世界のトッププレーヤーとなった錦織圭選手。彼が飛躍を遂げた背景には、「勝てない相手はもういないと思え」と徹底して伝え続けた、マイケル・チャンコーチによるメンタルトレーニングがあったといいます。
皆さんも仕事をしていて、「私なんかにできるはずがない……」と思うことはありませんか? この心理はセルフ・ハンディキャッピングと呼ばれ、意欲を削ぐものと考えられています。精神科医である、ゆうきゆうさんは次のように言います。
「例えば、“今日は体調が悪いからうまくプレゼンができず、企画が通らないと思う”といった、やる前から失敗を見越した言い訳をするセルフ・ハンディキャッピングは、ビジネスシーンであれば周囲の不快感を誘いますし、なにより自分自身が仕事に対して意欲的ではなくなります」
そこで今回はゆうきゆうさんに、セルフ・ハンディキャッピングを克服して錦織圭選手のように強いメンタルを手にいれる方法をお聞きしました。
セルフ・ハンディキャッピングのメリット・デメリット
セルフ・ハンディキャッピングには、メリットとデメリットの両面があるようです。
◎メリット:失敗したときのダメージが減る
「セルフ・ハンディキャッピングは、自分が得意ではないと分かっている・苦手としているものに立ち向かうとき、努力して立ち向かうのではなく、あえて“自分は今はこういう状態だから”と理由づけを行うことで、失敗のダメージを減らし、成功したときの評価を高くする効果があります」(ゆうきゆうさん:以下同じ)
◎デメリット:向上心が削がれ、挑戦や努力をしなくなる
「“負けても大丈夫”“失敗しても仕方がない”“どうせやっても無理だった”というように、向上心が削がれ、最初からチャレンジしなくなったり、言い訳ばかりで必要な努力ができなくなってしまうことも多いです。
自己防衛のための言い訳は、あまりポジティブな結果をもたらさず、結果的に、成功に結びつきづらくなってしまいます」
セルフ・ハンディキャッピングを克服する4つの方法
それでは、そんなセルフ・ハンディキャッピングはどのように克服したらいいのでしょうか。
1.「できる!」と宣言する
やる前から「できる!」と宣言してしまったら、できなかったときに恥ずかしいと思うかもしれません。しかし、ゆうきゆうさんは次のように言います。
「“背水の陣”という言葉があるように、人は後に引けない状況でこそ力を発揮できるという面もあります。なので、あえて“次の企画は自信がある”“絶対に契約をとる”と先に公言してしまったほうが、自分のできる限りの力を発揮しようとするので、実力以上の結果を得ることができます」
今度のプレゼンや商談のときは、ぜひ同僚や上司に対して、「できる!」宣言をしてみてはいかがでしょうか。
2.「失敗したら、恥ずかしい」という気持ちを捨てる
日本は「恥の文化」を持っているといいます。しかし、セルフ・ハンディキャッピングを克服するには、恥を捨てることも必要なのだとか。
「失敗をした場合の自分自身や他人への言い訳のために、セルフ・ハンディキャッピングを行っている人はとても多いです。それは結局“失敗した自分が恥ずかしいから、そうならないように保険をかけておこう”という行動といえます。ネガティブな自己評価を受け入れていくほうが、メンタルは強くなります」
つまり、失敗してもそれが自分自身の実力。そんなあるがままの自分自身を受け入れる必要があるのではないでしょうか。
3.失敗しても言い訳をしない
始めからうまくいく人はいません。誰しも失敗することで成長していくものです。失敗したときに言い訳をしてしまうと、そんな成長のチャンスを逃してしまいます。
「言い訳ばかりしている人を客観的に見ると、“実力もないのに自分以外のせいにしている”と感じます。一方で、言い訳をせず努力を続けている人であれば、例え失敗しても評価は高いものです。失敗のダメージよりも、“上司や同僚からどう見えるのか?”という視点を持つことが大切です」
なかなか自分を客観的に捉えることは難しいものです。だからこそ常に「まわりからはどう見えるか」を意識する必要がありそうです。
4.“できる理由”を用意して成功のイメージを膨らませる
一つ目に書いた、「できる!」と宣言することに加えて、できる理由を具体的に用意するといいそうです。
「“できない理由”を用意することで失敗のダメージを減らすのではなく、逆に“できる理由”を用意して成功のイメージを膨らませてみましょう。
例えば、営業先の情報から自分ができる最大限の配慮を行ってみる、などして自分への期待値を高めるほうが、成功への道筋が見え、より努力することができるので、能力も向上していきます。
なによりも、“できる!”という気持ちをより高めて仕事に取り組むことで、仕事が格段に面白くなり、成功に結びついていくのです」
謙虚な人こそセルフ・ハンディキャッピングを克服しよう!
ゆうきゆうさんによれば、日本では謙虚さがよしとされるために、セルフ・ハンディキャッピングをしてしまう人が多いとのこと。
セルフ・ハンディキャッピングに陥りやすい日本人だからこそ、セルフ・ハンディキャッピングの克服法は、大きな成果を発揮するともいえそうです。ぜひ、今回紹介した4つの方法を実践してみてくださいね!
※この記事は2015/09/21にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
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