furi-kake編集部では、最新ガジェットによって私たちの生活がどう変わるのか、その未来の可能性を連載形式で紹介していきます。
第一弾で紹介するのは、” Hyperlink of Things(R)”“ググらせない”というコンセプトを掲げる"スマートプレート"。
簡単に紹介すると、モノにスマホをかざすだけでその場所で必要であろう情報を、検索することなく、取得できる仕掛けです。
スマートプレートを開発し、事業展開する株式会社アクアビットスパイラルズ(東京都港区)の広報・渡辺悠子さんにお話を聞いてきました。
スマートプレートとは?
ーーースマートプレートはどんなサービスですか?
スマホをかざすだけでデジタルコンテンツが開くというシンプルな仕掛けです。モノと情報をつなぐ「ラスト1インチ」を担い、検索エンジンやアプリに頼らない情報配信をリアルな世界に広めようとしています。
※NFC対応機種のみ。それ以外はアプリで対応
ーーーQRコードみたいなものでしょうか?
QRコードも近いことは実現可能ですが、スマートプレートで配信する情報は、一度セットした後も何度でも簡単に変更が可能です。さらに、ユーザーの利用状況(アクセス)も可視化できます。
ーーースマホをかざすと必要な情報がブラウザで出てくる仕組みなんですね。これは確かにググらなくてもいい!
私たちは”デジタルの世界”と”リアルなモノや場所”を直接結びたいと思っていて、これを「かざすだけの瞬間コミュニケーション」と表現しています。
ーーー普通の検索のようにキーワードを考える必要もないのですね。
そもそもキーワードがわからない瞬間もあると思うんです。海外に行ってその国の言葉がわからなかったり、初めて見た建物や作品の情報を調べたくてもキーワードに何を入れたらいいのかわからないとか。
つまり、今ある検索は万能ではないシーンもあり、そんなときにスマホをかざすだけで欲しい情報を得られたら便利だよね、という発想でスマートプレートが完成しました。
ーーー実はインタビュー前にスマートプレートについてググらせてもらったのですが、「これは生活が便利になりそうだな」と思いました。
お買い物など便利になりますね。オムツやビールなど、かさばったり重いものはスマートプレートをかざしてきて、あとでオンライン(ECサイト)で購入して家に届くようにすると良いなと思います。
売る側としても在庫を抱える必要がなく、例えば街ナカや駅ナカの壁面に写真を貼るだけで、売り場を作ることもできます。
「TOKYO SHIRTS」での活用事例
ーーー9月にオープンしたシャツ専門店「TOKYO SHIRTS ウイング新橋店」でスマートプレートが導入されましたよね。
歴史ある老舗シャツメーカーさんですが、店頭で面白い仕掛けができないかとお問い合わせをいただきました。そこでスマートプレートを設置してお客様には手ぶらで帰ってもらう仕組みを作りました。
ーーー商品を買わずに手ぶらで帰っちゃうんですか?
そうなんです。店頭にも数点商品は置いてあり、デザイン、生地、サイズ感は確認してもらいます。気になった商品はスマートプレート経由で自分のスマホにデータを保存し、持ち帰ることができます。
あとは、移動時間など空いている時間に、好きな場所で公式通販サイトから購入し、家に届く、というイメージです。
ーーー手ぶらで帰れるなら、お店に寄った後に用事があっても荷物にならなくて済みますから助かりますね。
そうですね、まさにそれが狙いでした。立地的にも忙しいサラリーマンが行き交う場所なので、スマホをかざすだけで素早く買い物ができるスマートプレートの利点を出せています。
「手ぶらでショッピング」は我々としても数年前から提唱していた仕掛け。スマートプレートを使うことで、店頭からECサイトに繋げ、かさばる商品を持ち帰らず、簡単にお買い物ができるという、消費者にとっての利点があります。
また、お店側としても、店頭に在庫を抱える必要がなく、店頭でのオペレーションの簡潔化を目指すことができる、というメリットがありました。こういった店舗はこれからももっと増えていくと思っています。
このように、スマートプレートで街とネットの情報がもっともっと繋がって、便利な世の中を作りたいなと思っています。
スマートプレートは家の中でも使える?
ーーースマートプレートは「TOKYO SHIRTS」のように、お店での利用が多いのでしょうか?
