- メンタルの強さは生まれつきのもの?
- メンタルが強い人の特徴は?
- メンタルが弱い人の特徴は?
- メンタルが強いことのメリットは?
- メンタルを強くする方法【基本の考え方編】
- メンタルを強くする方法【行動編】
- 自分の行動を変えてみることが第一歩
ストレスを感じやすいビジネスシーンでは、困難を乗り越えるためにメンタルの強さが重要視されています。メンタルの強さは生まれつきというイメージもありますが、後天的に鍛えることはできるのでしょうか。
本記事では、メンタルが強い人の特徴やビジネスにおけるメリット、メンタルを強くするための方法を、ストレスマネジメントやメンタルトレーニングに関する書籍も多数執筆している相場聖さんに伺った内容を基に、分かりやすく解説します。
メンタルの強さは生まれつきのもの?
メンタルと一口に言っても、もともと内向的・外交的な人がいるように、性格の傾向など、先天的な要因はあります。しかし、後天的な要因も大きく、普段の考え方や行動を変えることによって、メンタルは鍛えることができます。だからこそ、世の中でメンタルトレーニングと呼ばれているものが存在するのでしょう。
メンタルが強い人の特徴は?
それでは、メンタルが強い人には、どのような特徴があるのでしょうか。理由も併せて解説します。
柔軟性がある
メンタルの強さと我慢強さは混同されがちですが、ストレスにとにかく耐えるのはあくまでメンタルの強さの一要素でしかありません。それよりも大切なのは「柔軟性」です。大きなストレスがかかった時に「耐える」ことだけでは対処しきれないことも多くあります。本当の意味でメンタルが強い人は自分の中に多くの選択肢を持っているので、時には逃げたり誰かに頼ったりと、状況に合わせて柔軟な対応をすることができるのです。
自分に自信がある
メンタルが強い人は、自分に自信があることが多いです。自分に自信を持っている人は、 基本的には他人軸よりは自分軸で物事を考えるため、自分の信念をしっかり持っていてぶれることがありません。そのため、いい意味で周囲を気にせずに行動することができます。
様々な角度から物事・出来事を捉えられる
メンタルが強い人は、一つの出来事を捉えるときに、様々な角度から物事を考えることができます。たとえ思い通りにいかないことがあっても、困難として否定的に捉えるのではなく、「大変だったけど多くのことを学べた」と考えて、成長の糧にすることができるのです。
回復力がある
メンタルが強い人は回復力が高いです。「レジリエンス」という言葉がありますが、それは落ち込んだ状態から立ち直る力のことを指します。どんな人でもミスをしたら落ち込むのは当たり前ですが、そこからいかに回復できるかという部分は人によって個人差が大きいのです。メンタルが強い人はこの回復力が強く、気持ちの切り替えが早いので、困難な状況でも乗り越えていけます。
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メンタルが弱い人の特徴は?
一方、メンタルが弱い人の特徴にはどのような点が挙げられるでしょうか。考えられるものを見ていきましょう。
些細な出来事を必要以上に大きく捉えてしまう
メンタルが弱い人は、小さなことでも必要以上に大きく捉えてしまう傾向があります。そのため些細なことに一喜一憂し、安定性を欠いてしまうことがあるでしょう。
視野が狭くなりやすい
視野が狭くなりやすいこともメンタルが弱い人に見られる特徴です。一つの物事に対して一つの見方をしがちで、他の捉え方を思いつきにくい傾向があります。そのように悲観的になると、どんどん負のスパイラルに陥ってしまいます。
自分に自信がない
メンタルが弱い人は、自分に自信がないことも多いです。自分に自信がない人は、物事を自分軸で考えることが苦手なため、周囲からの評価を必要以上に気にしてしまう傾向にあります。
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メンタルが強いことのメリットは?
一番のメリットとしては、メンタルが強いとプレゼンや商談などの場で自信を持って振る舞うことができるため、言葉に説得力が出ることが挙げられます。それによって、上司や取引先から信頼を得やすくなることもあるでしょう。
それ以外でも、プレッシャーに強かったり、失敗しても立ち直りが早かったりと常にパフォーマンスが安定しているので、重要な仕事を任せられることが増えていきます。また、前向きな言動は一緒に働く人々にも良い影響を与え、職場全体の士気を高めることにもつながります。
メンタルが弱いことで生じる懸念とは?
