知っておくと職場の人間関係が楽になる!? 人間関係における「好き」「嫌い」のメカニズム

人間関係において「好き」「嫌い」の感情は必ず付いて回るものです。とはいえ、職場における好きな人や嫌いな人への思いを紐解いてみると、「明確な理由はないけど好き」「なんとなく嫌い」ということも少なくないはず。それが仕事に影響を及ぼすこともあります。そもそも、この「好き」「嫌い」はどのようにして生み出されるのでしょうか。今回は、公認心理師の川島達史先生に「好き」「嫌い」のメカニズムについて伺いました。

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人の「好き」「嫌い」に関係する4つの要素

心理学の分野における人の「好き」「嫌い」には、(1)本能、(2)思考、(3)自己肯定感、(4)類似性といった4つの要素が関わっていると考えられています。

(1)本能

「本能」とはこの場合、人が生まれながらに持つ先天的な好みを指します。人の外見、匂い、清潔度などがそれにあたるでしょう。これらが自分の好みに合致すれば「好き」と感じやすく、合致しなければ「嫌い」と感じやすいのです。ちなみに、よく耳にする「生理的に無理」という状態は、「本能」が大きく関与しています。

(2)思考

「思考」とは、相手の性格や価値観、期待値に対する目の向け方を指します。人間関係を構築する際、相手の長所に目を向ける人は「好き」と感じやすいのですが、短所に目を向けてしまう人は「嫌い」と感じやすいのです。また相手に対する期待値が高過ぎると、その評価が高くなる可能性は少なく、むしろ日を追うごとに低くなります。その結果「嫌い」と感じてしまうのです。

(3)自己肯定感

「自己肯定感」は、自分をどれくらい肯定できているかを指します。自己肯定感が十分にある人は、自分も相手も好きになりやすく、逆に自己肯定感が欠如していると自分も相手も嫌いになりやすいと考えられているのです。

(4)類似性

最後に「類似性」ですが、一般的に人は、自分と似た考えや価値観を持つ人を好きになりやすい傾向にあります。なぜなら、自分と似たような人と過ごすと、考えや価値観の相違による衝突を避けることができ、安心するためです。そのため、考えや価値観がまったく異なる人には苦手意識や警戒心を持ちやすく、ひどい場合は最初から「嫌い」と感じてしまうかもしれません。
ちなみに同じ「類似性」でも、自分の嫌いな部分と似た部分を持っている人には嫌悪感を抱いてしまいます。これは、お互いに自分が認識している嫌な面を、強制的に見なくてはいけなくなるためです。これを心理学用語では「投影」と呼びます。

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このように人の「好き」「嫌い」のメカニズムは、4つの要素が複合的に絡み合い、生み出されているのです。

人の「好き」「嫌い」は経験や学習によって変化する

人の「好き」「嫌い」は決して不変的なものではありません。「昔は好きだったが過去の経験が原因で嫌いになった」「昔は嫌いだったのにあることがきっかけで好きになった」というように変化すると考えられています。
例えば、学生時代から「皆を引っ張る熱血な人」が嫌いだったとします。しかし、さまざまな経験をするうちに同じような人達が「頼もしい人、責任感がある人」と思えるようになり、「好き」へと変化することがあるのです。ただ今度は「責任感のない人」や「クールな人」に嫌悪感を抱くようになってしまう可能性があります。

ちなみに、人間関係でありがちな「なんとなく好き」「なんとなく嫌い」といった感情は、経験や学習による変化の過程で、自身の「好き」「嫌い」を決める要素が増えた結果と考えられています。相手にも自分にも「好き」「嫌い」の要素が複数あるがゆえに、理由を絞りきれないのです。

川島先生おすすめ! 自分の「好き・嫌い」を把握する方法

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自分の「好き」「嫌い」を把握することは、人間関係の構築や継続に役立ちます。特に嫌いになりやすい人の傾向を知っておくと、早めにその人への対処行動が取れるため便利です。川島達史先生は、自分の「好き」「嫌い」を知るための具体的な方法として「メタ認知」をおすすめしています。

「メタ認知とは、心理学の世界で自身の感情を評価するのによく用いられています。もちろん『好き』『嫌い』の感情に用いることができるのでおすすめです。具体的な方法としては、日記やノートに『好きな人や嫌いな人との間で起きた出来事』『その出来事に対して自分が抱いた率直な感情』『感情を抱いた理由や考え』を書き出します。そうすると必然的に自分が好きになりやすい人、嫌いになりやすい人の傾向が浮かび上がってくるはずです。それに当てはまる人の性格や考えや価値観が、現在の自分の『好き』『嫌い』を生み出す要因になります」(川島先生)

誰でも人の「好き」「嫌い」はあるものです。ただ自分の「好き」「嫌い」ついて把握しているのといないのとでは、人間関係における対処の早さや、日々感じるストレスの度合いに差が生じるかもしれません。ぜひこの記事をきっかけに、まずは自分の「好き」「嫌い」を把握してみてはいかがでしょうか。

監修者=川島達史
公認心理師。ダイレクトコミュニケーション代表取締役。「ソーシャルスキルトレーニング」「社会心理学」「臨床心理学」を専門分野とし、講演開催回数は通算で1,500回以上。様々なメディアにも出演経験を持つ。現在はYouTubeでの配信にも力を入れている。
【ダイレクトコミュニケーション公式サイト】
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文=トヤカン
編集=TAPE

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