現代社会に広がりつつある「人間関係リセット症候群」とは!? 勢いや感情に任せたリセットは危険!

SNSやネット環境の普及により、簡単に人間関係を構築できるようになった現代において、その存在が大きくなりつつあるのが「人間関係リセット症候群」という現象です。その範囲は、友人や知り合いだけではなく結婚相手や職場の人間関係にまで及び、離婚や退職にまで至るケースもあるとのこと。今回は、公認心理師の川島達史先生に「人間関係リセット症候群」について伺いました!

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人間関係リセット症候群とは? なぜリセットしたくなる?

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「人間関係リセット症候群とは、これまで築いてきた人間関係の解消を繰り返し行ってしまう現象のことです。『症候群』と名前はついていますが、現状、正式な医学用語ではありません。ただもし、電話帳に載っている友人のデータを大量に削除したり、人間関係をリセットしたいがために転職を繰り返したりしている場合は、注意が必要です」

そう語るのは、公認心理師の川島達史先生。
ちなみに人間関係をリセットしたくなる要因として、川島先生は以下の4つを要因として挙げています。

見捨てられ不安がある

見捨てられ不安とは、「この人は自分を見捨てるかもしれない」と根拠のない不安に陥ってしまうことです。そのためちょっとでも人間関係でつらいことがあると、それ以上のつらさを避けるために全ての関係を自ら断ってしまいます。見捨てられる不安が強いほど、リセットしやすくなるのも特徴の1つです。

「曖昧さ耐性」が不足している

そもそも人間関係に明確な答えはないため、多くのことを曖昧にしたまま関係を築いていくのが基本です。ただ、人間関係をリセットしたくなる人は、白黒はっきりさせないと気が済まないという思いが強く、少しでもはっきりしないことがあると人間関係の全てが嫌になってしまいます。

自己効力感がない

「自己効力感」とは「ある行動に対し、自分は達成できると認識すること」を意味します。人間関係をリセットしてしまう人は、この「自己効力感」がなく「どうせこの人と関係を継続しても、いつかうまくいかなくなるはずだ」と諦めてしまうため、相手との関係を短期的に切ってしまうのです。このような行動を起こしてしまう人の背景には、今まで長期的な関係を築こうと努力したものの、裏切りにあってしまった人が多いと考えられています。

分裂癖がある

人には必ず長所と短所があります。そのため多くの人は、相手を評価する際「あの人の、この性格は短所だけど、この性格は長所だ」と統合して考えます。しかし、分裂癖がある人は、長所と短所を完全に区別して考えてしまうため、どちらか一方に目を向けることしかできません。したがって短所ばかり目立つ時期が長く続くと、その人との関係をリセットしてしまうのです。

人間関係をリセットしたくなったときは、冷静になって時間をおくことが大事

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人間関係をリセットしやすい人の多くが、リセット後に「なぜリセットしてしまったのだろう……」と後悔してしまいがちとのこと。川島先生は、そんな後悔をしないためにもリセットしたくなった時こそ冷静になり、時間を置くことが重要であると述べています。

「特に転職や退職にまで至りそうなほど職場の人間関係をリセットしたくなった場合は、後悔する可能性が非常に高いです。なぜなら、リセットしたくなる時は往々にして、怒りや悲しみといった負の感情、その場の勢いが引き金になっているためです。当然、その時に結論を出そうとしても、リセット以外の判断は難しいでしょう。時間を置き冷静になってから考えても答えが変わらない場合もありますが、意外と勢いや負の感情に任せて決めていたことに気付くはずなんです」(川島先生・以下同)

他にも川島先生は、リセット癖を抑えるための手段として以下のようなものをおすすめしています。

メタ認知を活用して感情を整理する

メタ認知とは、「自身の身の回りで起こった事実によってうまれた感情や考えを客観的にとらえ、自分について知ること」です。人間関係リセット症候群の場合は、リセットしたくなった時の事実をもとに感情を整理することで「自分はどんな感情から人間関係をリセットしたくなるのか」を知ることができます。具体的な方法としては、日記のように毎日少しずつ書き出してみるのがおすすめです。

あえて曖昧なことから目を逸らし、自分のやるべきことに時間を費やす

先にも述べたように、人間関係の多くは曖昧なことばかりです。職場の人間関係においても同様、上司や同僚が自分のことをどう思っているかについて、いくら考えても明確な答えは出ません。もし曖昧な状態に嫌気が差してしまいそうな時は、一度その問題や悩みから無理やり目を逸らしてみましょう。同時にいま自分のやるべきことや、やりたいことに時間を費やすと、冷静になる時間を作れるはずです。

SNSを一時的に遮断する

人間関係のリセット癖を抑えるための手段として、SNSの遮断も欠かせません。
現代は、SNSを利用すれば誰とでも自由に繋がることができます。ただそれは裏を返せば、人間関係のリセットも容易にできるということでもあるのです。人間関係をリセットしやすい人はSNSを削除・退会する傾向が強いと考えられており、川島先生も以下のように述べています。

「SNSやネット環境が充分に普及していなかった時代は、人間関係をリセットしようと思っても、それを実行する手段がほぼありませんでした。そのため、リセットしたくなった瞬間と実行するまでの間にタイムラグができ、冷静になる時間があったんです。しかし現代の主なコミュニケーションツールは容易にアカウントを削除できるSNSであるため、人間関係のリセットも容易にできてしまいます。これはとてももったいないと思いますし、きっと後悔することの方が多いでしょう」

人間関係のリセットは、決して安易に実行して良いことではありません。たった一度のリセットで失ってはいけない関係も失う可能性もあるでしょう。後悔しないためにも、まずは一度冷静になって考えてみることが大切です。

監修者=川島達史
公認心理師。ダイレクトコミュニケーション代表取締役。「ソーシャルスキルトレーニング」「社会心理学」「臨床心理学」を専門分野とし、講演開催回数は通算で1,500回以上。様々なメディアにも出演経験を持つ。現在はYouTubeでの配信にも力を入れている。
【ダイレクトコミュニケーション公式サイト】
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文=トヤカン
編集=TAPE

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