お金にまつわる問題は、全ビジネスパーソン共通の切実な悩み。なかなか貯金が増えないし、何から始めたらいいのかわからない……という人も少なくはないはず。
そこで今回はファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーであり、『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方(日経BP社)』など、お金関連の書籍を多数執筆している山崎俊輔さんにインタビュー。
お金を貯めるルール、家計簿の付け方、節約方法、貯蓄のコツ、銀行やクレジットカードとの付き合い方など、スムーズに貯金を増やすために役立つ情報をたくさんご紹介します。
今のうちに十分なお金の知識を身に付けましょう!
貯める人になるための「基本ルール」
貯金を増やしたいと思ったとき、「まずは節約からだ!」…という方は多いのではないでしょうか? しかし、はじめに必要なのは「貯めるルール」を知ることだと山崎さんは言います。まずは基本の考え方を押さえましょう。
ルール1.まずは「支出ダウン」よりも「収入アップ」の方法を探そう
「いたってシンプルなことですが、収入を増やして支出を減らせばお金は貯まります。若手のみなさんにまず考えていただきたいのは、『収入を増やす』ということ。単純に働く時間を増やすのではなく、自分の時給を上げる方法を考えましょう。
自分の会社の賃金規定は知っていますか? たとえば、仕事に必要な資格を取れば資格給を得られるなど、いくつか給料が上がる方法があると思います。方法次第でお金の面だけではなく、スキルアップにもつながりますよ」(山崎俊輔さん:以下同じ)
ルール2.お金の貯め時は人生に3度ある
「これは、結婚をして子供を育てると仮定した場合ですが、『独身時代』『新婚時代(子供が生まれるまで)『定年直前(子供が社会人になった場合)』が人生の貯め時と言えるでしょう。現在、独身または新婚の方であれば、今がまさに貯め時です。ここで貯められると人生がぐっと楽になりますよ」
ルール3.節約のコツは「満足度を落とさずに安く買う」こと
「節約をガマンだと思っている人は多いのですが、実はそうではありません。節約のコツは、できるだけ満足度を減らさず、より安く買う工夫をすること。たとえば、コンビニで買っているお茶やお菓子をスーパーやネットで買う、モノを買うときは最安値を調べてから買うなど。これなら節約しても不満はないですよね。ちょっとの手間ですが、積み重なれば大きな額になります。
また会社周辺でランチをするときも、お得な価格帯のお店があれば一度入ってみてください。案外、安くておいしい当たりのお店があるかもしれません。節約は保守的になるのではなく、チャレンジ精神でいきましょう」
貯金を増やすための具体的な3ステップ
続いては、具体的に貯金額の目標を決めて、スムーズに貯金をするためのコツをご紹介します。この3ステップを着実に踏むことが、貯金を増やす早道になるはず!
ステップ1.現状把握のために家計簿をつけよう。家計簿はスマホアプリなら簡単ラクラク!
