ゲームをして年収1億円超!? 話題の「プロゲーマー」になる条件

ゲームは仕事の空き時間にするもの。そう思っていませんか?

ゲームをして年収1億円超!? 話題の「プロゲーマー」になる条件

ゲームは仕事の空き時間にするもの。そう思っていませんか?

世の中には、ゲームをすることで生計を立てている人たちがいます。それも、トップともなれば年収は1億円を超えるとのうわさ。「プロゲーマー」と呼ばれる職業の人々はゲームの大会で全世界を転戦しながら、賞金やスポンサーからの固定給などで生活費を稼いでいます。

日本では、梅原大吾氏とときど氏という、格闘ゲーム(通称「格ゲー」)の2大プロゲーマーが代表格。2人の経歴は華々しく、梅原氏は2010年に「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス認定され、ときど氏も「世界のゲーム大会における優勝回数世界一」という肩書きを持っています。ゲームをしてお金をもらえるなんて最高! と言いたいところですが、世の中そんなに甘くはありません。今回は2人の著書、『勝ち続ける意志力(梅原大吾)』・『東大卒プロゲーマー(ときど)』をもとに、プロゲーマーという仕事に迫ります。世界のトッププロとして戦い続ける彼らの努力と、うちに秘めた覚悟とは?

筋トレから食事管理まで、全てはゲームに勝つために


世界のトップとしてプロゲーマーの世界で戦い続けるための生活は、まるでアスリートです。梅原氏は、一年のうち大みそかと元日以外の363日は、ひたすらゲームの練習をしているとのこと。一日のゲーム練習時間は6時間と決め、それ以外の時間も筋トレやコラムの執筆を行う毎日。

一方のときど氏は、一日最低8時間は練習をしているそうです。彼の一日は、起床後にジムで体を鍛えることからはじまります。その後は自身のマネジメント会社「TOPANGA」の事務所でひたすら練習。これを平日・休日の隔てなく繰り返しているのだそうです。2人ともひたすらゲームばかりやっているように思えますが、「美味しい食事をしたり、体を動かしたりすることが、結局はゲームにも生きてくる(梅原氏)」「食事も栄養バランスを心掛け、プロテインも飲んでいる(ときど氏)」と、体調管理を怠りません。

生活のほとんどすべてを、「ゲームで勝つこと」に集中させる、ストイックな生活が垣間見えます。

安定を捨てても、自分らしくありたかった


彼らはどうして、そこまでひとつのことに人生を懸けることができるのでしょうか。プロゲーマーになるまでの彼らのキャリアからひも解いてみましょう。梅原氏は14歳で国内最強のプレイヤーになり、17歳で世界大会優勝。順調にプロゲーマーとしてのキャリアを歩んでいるかに思えます。

しかし、一時期ゲームの世界を離れている時期があるそうです。23歳のころから3年ほどマージャンに打ち込んでいた梅原氏。雀荘でアルバイトをしながら強い雀士のプレイを分析し、日々マージャンを研究していました。その実力は徐々に伸びていき、プロの雀士とも卓を囲んでいた雀荘のオーナーから、「5本の指に入る」と言われるまでになります。

しかし、梅原氏はそのままプロの雀士にならずに、介護の現場で働くことになるのです。梅原氏の両親が医療関係で働いていたからでした。彼は「人から感謝されるのが新鮮だった」と介護の仕事を回想しています。

結局、梅原氏は格ゲーの世界に舞い戻ります。数年のブランクがあったのにもかかわらず勝利を重ねる自分に、本来のやりたかったことを取り戻した自分を見つけたのです。そしてゲームの周辺機器メーカーからのスポンサー契約を受けることで、プロゲーマーとしてのキャリアを歩み始めます。

一方のときど氏は、麻布中学・麻布高校から東京大学理科I類に入学。大学では工学部マテリアル工学科に進学し、その後大学院まで進んでいます。大学時代には執筆した論文で、学部生が受賞するのは珍しいとされる「ポスター賞」を受賞しました。しかし一転して大学院を中退し、公務員志望に転向します。

ときど氏も結局は格ゲーの世界に戻るのですが、そのきっかけとなるのが多くの友人・知人からのアドバイスでした。「東大を出て官僚になるなんて、あなたじゃなくてもできること」「この業界(格ゲー業界)が、おまえの考えるとおりに発展していったとしたら、『東大卒』の肩書きをきっと、そこで役立てられるはずだよ」といった言葉を受けて、プロゲーマーとしての道に進む決心をするのです。

2人に共通するのは、一度は親と働いていたり、安定した収入があったりと、より安全な道に進むも、結局はゲーマーの道に戻っているということ。その決意の裏には、「その仕事をしていなければ、自分らしくいられない」という切実な思いがあったのです。

自らが業界を発展させていく覚悟はあるか


梅原氏は「いまが一番(強い時期)でなければ、プロを名乗るべきではない」と話しています。調子の善しあしにムラがあるようではプロとはいえない。常に良い状態でなければアマチュアだということでしょう。ときど氏は、プロとアマチュアの違いについて「それは業界の発展をどれだけ考えているかだ」と話しています。「いいプレイを見てもらい、格ゲーに興味を持ってくれる人を増やし、格ゲーシーンの『分母』を増やしていく。これこそ、格ゲー業界を発展させるための、もっともシンプルで力強い手段だと思う」とも。

プロと名乗るのですから、趣味のゲーマーとは違い、「勝ち続ける」ことが求められるのです。勝ち続けることがスポンサー企業への報いであり、ひいては格ゲー業界全般を盛り上げることになります。この、自らの活躍が業界を発展させていくんだという覚悟が、世界でトップを獲るプロゲーマーの条件なのです。


私たちはゲーマーのように個人戦ではなく、会社というチームの中で働いています。しかし、プロとしての役割があるという意味では、彼らプロゲーマーから学ぶべき点はたくさんあります。

2人の著書には、このほかにも仕事に真摯に向き合うことの大切さがたくさん詰まっています。日頃、自分の仕事に対して本気になれていないと感じたら、彼らの本を読んで刺激を受けてみてはいかがでしょうか?


※この記事は2014/10/02にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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