
- 「所感」とはどのような意味?
- 「所感」のビジネスシーンにおける使い方・例文
- 「所感」の類語を整理
- 「所感」を述べる具体的な場面
- 「所感」の書き方のポイント・注意点
- 「所感」の書き方・例文
- 所感の書き方をマスターして仕事に活かそう
「所感」とは、主に研修・出張報告書・日報などを書く際に見かける言葉です。ビジネスで自分の「所感」を述べる場面では、上司から感想にとどまらず仕事につながる内容までを求められるでしょう。
本記事では、「所感」を述べる際の書き方を例文と一緒に解説します。
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「所感」とはどのような意味?
本来、「所感」とは「ある事について心に感じた内容」や、「感想」などを意味する言葉です。自分の考えを述べる際や、相手の考えを引き出す際に「所感」を使います。
しかし、ビジネスシーンでは「所感」を「感想」と異なる言葉として扱うことが一般的です。
「所感」のビジネスシーンにおける使い方・例文
ビジネスでは、「所感」という言葉を使って会話することがあります。各シーンにおける使い方を例文と一緒に確認していきましょう。
自分が所感を述べる場合
会議などの場面で、自分が所感を述べる際の例文は以下のとおりです。
昨日、先方の担当者と取引の条件などについて話し合いました。
わたしの所感としては、今回の取引は見送るべきかと考えています。なぜなら、先方が強く望んでいる条件で契約した場合に、当社の採算が取れないためです。
相手に所感を求める場合
また、上司に所感を尋ねる場合の例文が以下のとおりです。
(上司に、新規取引を検討中の会社についての報告書を提出して)
後ほど、〇〇課長のご所感をお聞かせ願えますでしょうか。
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「所感」の類語を整理
「所感」には、いくつか類語が存在します。混同しないように、それぞれの意味や違いを確認しておきましょう。
「所感」と「感想」の違い
「感想」とは、心に感じたことや、思ったことです。本来、「所感」と「感想」は同じような意味を持ちますが、ビジネスシーンでは区別されます。
一般的に、「感想」は、自分が感じたことを述べるだけで十分です。一方、ビジネスシーンで「所感」を述べる際には、感想に加えてそれをビジネスにどう活かすかまで求められます。
(商品を利用した顧客に、アンケート用紙への記入を依頼する際)
弊社商品に関するご意見・ご感想をお聞かせください。
「所感」と「所見」の違い
「所見」とは、(医師や教師などが)何かを見た結果の判断や、意見のことです。
「所感」と「所見」は同じような場面で使われます。ただし、「所感」には「感想」の意味合いも一部含まれているのに対し、「所見」には感想の意味合いが含まれていない点が主な違いです。
(上司に状況を説明する場面で)
最新論文で紹介されている新技術の実用性を確認するため、この分野に詳しい◇◇大学の〇〇教授に所見を伺いました。
「所感」と「見解」の違い
「見解」とは、「物事に対する考え方」「価値判断」「意見」などのことです。「所感」は主に何かを報告する場面で使われることが多いのに対し、「見解」は議論の場において組織や専門家としての考えや立場を示す際に使われる点が異なります。
上司:当社の〇〇プロジェクト、なぜペンディングになっているのか何か聞いている?
自分:はい。企画部と開発部の間で、仕様やスケジュールについて見解の相違があったと聞いております。
「所感」と「考察」の違い
「考察」とは、物事を明らかにするために、よく調べて考えをめぐらすことです。「考察」では、深く考慮することが必要な点が、「所感」と異なります。
(社内会議で)
先ほど◇◇部長からもご指摘いただいたとおり、〇〇エリアにおける当社の売上が急激に落ち込んでおります。そこで、本件に関して状況を考察し、資料にまとめました。
お手元のデータをご確認いただけますでしょうか。
「所感」と「講評」の違い
「講評」とは、「理由を述べつつ、自分の評価を述べること」です。「所感」は従業員が誰でも述べる機会があるのに対し、「講評」は一般的に上司のように指導的な立場にある人や、専門家などが述べる点が異なります。
(ピッチコンテストにおける受賞スピーチで)
審査員の皆さまからいただいた講評をふまえ、製品のブラッシュアップに努めてまいります。
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「所感」を述べる具体的な場面
ここから、「所感」を述べる具体的な場面を解説します。
日報
日報は、毎日業務内容やプロジェクトの進捗状況などを報告するための書類です。日報の締めには感想を述べるだけではなく、業務を通して気づいた課題や改善点を「所感」として加えることで、上司からのフィードバックを受けやすくなります。また、自分自身のモチベーション向上にもつながるでしょう。
研修報告書
研修に参加した際は、会社に戻ってから研修報告書を作成することが多いでしょう。研修報告書には、日時や受講場所、研修内容などを記載した後で、「所感」や「所見」を述べることが一般的です。
研修報告書の「所感」には、研修で学んだ知識を今後の業務にどのように活かしていくのかを盛り込むとよいでしょう。
出張報告書
出張した際は、成果や経費などを説明するために出張報告書を作成します。出張報告書にも、出張概要やスケジュール、成果などに加えて所感を述べることが一般的です。
