増加している男性へのセクハラ。多様性に伴う、LGBTへの配慮も必要不可欠

前回、昨今のセクシュアル・ハラスメント事情についてお伝えしましたが、セクハラの被害者は女性だけではありません。近年、問題として認識されるようになった“男性へのセクハラ”、“LGBTへのセクハラ”について、山田・尾﨑法律事務所所属の脇まゆこ弁護士にお聞きしました。

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男性へのセクハラとはどんなもの?女性から男性へのセクハラ事例も

男性へのセクハラも、女性へのセクハラと基本的には同じです。男性に対しても、容姿や服装に関する発言や身体接触などで不快な思いをさせたり、拒否した場合に不利益を与えたりすれば、それはセクハラになります。

男性から男性へのセクハラとしては、酒席で裸踊りをさせる、キャバクラや風俗店に行くことを執拗に誘う、猥談に付き合わせるなどがあります。

女性から男性に対するセクハラでは、容姿や服装について発言したり、恋愛経験や性体験について執拗に尋ねたり、「太った?」などと体を触ったりするといった事例があります。特にセクハラに関しては、「女性も加害者になり得る」という意識がまだ十分浸透していないところがあるので、女性も十分に気をつけなくてはなりません。

こんな言動もセクハラに。ジェンダーバイアスに注意

男性だからといっていつも重い荷物を持たせたり、「男性なのにスイーツが好きなんて女性みたい」「男のくせに」などと発言したりすることも、男性へのセクハラに該当します。これは「男性はこうあるべき」というジェンダー・バイアス(男女の役割についての固定的な観念)に基づく言動で、正確にはジェンダー・ハラスメントとなりますが、広義でセクハラと言えます。男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、という風なジェンダーに関する固定的な観念を、他者に強要してはいけないのです。

男性へのセクハラはまだ十分理解が進んでいないので、女性に対するセクハラ以上に行為者が意図しないものであることが多いです。「冗談のつもりだった」「(被害者と)仲が良いのでこんな発言がセクハラになると思っていなかった」などと言う人もいますが、職場で女性へ性的な発言をしてはいけないのと同様に、男性にもしてはいけません。

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多様なアイデンティティを尊重し、すべての人がはたらきやすい職場づくりを

また、性的指向が多様となっている現在、どの職場にもLGBTの方が存在しているはず。カミングアウトをしている人もいれば、していない人もいます。職場の中で、上司や同僚が誰かに「ずっと女性と交際しないのは、もしかしてゲイなのか」と否定的なニュアンスで声をかけたり、雑談で(悪気はないとしても)「レズは気持ち悪い」「LGBTの人と一緒に仕事はできない」などと発言したりするのを聞いたことで、自分が言われたわけではなくても、職場で働きづらくなってしまった人もいます。また、LGBTであることを打ち明けたことで、周囲に噂が広まり、セクハラを受けてしまった事例もあります。本人の同意を得ることなく他者の性的指向などの秘密を他者にばらすことは“アウティング”と呼ばれています。信頼してその人だけにカムアウトした秘密を他者に勝手に広めるのは、信頼を裏切り、相手を傷つける行為です。

言うまでもなく性的指向は個人の自由であり、性的アイデンティティも他者から強制されたり決めつけられたりするものではありません。また、ずっとシングルであることなどは性的指向とは関係なく、個人の選択の結果であり、そのことを邪推したり否定したりするべきではないでしょう。

LGBTをカミングアウトしていない方の場合、セクハラの被害にあっても相談しづらく、問題が表に出ることが少ない傾向があります。しかし、そういった人に対するハラスメントが存在することを理解し、なくしていかなければなりません。

ジェンダーに関する問題はデリケートなものです。男性だから、女性だから、という意識にとらわれず、その人自身を尊重する意識を持ってすべての人に接することで、はたらきやすい職場を作っていきましょう。

【監修】
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山田・尾﨑法律事務所 脇まゆこ●1975(昭和50)年生まれ。第二東京弁護士会所属。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2006年、弁護士登録。山田・尾﨑法律事務所勤務。2012年~2016年、東京家庭裁判所 家事調停官。企業法務や労働事件、一般民事事件、離婚、相続などの家事事件、犯罪被害者支援、刑事事件、破産事件などを中心に弁護士活動を展開している。

文=松村 知恵美
編集=五十嵐 大+TAPE

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