これまでさまざまな事例を作ってきたので、お店での利用だけにとどまりません。スマートプレートの利用シーンは大きく2つに分かれます。
まず1つが設置型。公共の場所に1個のスマートプレートを置いて複数のユーザーがタップするものです。「TOKYO SHIRTS」もその1つですし、例えば街ナカの壁面や、店頭POP、ホテルや観光案内所など、外国人観光客が多く集まる場所などもその事例です。
もう1つは「モノにICチップを埋め込んで直接ユーザーに配ってしまう」こと。商品パッケージに入れて商品情報を見てもらったり、マグネット形式やカード形式にすると配りやすく、冷蔵庫の扉などに貼ってもらえるようにもなるんです。
ーーーなるほど。家の中でもスマートプレートは活躍するのですね。
マグネット形式を使った事例として、宅配ピザチェーン「ピザハット」のスマートプレートをご紹介しますね。ICチップを埋め込んだマグネットを作って、ピザを頼んだお客様に無料配布したのです。
ーーーそこから注文するわけですね。
そうです。マグネットからメニューなどの情報が見れて、注文もできる。決済を終えてしばらくするとピザが家に届きます。
ここまでは普通だと思うのですが、面白い仕掛けとして、1日1回ルーレットチャレンジができます。ルーレットを回して、なんらかのクーポンを取得することができるのです。
ーーークーポン配布とはオトクですね!ピザを食べない日でも見たくなります。スマートプレートのある場所ならどこからでも注文できるんですか?アウトドアでも可能?
公共のレンタルオフィスだったり、お花見シーズンに桜の木にスマートプレートを貼っておけば集まった人が商品を頼むことだって可能です。
埋め込まれている個別IDで場所は管理されているので、ちゃんと注文した桜の木の場所に届きます。
ーーーお花見の場所にビールやピザを届けてもらえると、自分で持っていく荷物も減らせるし、みんなで選べる楽しみも増えそうですね。
スマートプレートで描かれる未来予想図
ーーースマートプレートのシンボルマークが「Wi-Fiのマーク」のように誰が見てもなにを表現しているかわかるくらい普及すれば、どのような場所でも「情報が取得できるんだ」とユーザーに認知されているので、ユーザーにとっては便利になりますよね。
そうですね。スマートプレートのマークを見かけたらその場所で必要であろう情報が得られたり、ちょっとお得な何かを得られたり……みたいな。
だから、スマートプレートのシンボルマークを誰が見てもわかる状態を早く作りたいですね。
ーーーこれは一度体験するとハマりますよ。簡単だし楽しいです。まだまだ可能性が広がりそうなスマートプレートですが、今後理想とする世界観などはありますか?
スマートプレートのシンボルマークが色んな所に貼ってあって、これを見るだけでユーザーは何をしたらいいかすぐにわかる。かざせば必要としている情報が得られて、それが次に繋がる仕掛けを作りたいです。
将来的にはスマートプレートを使用した履歴からその人の思考を判断して、その人に適したコンテンツを出すことをやろうとしています。
モノには全てIDが埋め込まれていて、それで情報が管理される世の中は来ると思います。
ーーーたとえば服などにもスマートプレートが埋め込まれていて…?
はい、ピッってやるだけでサイズとか素材とか、製品情報はもちろん、どこでつくられたものなのか、どこで買ったものなのかがわかりますし、ブランド品だったら本物かニセものかもわかりますね(笑)。
洋服ならタグに埋め込んだりできるので、そういう未来も来るかもしれません。
ーーーみんながシンボルマークを認識して使うようになると、本当に便利な世の中になりそうですね。
私たちは”かざしてつながる文化”を創っていきたいと思っています。
スマートプレートのシンボルマークをみんなが普通のアイコンとして知っている、見つけたらすぐにかざしてくれる未来を創っていきたいですね。
ーーーありがとうございました。
”ググらない”が当たり前になるかもしれない未来
現在、知りたいことがあった場合は、キーワードを入れて検索して…という一連の動作が普通だと思います。
しかし、スマートプレートが普及してくれば、スマホをかざすだけで知りたいことを知ることができる世の中になります。「TOKYO SHIRTS」での事例のように、日々の買い物もすべて手ぶらで行える日がくるかもしれません。
この記事を読んでいるいま、あなたの周りには何がありますか?あなたの周りにあるもの全てにスマートプレートが埋め込まれていて、ピッと簡単にさまざまな情報を取り出せる未来がきたら…ワクワクしませんか?
家の中で、外出先で、「かざすだけの瞬間コミュニケーション」は、きっと私たちの生活に自然と溶け込んでくるのではないでしょうか。
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