大きな懸念としては、「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったら」など、自信のなさや不安からなかなか一歩目が踏み出せず、新たなチャレンジができないことが挙げられます。そういう人には上司も仕事を任せにくく、評価が下がってしまう可能性もあるでしょう。
また、仕事で失敗した時にしばらく気持ちを切り替えることができず、他の作業のパフォーマンスが低下してしまったり、ネガティブな言動で職場全体の士気を下げてしまったりすることも考えられます。
メンタルを強くする方法【基本の考え方編】
メンタルを強くするためには、 軸となる基本的な考え方を理解した後に、普段の行動を変えていくというプロセスを踏む必要があります。
まず理解しておきたいのは、メンタルを強くする方法の軸となる考え方の一つである「SOC(sense of coherence)」というものです。これは医療社会学者のアーロン・アントノフスキーによって提唱されたもので、日本語で直訳すると「首尾一貫感覚」といいます。
SOCは「有意味感」「把握可能感」「処理可能感」という3つの要素から成り立っていて、メンタルを強くするためには、この3要素を理解する必要があります。それぞれの概要について見ていきましょう。
有意味感
有意味感とは、「物事に対して意味付けできる力」のことを指します。落ち込むような出来事や辛いことがあった場合も、単に悲観するのではなく、ある部分では教訓になった、次につなげようという意味付けがきちんとできることが、メンタルを強くする上で重要です。
把握可能感
把握可能感とは「先を見通す力」のことを指します。現在置かれている状況だけを考えると耐えられないようなことでも、数年、あるいは数十年先を見通して、今は何かを達成するための通過点であると俯瞰することで、今を耐える力が生まれるのです。
処理可能感
処理可能感とは、「乗り越え感」というと分かりやすいかと思いますが、「なんとかなる」「乗り越えられる」といった感覚を指します。この感覚を持っていることによって、ここぞという時に踏ん張ることができます。
メンタルを強くする方法【行動編】
メンタルを強くするための基本の考え方を理解した後は、それを踏まえて職場や普段の生活の中での行動を変えていきましょう。まずは下記の行動を習慣づけられるよう意識してみてください。
常に自分に質問を投げかける習慣をつける
有意味感を高める方法として有効なのが、自分に対して「この経験から何を学べた」「この経験は何を教えてくれた」という質問を投げかけること。これを繰り返し、習慣づけることによって、物事の捉え方の角度を変えることができるようになります。
例えば、仕事でミスをした際にも、落ち込む前にこの質問を自分に投げかけることによって、ミスをマイナスではなく成長につながるプラスの出来事として捉えることができるのです。
目先の状況に囚われず、常に先のことを考える
把握可能感を高めるためには、目先の状況に囚われすぎないこと、ある程度先のことを考えて、そこから逆算して今を考えるように習慣づけることが大切です。
たとえば不本意な異動があったり、仕事内容に不満があってモチベーションが下がっていたりする場合には、数年後、十年後を視野に入れて考えてみましょう。もしかすると、今の状況は成長のために必要な経験かもしれません。そのように捉えると、状況そのものを変えることができなくても、今やるべきことに対して前向きに取り組むことができるはずです。
小さな目標を立てて、成功体験を積み重ねる
小さな目標を立てて、それをクリアするごとに自分を承認してあげると、処理可能感が高まります。
仕事をする上でもいきなり大きな成果を求めるのではなく、目標をできるだけ細分化して設定し、「できて当たり前」ではなく、クリアするごとに自分自身の努力を褒めてあげることが大切です。それを繰り返し行っていくことで成功体験が積み重なっていき、少しずつ自信がついていきます。最終的には困難に直面しても「なんとかなる、乗り越えられる」と思えるようになるでしょう。
ストレスをコントロールして自分にとっての「刺激」にする
「有意味感」「把握可能感」「処理可能感」の3要素の他に意識しておきたいのは、ストレスとの付き合い方です。
ストレスというと否定的なイメージがありますが、実はある程度の刺激やストレスがある方が、自分の能力を発揮できるともいえます。生きている限りストレスから逃れることはできませんが、ストレスを自分でうまくコントロールして、エネルギーに変換するという発想があれば、プレッシャーを逆手にとってプレゼンや商談に挑むことができるでしょう。
自分の行動を変えてみることが第一歩
メンタルの強さは持ってうまれたものではなく、自分の意思で鍛えることができます。まずは、習慣や行動を見直してみましょう。心持ちが変わると、仕事に対するモチベーションも変わってくるかもしれません。成功体験を積み重ね、ストレスをコントロールすることで、ビジネスにも大きなメリットを与えてくれます。少しだけ意識や行動を変えてみることでメンタルを強くすることができるので、ぜひ、その一歩を踏み出してみてください。
監修: 相場聖
組織活性化コンサルティング事業を展開する株式会社ヒューマンエナジー代表取締役。株式会社メンタルグロウの代表取締役も兼任。心理の専門家として、多くの企業や官公庁・地方自治体、大学などに対して、メンタルヘルスやストレスマネジメント、チームビルディングやコーチング、モチベーションや対人コミュニケーション、メンタリング、メンタルトレーニングなどに関する教育研修や講演を数多く実施。代表著書は『ビジネスパーソンのための折れないメンタルのつくり方』。
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