出張報告書の「所感」には、出張先で新たに気づいたことや改善点、面談相手や市場の印象などを盛り込みます。
朝礼やスピーチ
毎日、朝礼で3分間スピーチなどの機会を設けている会社・部署もあるでしょう。とくに、朝礼で自身の業務に関するトピックを取り上げる場合に、ただの業務報告にとどまらず、所感も求められることがあります。
年頭所感
年頭所感とは、年始に関係者に向けてコメントを発表することです。企業や団体の代表者が述べることが一般的ですが、広報担当になった際に自社の年頭所感発表の場面に携わる可能性もあります。何のことかわからず戸惑うことがないように、用語を覚えておきましょう。
「所感」の書き方のポイント・注意点
「所感」を相手にしっかり伝えるために、いくつか気をつけなければならない点があります。ここで、「所感」の書き方のポイントや注意点を解説します。
簡潔な内容を心がける
「所感」は作文や感想文とは異なるため、必要な情報を上手にまとめて簡潔な内容にすることを心がけましょう。文章が長いと、読み手に「結局何を伝えたいのだろう?」と戸惑わせてしまいます。
また、報告内容に含まれていないことを「所感」に突然記載したり、前半部分と後半部分で矛盾したことを述べたりすることも避けましょう。
感想にとどめず仕事につながる内容にする
ビジネスシーンにおいて「所感」は「感想」と区別されるため、「所感」を求められたら仕事につながる内容を意識しましょう。
例えば、研修に参加して報告書を提出する際に、「講師の話がとても面白かったです」ではただの感想です。「所感」にするためには、「講師がおっしゃっていた〇〇の方法が、とても斬新で興味深い内容でした。当部署にも、導入できるのではないかと考えます」とまで述べなければなりません。
読み手を意識する
読み手を意識した上で「所感」を述べることがポイントです。例えば、他部署とも共有する文書であれば、専門用語だらけだと相手に伝わりません。わかりやすい言葉で置き換えるか、補足説明を加えるなどしましょう。
また、最終的に役員まで回るのか、部署内で完結するかによっても意識すべきポイントが変わります。役員も読む報告書であれば、経営にも関する情報を入れることも意識しましょう。
最初に結論を述べる
「所感」を述べるにあたって、結論を最初に持ってくることもポイントです。
「所感」に限らず、文章を記述する際はPREP法を意識するとよいでしょう。PREP法とは、Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、再びPoint(結論)の順で述べることで理路整然と話を進める方法です。
数字を用いる
「所感」の中には、積極的に数字を盛り込むようにしましょう。数字を入れることで、読み手は内容をよりイメージしやすくなります。
例えば、出張報告書に「今回の出張では、多くの現地企業と面談できました」と記載するよりも、「今回は現地の企業10社と面談できました。そのうち2社は当社の商品導入に前向きな姿勢を見せているため、今後もコンタクトを続けます」とした方が出張の成果が伝わりやすいです。
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「所感」の書き方・例文
ここから、「所感」を盛り込むシーンごとに、書き方や例文を紹介します。
日報に盛り込む場合
日報の「所感」を書く際は、現状の業務で改善すべきところはどこなのか、現在の進捗状況についてどのように考えているのかなどを意識するとよいでしょう。
「所感」で進捗状況についての考えを記載した例文が、以下のとおりです。
今回の成約により、当グループの目標達成率が75%に達しました。
しかし、残り25%を達成するには、交渉できる候補先があまりにも少ないです。
そのため、顧客リストの洗い直しが必要と考えております。明日から〇〇さんと一緒に洗い直し作業を進めます。
研修レポート・報告書に盛り込む場合
研修レポートや研修報告書の「所感」を書く際には、研修で学んだことと業務との関連性を意識することが大切です。以下の例文では、学んだことを自分の業務に取り入れる決意を述べています。
今回参加させていただいた研修で、講師の〇〇先生がおっしゃっていた□□がとくに印象的でした。
□□を当社社員が徹底すれば、さらなる生産性の向上を期待できるのではないでしょうか。
まずは、自分で早速明日から実践してみたいと考えております。
朝のスピーチに盛り込む場合
朝のスピーチでは、一例としてまず同僚が関心を惹く話題を挙げ、業務にどう活かすかを「所感」として述べるということができます。
(昨日、地元のスポーツチームが優勝したことを紹介し)
序盤は最下位にまで落ちることもありましたが、諦めずチーム一丸となって試合に挑んだことが、優勝という素晴らしい結果につながったのではないでしょうか。
現在、〇〇課の目標達成率は70%と、厳しい状況にあることは否めません。
しかし、諦めず打開策を見つけ、互いに協力して進めていけば、今期の目標をきっと達成できると考えております。
所感の書き方をマスターして仕事に活かそう

ビジネスシーンにおいて「所感」は感想だけでなく、それをビジネスにどう活かすかまでを説明する言葉です。「所感」を述べる機会があるのは、出張や研修の報告書を提出する場面や、朝礼でスピーチする場面などです。
「所感」を述べる際のポイントとして、簡潔にすることや仕事につなげる内容にすることなどが挙げられます。「所感」の書き方をマスターし、仕事に活かしましょう。
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