。

また、空や木々を見る、目を閉じて風を感じる、鳥の声を聞くなど、自然に触れている意識をすることで、より高い効果が得られるでしょう。もし、気温や花粉症の問題などで、公園で過ごすことが難しい場合は、自室に小さな観葉植物を置いて育てるのも有効です。

入浴時に湯船につかるようにする

入浴時に湯船につかって体の深部体温を高めると、副交感神経が刺激され、リラックス効果が得られます。

湯船には、時間を分けても良いので10分程度入浴しましょう。ただし、42度以上のお湯では交感神経が刺激され、反対に眠れなくなってしまうため、注意が必要です。

また、特に暑い夏場は、シャワーだけで済ませる人もいるかもしれません。しかし、冷房の効いた部屋にいることも多いため、体は思った以上に冷えています。夏でも湯船に入浴することを心がけ、心身ともにリラックスさせましょう。

きちんと睡眠をとる

睡眠は、心と体を同時に休ませてくれる数少ない休息方法です。良質な睡眠をとるためにも、帰宅後はリラックスできる過ごし方を心がけましょう。

例えば、就寝一時間前にはスマホやPCを触らないことが理想です。帰宅後もスマホやPCを操作すると、仕事関連のメールが届いたりなどで仕事のことが気になり、あれこれ考えてしまう要因となります。すると脳が活性化してしまい、眠れなくなるため、仕事とのオン・オフを意識する上でも気をつけるようにしましょう。

仕事の時間とのスイッチを切り替える!

睡眠によって心と体を休めることは、翌日の仕事への原動力にもつながります。しかし、仕事の夢ばかり見てしまうことで、現実の仕事でパフォーマンスが発揮できなければ本末転倒でしょう。良質な睡眠をとるためには、ストレスの原因をできるだけ取り除き、仕事とのオン・オフを切り替えることが大切です。紹介したストレス解消法を取り入れ、心身のコンディションを整えるよう心がけましょう。

また、直接的な原因である、職場環境や性格について今一度見直してみることも重要です。できることから少しずつ改善に取り組み、悪循環から抜け出していきましょう。

監修:精神科医・産業医 井上智介
島根大学医学部を卒業後、精神科医と産業医として活動し、産業医としては毎月30社以上を訪問。企業の安全衛生管理や従業員の精神的ケアを担当し、ブログやSNS、講演会を通じて医療情報を発信している。精神科医としてはうつ病や発達障害、トラウマケアに力を入れ、「ラフな人生をめざすこと」をモットーに、医療情報を提供している。

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