「貯金するにあたり、家計簿を付けるのは鉄則です。家計簿を楽に続けるためのコツは、スマホアプリを使うこと。また、『10円単位で付ける』『費目を10個以内に押さえる』『数時間おきにカメラ撮影で記帳する』ことができれば実は家計簿も簡単に作れます。
また、家計簿をつけるとき、何にお金を使ったか思い出す時間って手間ですよね。これをなくすために、1日に何度かレシートをパッとカメラ撮影して記録してしまいましょう。
アプリは検索してみると無料でたくさんあります。いくつかダウンロードして試してみましょう。『あ、これつけやすい』とか『アイコンがかわいいからホーム画面においてもいいかな』と思えれば、それがあなたにとって“いい家計簿アプリ”です」
ステップ2.家計簿を参考に現実的な目標額を定めよう
「やみくもに貯金しようとしても、お金はなぜか貯まりません。確実に貯金するためには、現実的な目標設定がカギになります。そのために、まず家計簿で目安を知る必要があるんです。
家計簿で支出の内訳を把握したら、どこが削れるか、逆にどこは削りたくないかを考え、毎月の貯金額を設定しましょう。目標を高くしすぎると、どうしてもストレスが伴って続かないので、手が届きそうな金額から始めるといいですね」
ステップ3.手元のお金を使ってしまう人は、会社の財形や自動積立定期貯金を活用しよう
「現実的な目標を定めたら、毎月お給料が振り込まれる前に貯金したい額を貯めてしまうのがベストです。会社員の方なら、給料や賞与から天引きで差し引かれる財形貯蓄制度を利用するのがオススメ。どうしても続けるのが難しくなったときは中断もできますし、急な出費でお金が必要になったら解約すれば、貯めたお金は返却されます。
会社に財形貯蓄が導入されていない方や個人事業主の方などは、銀行の積立預金を使うと便利です。毎月、積立日に自動的に決めた額が預金に回され、手元に残るお金が少なくなるため、自然とムダ使いが減っていきます。こちらも中断や解約ができますのでまずはやってみてください」
銀行・クレジットカードとの正しい付き合い方
最後は、銀行やクレジットカードとの正しい付き合い方についてアドバイスをいただきました。目標貯金額により早く到達するためにも、欠かせないポイントが満載です。
ポイント1.銀行はメインバンクとサブバンクを使い分けよう
「銀行ごとに手数料や金利など、さまざまな違いがあります。20代のうちは生活費口座とするメインバンクと貯金専用のサブバンク、2つの銀行を持っておくといいですね。
メインバンクは給料を振り込んでもらったあと、頻繁にお金を下ろすことがありますよね。ATM手数料が無料になる銀行を選びたいところです。一方、サブバンクは貯めるだけなので金利が良い銀行がベストです。手数料がかからないようまとめて下ろすと財布に現金がたくさん入ってしまうのでムダづかいの恐れがあります。手元に現金があったら、ついつい使ってしまいたくなるからです。できればこまめにおろして使いたいものです。
私のオススメは『新生銀行』。主要コンビニすべてのATM手数料が無料になるだけでなく、他銀行への振込手数料も月1回無料です。さらに月5,000円以上の積立投資信託を利用すれば、月5回まで他行への振込手数料が無料になるというメリットまで。ぜひ、銀行を味方に付けてくださいね」
※2018年5月現在の情報です。
ポイント2.クレジットカードは一括払いで。キャッシングはNG!
「まず、クレジットカードは1枚にまとめると、支出の管理がラクになります。使う際の鉄則として一括払いを選び、分割払いはしないこと。クレジットカードはポイントが付くから現金よりもお得になるのですが、分割払いの手数料(金利)を取られてしまうと、確実にポイントで得した分を上回り、割高な買い物になってしまいます。
手数料は2回までが無料で、3回以上またはリボ払いは有料です。ただ、2回払いができない店もありますので、基本的には一括払いのみと心得ておくと安心ですね。
また、クレジットカードに付いているキャッシング機能も使わないでください。これは金利が高い借金です。一度使うと翌月もまた借りてしまう、と借金がふくらむことがしばしばです。あなたが貯金をしたいのなら、絶対に使わないようにしましょう」
ルールに則って、無理なく賢く貯めよう
山崎さんいわく、「20代はお金の使い方を覚えるタイミング」だそう。十分な収入が得られずお金の悩みが多い一方で、収入を上げるための努力や堅実な節約をしやすい世代だからです。買い物の失敗も長い人生を考えればよい経験になります。
お金を貯めるルールを知り、貯金のステップを着実に踏み、金融機関と賢く付き合うことで、生活の満足度を落とさずに貯金を増やすことも夢ではないはず。いまのうちにお金の知識をしっかりと身に付け、「貯まる人」になりましょう!
(取材・文:小林 香織 編集:東京通信社)
識者プロフィール
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。
ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。近著に『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』(日経BP社)などがある。日経新聞電子版、東洋経済オンライン、AllAbout、ライフハッカー他、連載12本を抱える売れっ子FP。
URL:http://financialwisdom.jp/
※この記事は2018/06/25にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
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